「気になるお店、ちょっと調べてみよう」——そのとき、若い世代が最初に開くのはGoogleではなくInstagramやTikTokです。検索窓に言葉を入れ、投稿や動画から「実際の雰囲気」を確かめる。SNSはもはや交流の場であると同時に、若年層にとって検索エンジンを補完し、ときに代替する「検索ツール」になっています。
象徴的なのが、お出かけ先や体験を探すときの行動です。15〜24歳女性への調査では、お出かけ・体験の情報収集に使うツールはInstagramが64.6%でトップ。TikTok(39.0%)、X(35.1%)と続き、検索エンジンは28.8%で、主要SNSのいずれをも下回りました。若年層にとっては「まずSNSで探す」が標準になり、検索エンジンはむしろ補助に回りつつあるのです。
64.6%
お出かけ・体験の情報収集にInstagramを使う(15〜24歳女性)。検索エンジンは28.8%
出典:SHIBUYA109 lab.「Z世代のSNS利用最新動向2025」(2025/7・一都三県の15〜24歳女性413名)shibuya109.co.jp
お出かけ・体験を探すときに使うツール(15〜24歳女性)
出典:SHIBUYA109 lab.「Z世代のSNS利用最新動向2025」(2025/7) shibuya109.co.jp
これは特定の女性層に限った話ではありません。野村総合研究所(NRI)の全国調査では、情報収集に検索エンジンを使う割合が10代で78%→69%、20代で87%→70%へと低下。一方でSNSを情報収集に使う割合は10代で67%→73%へ上昇しました。若い世代ほど「検索エンジンからSNSへ」の移行がはっきりと数字に表れています。
情報収集で「検索エンジン」を使う割合の変化(NRI調査)
出典:野村総合研究所「生活者年末ネット調査」(2021/12・全国15〜69歳男女3,097名) ※Web担当者Forum紹介 webtan.impress.co.jp
「お店を探す」場面でも同じ逆転が起きています。Z世代(1996〜2012年生まれ)への調査では、飲食店を調べるときに最もよく使う媒体はInstagramが38.9%でトップ。Googleマップ(23.6%)、食べログ(22.3%)という、これまで定番だった検索系・グルメサイトを上回りました。理由として最多だったのは「おしゃれな店舗を場所で検索しやすい」(34.4%)。つまりInstagramが「飲食店検索の入口」になっているのです。
38.9%
飲食店を調べるとき最もよく使う媒体はInstagram(Googleマップ23.6%・食べログ22.3%を上回る)
出典:Utakata「Z世代の飲食店探しに関する調査」(2024/4・Z世代男女157名)prtimes.jp
若い世代がSNS検索を選ぶ理由はシンプルです。検索エンジンの上位には広告やSEO記事が並びますが、SNSの投稿は実際に行った人・使った人のリアルな写真や動画。雰囲気・盛り付け・混み具合まで、文字より早く・正直に伝わります。SNS内で「#エリア名」「#店名」と検索する行動は「ググる」をもじって「タグる」と呼ばれ、若年層の情報収集の基本動作になりました。
SNS検索が求めているのは「正解」ではなく「リアル」。だから、お店側が用意すべきなのも、きれいな広告ではなく“実際の体験が伝わる投稿”です。
この変化は、お店にとって重大です。SNSで検索される時代に投稿が薄ければ、若い世代の検索結果にそもそも表示されない=存在しないのと同じになります。逆に、エリア名・ジャンル・店名でタグ検索されたときに魅力的な投稿が並んでいれば、それが来店の決め手になります。SNSは「発信して終わり」ではなく、検索されたときに選ばれる準備をする場所なのです。
そしてこの流れは、AIにも通じます。生成AIやAI検索も、Web上やSNS上に蓄積された実体験の情報を手がかりに「このお店は実在し、評価されている」と判断します。SNSで検索される対策(タグ・位置情報・継続的な投稿)を整えることは、そのままAIに選ばれる対策(AIO)にもつながります。「人にもAIにも、検索で見つけてもらう」——それが、選ばれる時代の集客の土台です。