子どもの数が減り、園を取り巻く前提が変わっています。文部科学省の学校基本調査によれば、幼稚園の在園者(園児)数は75万8千人で、前年度より8万4千人の減少。一方で幼保連携型認定こども園の在園者数は85万8千人と過去最多となり、2023年度に初めて幼稚園を上回りました。園児は「減った」だけでなく、預かり保育のある認定こども園へ移っている——共働きが当たり前になった保護者に、その園で「何ができるか」を届けられるかどうかが分かれ目になっています。本記事では、その構造の変化を公的データで整理します。
文部科学省「令和6年度学校基本調査(確定値・調査期日2024年5月1日)」によると、幼稚園の在園者(園児)数は75万8千人。前年度より8万4千人減少しました。幼稚園の在園者数は1978年度をピークに漸減が続いており、少子化と後述する構造の変化が重なって、規模の縮小が続いています。まずは、この減少がどれほどの幅なのかを押さえます。
−8.4万人
幼稚園の在園者(園児)数の、前年度からの減少幅。在園者数は75万8千人(前年度より8万4千人減)となった
出典:文部科学省「令和6年度学校基本調査(確定値)」(2024/12/18公表・調査期日2024/5/1)mext.go.jp
ただし、この8万4千人は「生まれる子どもが減ったから」だけで説明できる数字ではありません。同じ調査は、園児が別の受け皿へ移っていることも示しています。減り方の内訳を見ると、幼稚園の外で起きている変化が見えてきます。
同じ学校基本調査で、幼保連携型認定こども園の在園者数は85万8千人。前年度より1万5千人増えて過去最多となり、園数も7,321園に増えました。そして2023年度に、在園者数で初めて幼保連携型認定こども園が幼稚園を上回りました。長く「就学前の教育・保育といえば幼稚園」だった構図が、静かに入れ替わったことになります。
85.8万人
幼保連携型認定こども園の在園者数(過去最多・前年度より1万5千人増)。2023年度に初めて幼稚園を上回った。園数は7,321園
出典:文部科学省「令和6年度学校基本調査(確定値)」(2024/12/18公表・調査期日2024/5/1)mext.go.jp
在園者数の比較:幼稚園 と 幼保連携型認定こども園(2024年5月1日時点・単位:万人)
出典:文部科学省「令和6年度学校基本調査(確定値)」(2024/12/18公表・調査期日2024/5/1) mext.go.jp
認定こども園が伸びている背景には、預かり保育の有無があります。共働き世帯が多数派になり、日中に子どもを預けられる体制が、園を選ぶうえで大きな比重を占めるようになりました。保護者が探しているのは「教育か、保育か」の二択ではなく、働きながらでも通わせられる園です。認定こども園への在園者の移動は、その要望が数字に表れたものと読めます。
移動だけでなく、就学前の子どもの総数そのものも縮んでいます。こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」によれば、保育所等を利用する児童数は2,678,417人で、前年より26,641人(−1.0%)の減少。定員充足率も88.4%(前年比−0.4ポイント)と下がりました。定員に空きが生じ始めており、就学前施設全体で「通う子ども」というパイ自体が小さくなっていることが分かります。
つまり園を取り巻く状況は、幼稚園から認定こども園への移動と、少子化による総数の減少が同時に進む二重の縮小です。限られた子どもと、共働きを前提に園を探す保護者。そのなかで選ばれるかどうかは、園の情報が「見つかり、伝わっているか」に左右されます。
園児が消えたのではなく、預かり保育のある園へ移っている。問われているのは、共働きのいま「この園で何ができるか」が、探している保護者にきちんと届いているか——ただそれだけである。
ここまでのデータは、園児の減少が「園そのものの良し悪し」だけで決まるわけではないことを示しています。子どもが減り、共働き前提で預かり保育のある園へ移る——この流れのなかで、園の「できること」を保護者に届けられているかが分かれ目です。データからの示唆として、情報発信の優先順位を整理します。
子どもと保護者は、園に通う当事者であると同時に、「調べて、比べて、選ぶ」生活者でもあります。園児が減り、共働きが前提になったいま、良い保育を実践していることと、それが探している家庭に届く状態をつくることは別の仕事です。この両輪が、限られた子どものなかで「選ばれる園」と、そうでない園を分けていきます。
その園の「できること」は、
共働きの保護者に届いていますか?
預かり保育や園の特色、行事や日常の発信、卒園家庭の声——共働きを前提に園を探す保護者の下調べで、園の情報が「見つかる・伝わる」状態になっているかを、情報発信の観点で無料で診断し、優先順位をレポートにしてお届けします。