「どこに頼むか」を決める前に、まずAIに聞いてみる——BtoBの調達・購買でも、その入口が変わり始めています。検索で生成AIを使う人は37.0%に達し、業務で生成AIを活用する企業は34.5%。企業利用における用途の第2位は「情報収集」です。発注先やメーカーを探す担当者が「◯◯ができるメーカーは?」とAIに尋ねたとき、その回答に自社の技術情報が引用されるかどうか(GEO)で、候補に入れるかが決まります。本記事では、その現在地と「引用される条件」を、実在データで整理します。
まず、ものを探す行動そのものが変わっています。サイバーエージェント GEOラボが全国9,278名を対象に行った調査(2026年3月)によると、検索において生成AIを利用している人は37.0%。前回調査(2025年10月)の31.1%から半年弱で5.9ポイント上昇しており、「まず検索窓」だった情報収集の入口に、「まずAIに聞く」という選択肢が急速に加わっています。
37.0%
検索において生成AIを利用している人の割合。前回(2025年10月)の31.1%から5.9ポイント上昇
出典:サイバーエージェント GEOラボ「生成AIのユーザー利用実態調査 第三弾」(2026/3・全国9,278名)cyberagent.co.jp
これは消費者向けの数字ですが、同じ人が仕事でも同じ道具を使い始めています。総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)によると、生成AIを「積極的に活用する方針」または「利用時期を具体的に検討している」日本企業は49.7%。前年度の42.7%から上昇し、方針レベルではおよそ2社に1社が生成AIを業務に取り込む姿勢を示しています。調達・購買の担当者もまた、その一人です。
では、企業は生成AIを実際に何に使っているのか。帝国データバンクが全国10,312社から回答を得た調査(2026年3月)では、業務で生成AIを活用している企業は34.5%、検討中を含めると48.7%に上ります。そして用途の内訳を見ると、探す・調べる行動が中心にあることが分かります。
生成AIを活用している企業の用途(複数回答・2026年3月)
出典:帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026/5発表・有効回答10,312社) tdb.co.jp
「情報収集」が用途の第2位(21.8%)に入っている点が重要です。製品を探す、取引先の候補を洗い出す、技術用語や仕様を理解する——調達・購買の実務そのものが、生成AIが担い始めている領域と重なります。同調査では活用企業の86.7%が「効果があった」と回答しており、一度使って手応えを得た担当者は、次も同じ入口から探し始めます。
活用率には差もあります。企業規模別では大企業46.5%に対し中小企業32.4%・小規模企業28.0%、業種別ではサービス業47.8%が最も高く、建設26.4%が最も低い。製造業を含むものづくりの現場では、社内での導入はこれからという企業も少なくありません。だからこそ、「自社が使う」より一歩早く、「相手(発注側)がAIで探したときに見つかる」準備が効いてきます。
実際に、法人の購買行動でもAIの影響が観測されています。株式会社LANYが、過去1年以内に生成AIに相談して製品・サービスを契約・購入したBtoB企業の担当者110名に行った調査(2025年8月)では、生成AIの助言が意思決定に「影響があった」と答えた人は87.3%(「かなり」20.9%+「ある程度」66.4%)。さらに46.4%が「検討していなかった新しいサービスを知り、それを選んだ」と回答しています。
46.4%
「生成AIをきっかけに、検討していなかった新しいサービスを知り、それを選んだ」と答えた割合(AIで購入経験のあるBtoB担当者110名中)
出典:株式会社LANY「生成AI時代におけるBtoB商材の購買行動調査」(2025/8・対象110名)lany.co.jp
この110名はもともと「AIで購入した経験がある人」に絞った調査であり、市場全体の平均ではありません。それでも、示している構図は明確です。AIの回答に名前が出た会社は「新しい候補」として発見され、出なかった会社は最初から検討にすら入らない。同調査で最も信頼する情報源として生成AIを挙げた人は20.0%(公式情報26.4%・比較サイト22.7%に次ぐ3番目)で、AIは既存の情報源を置き換えるというより、「まず候補を絞り込む一次フィルター」として使われ始めています。
AIの回答に技術情報が引用される会社は「候補」に入り、引用されない会社は検討にすら入らない。BtoBの入口でも、被引用が可視性を左右し始めている。
では、AIの回答に引用されるために何が必要なのか。ここは誤解されやすい部分です。Googleは公式ドキュメント「AI Features and Your Website」(2025年12月更新)で、AIによる概要(AI Overviews)などに表示されるための「追加の技術要件はない(There are no additional technical requirements)」と明言しています。AI専用のファイルや特別なマークアップ、AI用の構造化データを新たに作る必要はない、とも記しています。
条件はシンプルで、①ページが通常どおり検索にインデックスされ、スニペット表示の対象であること、②土台が「役に立つ・信頼できる・人のためのコンテンツ(helpful, reliable, people-first content)」であること。つまりAIに引用される入口は、まっとうな検索最適化(SEO)の延長線上にあります。逆に言えば、そもそも技術ページが無い・薄い・検索に載っていない状態では、AIが参照する材料が存在しません。
0個
AIによる概要に表示されるために新たに必要な「AI専用マークアップ・特別な構造化データ」の数。土台は人のための良質なコンテンツ
出典:Google 検索セントラル「AI Features and Your Website」(2025/12更新)developers.google.com
そのうえで、構造化データ(schema.org)は「必須ではないが有用」です。Googleは構造化データについて、ページの意味をより正確に理解する助けになり、リッチリザルトの対象になると説明しています。製造業に当てはめれば、加工能力・対応材質・公差・設備・認証・実績といった技術情報を、人にもAIにも読み取れる形で整理して置いておくことが、「◯◯ができるメーカー」という問いに拾われる確度を上げます。
AI検索とGEO(生成AIに引用されるための最適化)への対応は、一度に全部やる話ではありません。調達担当のAIに拾われる会社になるための優先順位を、データからの示唆として整理します。
共通しているのは、小手先のAI対策ではなく「技術情報を、人にもAIにも読める形で構造化して公開する」という一点です。調達担当がAIに「できるメーカー」を尋ねる時代に候補として残るかどうかは、この土台があるかで決まります。これは広報の実務ではなく、次の受注に関わる経営課題です。集客と同じ真剣さで向き合う価値があります。
そのメーカー、
AIは見つけられますか。
「◯◯ができるメーカーは?」とAIに聞いたとき、自社の技術情報が引用される状態になっているか。加工能力・仕様・実績ページの「AIから見た見え方」を無料で診断し、被引用に向けた優先順位をレポートにしてお届けします。