検索結果の一番上にAIの回答が出るようになり、「もうSEOは意味がない」という声も聞きます。でもデータが示すのは、その逆と本質の両方です。検索という行動そのものはまだ意思決定の主戦場。ただし、ゴールは「1位を取る」から「AIの回答に引用される」へと移りつつあります。
AIによる概要(AI Overviews)が表示される検索では、ユーザーがAIの回答で満足し、リンクをクリックしなくなる「ゼロクリック化」が進んでいます。Ahrefsが30万キーワードを調べた調査では、日本市場でも検索1位ページのクリック率が5.8%→1.8%(約38%減)に。グローバルでは約58%減という結果でした。上位表示の価値が、静かに目減りしているのです。
約38%減
AIによる概要の表示時、検索1位ページのクリック率(日本市場・5.8%→1.8%)
出典:Ahrefs調査/Web担当者Forum(2026年3月)webtan.impress.co.jp
AI概要の表示で、検索1位ページのクリック率は下がっている
出典:Ahrefs(30万キーワード調査・2023/12→2025/12)ahrefs.com
この流れは、さらに加速します。Googleは2025年9月、検索の「AIモード」を日本語で順次提供開始。質問するとAIが直接答える検索体験が、日本でも本格的に始まりました。検索結果が「青いリンクの一覧」から「AIの回答」へと姿を変えつつある——これは、SEOの前提そのものが変わる転換点です。
Google検索「AIモード」が日本語で提供開始(2025年9月)
出典:Google Japan Blog(公式)blog.google
もっと重要なのはここです。日本語の検索結果15.8万件を調べたLANYの調査では、オーガニック検索で1〜2位に入っているURLでも、AIによる概要に引用されるのは48%だけ。つまり、従来のSEOで上位を取っても、半分以上はAIの回答に登場できていません。「順位」と「AIの引用」は、もはや別物になりつつあります。
48%
オーガニック1〜2位のURLがAIによる概要に引用される確率(=過半は引用されない)
出典:LANY LLMO Lab(日本語158,542キーワード調査・2025年12月)lany.co.jp
では検索を捨てるべきかというと、まったく逆です。商品購入前の情報収集で最も使われる手段は、いまもインターネット検索(62.4%)でトップ。日本の検索エンジンはGoogleがPCで約74%、モバイルで約85%と圧倒的です。検索される土台(正しい情報・指名検索・コンテンツ)を持っていない会社は、AIにも見つけてもらえません。SEOは終わるのではなく、「AIに引用される設計(LLMO/GEO)」と一体で行うものへと進化したのです。
これからのSEOのゴールは、青いリンクで1位を取ることではなく、人とAIの両方に「このお店が正解だ」と理解してもらうこと。土台は同じ、出口が増えただけです。
正しい情報の構造化とクチコミ、継続発信で、この「検索される土台」と「AIに引用される設計」を一度に整える。順位を追うだけのSEOから、選ばれるための仕組みへ——それがAI時代のSEOの向かう先です。