認可保育所の定員は、全国平均で埋まりきらなくなりました。こども家庭庁の集計では、定員に対して実際に子どもが入っている割合(定員充足率)は88.4%(令和7年4月1日時点)。園が子どもを迎え入れる時代から、保護者に園が「選ばれる」時代へと、静かに移り変わっています。そして選ぶ側の保護者は、見学に申し込む前に、まずインターネットで園を調べています。園を調べるときに参考にしたものの1位は「園のホームページ」約60%(フレーベル館・N=772)。見学に呼べるかどうかは、ホームページと『雰囲気が伝わる情報』で、すでに動き始めています。本記事では、その現在地を大手・公的調査のデータで整理します。
園選びは、見学予約の電話から始まるわけではありません。フレーベル館が妊娠中〜小学3年生の子どもがいる保護者772名に行った意識調査(2022年2〜3月・インターネット調査)では、園を調べるときに参考にしたもの(複数選択)の1位は「園のホームページ」で約60%。2位の「市区町村のホームページの施設紹介ページ」約40%を上回りました。多くの保護者は、まず園そのものの発信を、次に自治体の情報を見に行きます。
約60%
園を調べるときに参考にしたもの(複数選択)の1位は「園のホームページ」。2位「市区町村のHPの施設紹介ページ」約40%を上回る
出典:フレーベル館「園選びに関する保護者の意識調査」(2022/2〜3・インターネット調査・N=772)froebel-kan.co.jp
園を調べるときに参考にしたもの(複数選択・上位)
出典:フレーベル館「園選びに関する保護者の意識調査」(2022/2〜3・N=772・複数選択) froebel-kan.co.jp
しかもホームページは、単なる連絡先の確認先ではありません。同じ調査で、園を調べた人(N=674)の約60%が、調べた時点で各園の保育の考え方の違いが「なんとなくわかった」と答えています。裏を返せば、ホームページの中身次第で、保護者は見学の前に「この園はうちに合いそうか」を判断し始めている、ということです。入口は、電話でも見学でもなく、画面の中にあります。
この「調べてから選ぶ」行動が重みを増している背景には、定員の状況があります。こども家庭庁の「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」によると、保育所等の定員充足率は88.4%で、前年から0.4ポイント低下しました。地域差は大きいものの、全国平均で見れば定員に空きが生まれ、園が保護者に「選ばれる」側に回りつつあります。
88.4%
保育所等の定員充足率(令和7年4月1日時点・前年比-0.4pt)。定員に空きが生まれ、園が「選ばれる」側に回りつつある
出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」(2025公表)cfa.go.jp
選ばれる側に回るとき、最初の接点はやはりインターネットです。定員に空きがある園ほど、見学や問い合わせにつなげる入口——ホームページや地図情報——が整っているかどうかが、実際の申し込み数に影響します。園の日々の営みがどれだけ丁寧でも、それが調べたときに見当たらなければ、保護者の比較の土俵にすら乗りません。定員を埋める力は、その中身を『伝わる形にしているか』にも左右されるようになりました。
では、調べた保護者は次に何を確かめようとするのでしょうか。フレーベル館の調査では、見学や説明会で「最も重視して確認しようと思ったこと」の1位は「園の雰囲気」、次いで「園の先生の対応」でした。設備や条件よりも先に、保護者は「どんな空気の中で、先生がどう子どもに関わっているか」を見に来ます。
同じ調査は、理念や方針に共感できた理由も尋ねています。挙がったのは「園生活のエピソードなど具体的な事例の説明」や「先生がどう関わっているかを具体的に示してくれたこと」。洗練されたキャッチコピーよりも、具体的な様子のほうが保護者の心を動かしていました。
保護者が知りたいのは、立派な理念の言葉ではなく、「うちの子が、どんな一日を過ごすのか」。その具体的な様子が伝わるかどうかが、見学に足を運んでもらえるかを分けている。
保護者100名に聞いた明日香の調査(回答100名)でも、傾向は重なります。保育園を選んだ決め手の1位は「家からの距離」65.0%。変えられない立地が最大の要因ですが、続く2位は「子ども同士の雰囲気」32.0%、3位は「認可・認可外」29.0%でした。距離の次に効くのが「雰囲気」であり、これは園の側が発信で伝えられる要素です。なお同じ調査では、現在の園に満足している保護者が92.0%(「とても満足」29.0%+「満足」63.0%)。いったん入園すれば満足度は高い——だからこそ、その手前の『見学に呼べるか』が、園選びの分かれ目になります。
ここまでのデータは、園選びが見学の前から始まっていることを示しています。約60%がまず園のホームページを見て、定員充足率は88.4%まで下がり、保護者が確かめたいのは「雰囲気」と具体的な様子。だとすれば、見学に呼ぶために整えるべき情報の順番も見えてきます。データからの示唆として、優先順位を整理します。
保護者は、園を利用する当事者であると同時に、「調べて、比べて、選ぶ」生活者でもあります。定員が埋まりにくくなったいま、園の姿勢や日々の様子がどれだけ良くても、それが調べたときに伝わっていなければ、見学の候補にすら入りません。日々の保育と、その様子を見学の前に伝える情報整備——この両輪が、これからの園選びで「見に来てもらえる園」を支えていきます。
その園のホームページは、
「雰囲気」が伝わっていますか?
園のホームページ、Googleの地図情報、市区町村の施設紹介ページ——保護者が見学の前に見る情報が「園の雰囲気」を伝えられているかを、客観的な視点で無料で診断し、整備の優先順位をレポートにしてお届けします。保育園・幼稚園・認定こども園の運営者の方へ。