YouTubeショート・Instagramリール・TikTok——指でスワイプするだけで次々と流れてくる縦型のショート動画。これはもう「ヒマつぶし」だけのものではありません。人々が新しい商品やお店に初めて出会う「発見の入口」として、検索よりも先に開かれる場所になりつつあります。国内データで、その変化を確かめます。
縦型ショート動画は、若年層の生活に完全に溶け込んでいます。LINEリサーチの調査では、ショート動画を「ほぼ毎日見ている」割合は10代で7割超、20代で約6割と、若い年代ほど高い傾向。さらに10代の37%は1日1時間以上を費やしています。テレビをつける感覚で、彼らは縦型動画のフィードを開いているのです。
従来の発見は、検索バーに言葉を打ち込む「能動的」な行為でした。しかし縦型ショート動画では、AIのアルゴリズムが興味に合った動画を自動で流し込む。だから「探していないのに、出会ってしまう」。ADKマーケティング・ソリューションズの調査では、ショート動画広告は「新しい発見がある」でテレビ広告と同等以上の評価を獲得。同社はその理由を、利用者の興味と動画をマッチングするAI(アルゴリズム)が発見を後押ししていると分析しています。
ショート動画広告の「新しい発見がある」との評価は、広告の表現だけでなく、利用者の興味と動画をマッチングするAI(アルゴリズム)が促進しているかもしれません。(ADK MS 調査リリースより)
発見の入口になっているということは、購買の入口にもなっているということです。MMD研究所の調査では、ショート動画を見ている人のうち32.2%が「ショート動画を見て商品を購入した経験がある」と回答。購入のきっかけは「商品の内容・見た目」が46.7%で最多、次いで「詳細な商品説明」42.4%。短い動画でも、買う理由は十分に伝わっているのです。
32.2%
ショート動画視聴者が、動画を見て「商品を購入した」経験あり
出典:MMD研究所「ショート動画に関する調査」(2023/3・ショート動画視聴者 n=3,210)ecclab.empowershop.co.jp(二次・MMD研究所調査)
生活者の行動が変われば、お金の流れも変わります。サイバーエージェントの調査によると、2024年の縦型動画広告の市場規模は900億円、前年比171.1%という急成長。動画広告全体に占める縦型のシェアも、2023年の8.4%から2024年は12.4%へ拡大しました。企業がこぞって「縦型」に予算を移しているのは、そこに人々の視線と発見が集まっているからです。
縦型ショート動画が「発見の主戦場」になった3つの数字
出典:LINEリサーチ(2024/3)/MMD研究所(2023/3)/サイバーエージェント「2024年国内動画広告の市場調査」(2025/2発表)。指標が異なるため水準は単純比較できません。
発見されているのはモノだけではありません。飲食店・カフェ・美容室——お店もまた、縦型動画の中で「見つけられて」います。TikTokやリールで偶然流れてきた一本が来店の動機になり、若年層は気になったお店をアプリ内で検索して詳しく調べる、という行動を取ります。動画が「知るきっかけ」を、アプリ内検索が「確かめる場所」を担う——この二段構えが、いまの発見行動の主流です。
つまり、お店側に求められるのは2つ。ひとつは縦型ショート動画で「見つけてもらう」入口をつくること。もうひとつは、見つけた人が検索したときに正しい情報・クチコミ・評価がきちんと出てくる状態を整えることです。動画で発見させ、検索で納得させる。この流れが揃ってはじめて、来店や購入に変わります。
縦型ショート動画は、検索の「前」にある発見の入口。ここで見つけてもらえなければ、そもそも検索もされません。
縦型ショート動画は、テレビでも検索でもない、第三の発見チャネルとして確立しつつあります。若年層の毎日の視聴習慣、視聴者の3人に1人にのぼる購買経験、そして急拡大する市場。この3つが指し示すのは、「選ばれる」ための戦いが、いま縦型のフィードの中で起きているという事実です。
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