動画というと「SNSで流すもの」「広告で流すもの」というイメージがまだ強いかもしれません。しかしいま、動画はGoogleの検索結果に表示され、検索から見つけられるコンテンツになっています。スマホの調べものではYouTubeがGoogleに次ぐ「第2の検索窓」になり、Google公式は動画を検索に載せるための仕様を公開済み。つくった動画を検索とAIに拾われる形に整える「動画SEO」を、公式仕様と国内データで解説します。
まず事実から。Google検索の公式ドキュメント「動画のSEOベストプラクティス」は、動画が表示される場所をはっきり挙げています。
動画は、メインの検索結果ページ、動画モード、Google 画像検索、Google Discover など、さまざまな場所に表示されます。
(Google検索セントラル「動画のSEOベストプラクティス」/2026-06-17閲覧)
つまり動画は、動画タブの中だけの存在ではなく、ふつうの検索結果の一等地にも並ぶということ。そして、そこにサムネイル付きで表示される「動画リッチリザルト」の鍵になるのが、動画の構造化データ(VideoObject)です。Google公式は、VideoObjectをマークアップすることで説明・サムネイルURL・アップロード日・再生時間などの情報を検索結果に表示できると説明しています。あわせて、動画の場所をGoogleに確実に伝える動画サイトマップ、そしてサムネイル画像(60×30ピクセル以上・固定URL)の用意が推奨されています。テキストのSEOと同じように、動画にも「Googleに正しく伝えるための作法」が公式に定義されているのです。
「動画が検索に出る」ことが重要なのは、人の調べもの自体が動画に寄っているからです。LINEリサーチの検索行動調査(2023年9月・約5万サンプル)では、調べものに使う機器はスマホが94%で圧倒的。そのスマホで検索するときに使うサービスは、1位こそGoogle(79.5%)ですが、2位はYahoo! JAPANでもSNSでもなく、YouTube(48.2%)でした。約2人に1人が、調べものの窓口として動画サービスを使っているのです。
48.2%
スマホで検索するときに「YouTube」を使う——Googleに次ぐ2位
出典:LINEリサーチ「スマホで調べものをするときの検索行動」(2023/9調査)・MarkeZine報道(二次)markezine.jp
スマホで検索するときに利用しているサービス(2023/9・13〜79歳)
出典:LINEリサーチ公式note(2023/11) note.com/MarkeZine markezine.jp
年代を下るほど、この傾向は強まります。同調査では、男性は10〜30代でYouTubeが2位に入り、10代女性ではYouTube利用が7割超。若い世代にとって「検索する」と「動画で調べる」は、すでに地続きの行動です。テキストのページしか持っていないお店・会社は、この48.2%の検索行動の外側にいることになります。
では、人は動画で何を調べているのか。強いのは「やり方(ハウツー)」と「買う前の確認(レビュー)」です。エクスクリエの調査(2026年1月・15〜69歳1,200人)では、YouTubeをきっかけに商品を購入した経験がある人は43.3%。とくに女性15〜29歳では53.5%と半数を超えました。動画は「見て終わり」ではなく、購買の直前で背中を押すメディアになっています。
43.3%
YouTubeをきっかけに商品を購入した経験がある(女性15〜29歳は53.5%)
出典:エクスクリエ「YouTubeにおける購買行動調査」(2026/1調査・2026/2公開)excrie.co.jp
海外(参考)のデータも同じ方向を指します。英Wyzowlの動画マーケティング統計調査(2026年版)では、商品・サービスについて知りたいとき「短い動画で学びたい」と答えた人が63%で、テキスト記事(12%)を大きく引き離しました。「使い方」「比較」「◯◯とは」——こうした“調べる系”の検索こそ、動画が選ばれる主戦場。ハウツーやレビューの動画を持つことは、検索需要のど真ん中に商品を置くことと同じです。
Google検索の動画表示で注目すべきが「キーモーメント」です。検索結果の動画の下に「章立て」が表示され、ユーザーは本の目次のように、動画の見たい場面へ直接ジャンプできます。Google公式は、キーモーメントを設定する方法を3つ示しています——①Clip構造化データ(各セグメントの開始・終了時間とラベルを自分で指定)、②SeekToAction構造化データ(タイムスタンプ入りURLの構造をGoogleに伝え、重要な場面を自動識別させる)、そして③YouTube動画なら、説明欄にタイムスタンプとラベルを記載する(いわゆるチャプター)方法です。
これが意味するのは、検索エンジンが動画を「1本のかたまり」ではなく、中身のシーン単位で理解し、案内し始めたということ。10分の動画の7分20秒に答えがあるなら、検索はそこへ直接連れて行きます。だからこそ、動画側にも「機械が読める目次」を用意しているかどうかで、見つかりやすさに差がつくのです。
動画SEOとは、良い動画を「機械にも読める形」に翻訳する作業です。人がサムネイルとタイトルで動画を選ぶように、検索とAIは構造化データとテキストの手がかりで動画を選びます。
ここまでの公式仕様とデータを、実務に落とすと3点に整理できます。①ページ側——動画を載せたページにVideoObject構造化データを入れ、動画サイトマップでGoogleに知らせる(サムネイルは60×30ピクセル以上・固定URLで)。②動画側——YouTubeの説明欄にタイムスタンプ付きのチャプターを書き、キーモーメント表示の対象にする。③テキスト側——タイトル・説明文に固有の情報を書き、話した内容は文字起こしとしてページや説明文に添えて、動画の中身を機械が読めるテキストの手がかりにしておく。どれも撮り直しゼロで、いま持っている動画に施せる整備です。
動画をつくる労力は同じでも、「流して終わる動画」と「検索から見つかり続ける動画」では、積み上がる資産価値がまったく違います。SNSや広告で流すだけの動画運用から、検索結果とAIの回答に拾われる動画資産へ。テキストのSEOを整えてきたのと同じ発想で、動画にも「見つけられるための作法」を整えることが、これからの動画活用の土台になります。
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