新しい荷主を開拓するときも、人を採用するときも、運送・物流会社の入口には同じ関門があります。相手は発注や応募の前に、まず会社のWebサイトを見る——ということです。BtoBの決裁者の84%は営業担当に会う前に購買を決める情報へ到達し、その検討では提供企業のWebサイトが主要な情報源の一つになっています。実績・対応エリア・車両・許可といった「任せて大丈夫か」を確かめる材料が載っていなければ、比較の候補にすら上がりません。輸送能力の不足が現実味を帯びるいま、その現在地を国内データで整理します。
BtoBの取引では、買い手は営業に会う前にほぼ独力で情報を集めています。決裁者を対象にした調査では、84%が「営業担当と接触する前に、購買を決定づける情報に触れていた」と回答。さらに、購買を決めた情報源は営業との商談・問い合わせ以外が67%を占めました。荷主が物流パートナーを探すときも同じで、問い合わせの電話が鳴る前に、候補を絞り込む作業はWeb上で進んでいます。
84%
BtoBの決裁者が「営業担当と接触する前」に、購買を決定づける情報に到達している
出典:シンクパートナーズ(wib)「BtoB購買行動に関する調査」(2024/2・n=500・決裁者対象/PR TIMES)prtimes.jp
では、その情報収集で何が見られているのか。国内調査では、製品・サービスの検討段階で使う情報源として各種Webメディアが49.3%、続いて提供企業のWebサイトが35.4%。雑誌・専門誌(31.1%)や展示会(25.7%)を上回りました。運送業に置き換えれば、業界メディアや比較サイトで名前を知り、最終的に「その会社の公式サイト」で実態を確かめるという流れです。ここで会社の姿が見えなければ、検討はそこで止まります。
BtoB検討段階で使われる情報源(複数回答)
出典:ITコミュニケーションズ/B2Bマーケティング 共同調査「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2025」(2025/5・n=517) atpress.ne.jp
運送会社が「候補に残るか・外されるか」は、営業が話し始める前に、荷主がWebサイトを見た時点で大方決まっている。
ここで前提を確認しておきます。Webサイトを持っていること自体は、もはや当たり前です。総務省の調査によると、自社のホームページを開設している企業の割合は93.2%。ほぼすべての会社がサイトを持っています。だからこそ「ある/ない」では差がつかず、差がつくのは載っている中身と、その鮮度です。運送業の発注前確認でいえば、対応エリア・保有車両・取扱貨物・営業所・運送業の許可番号・荷主実績といった情報が、探して見つかる状態になっているかどうかです。
93.2%
自社のホームページを開設している国内企業の割合。サイトを持つこと自体は前提になっている
出典:総務省「令和6年 通信利用動向調査報告書(企業編)」(公式/2026-07-07閲覧)soumu.go.jp
そして、更新されていない・情報が薄いサイトは、静かに信頼を削ります。中小企業経営者を対象にした調査では、更新されていないホームページに対し「営業しているか不安になる」が49.8%、「情報が正しいのか不安になる」が35.3%、「迅速な対応ができないように見える」が33.4%と回答。そして「取引や付き合いをしようと思わない」が32.6%——約3人に1人は、サイトの印象だけで取引の検討から降りています。荷物を託す相手を探す荷主なら、この不安はより強く働きます。
更新されていない会社サイトに、経営者が抱く印象(複数回答)
出典:株式会社プラスト「ホームページの重要性に関する調査」(2020/9・n=1,127・中小企業経営者/PR TIMES) prtimes.jp
会社サイトが土台になるのは、荷主開拓だけではありません。運送・物流はいま、人が採れない業種の代表格です。帝国データバンクの調査(2025年1月)によると、正社員が「不足している」と感じている企業は運輸・倉庫で66.4%。全業種の中でも上位で、現場の担い手が埋まっていません。求職者の多くは応募前に会社を調べており、そのとき最初に開くのが会社のWebサイトです。
66.4%
正社員が「不足している」と感じている運輸・倉庫業の企業割合(全業種でも上位)
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」(2025/2・有効回答1万1,014社)tdb.co.jp
荷主にとっての「任せて大丈夫か」と、求職者にとっての「働いて大丈夫か」は、確かめる場所が同じです。仕事内容・車両・拠点・安全への取り組み・働く人の様子——これらが会社サイトに整理されていれば、荷主開拓と採用の両方に効きます。逆に情報が古いまま放置されたサイトは、両方の入口で候補から外れる理由になります。会社サイトは、営業と採用に共通する「信頼の土台」だと言えます。
この土台づくりが急がれる背景には、業界全体の構造変化があります。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限規制が適用され(物流の2024年問題)、対策を講じない場合、営業用トラックの輸送能力は2024年度に約14.2%、2030年度には約34.1%不足すると試算されています。運べる量が細っていくなかで、荷主は「安定して任せられる運送会社」をより慎重に選び、運送会社は「働き続けたいと思える職場」として人に選ばれる必要があります。その選別の入口が、Webサイトです。
対策を講じない場合の営業用トラック輸送能力の不足見込み
出典:国土交通省「持続可能な物流の実現に向けた検討会」試算(NX総合研究所推計)/全日本トラック協会「物流の2024年問題」 jta.or.jp
データを一本の線でつなぐと、運送・物流会社のWebサイトが担う役割は明確です。①荷主も求職者も、接触の前にWebで会社を確かめ(84%・35.4%)、②サイトの有無ではなく中身と鮮度で判断され(93.2%・不安の各割合)、③輸送能力が細るなかで選別はより厳しくなる(14.2%→34.1%)。だからこそ、次の優先順位で整えることが、荷主開拓と採用の両方に効いてきます。
荷主開拓も採用も、始まりは「調べられること」です。会社サイトは名刺代わりの飾りではなく、選ばれるかどうかが決まる最初の接点。ここまでのデータが示すとおり、その土台を整えることは、運べる量が問われるこれからの時代に、選ばれる側でい続けるための投資です。
その会社サイト、
荷主にも求職者にも届いていますか?
対応エリア・実績・許可・採用情報が、発注前・応募前の相手にどう見えているか。運送・物流の観点から、いまの見られ方を無料で診断し、優先順位をレポートにしてお届けします。