「お客様がうちの商品をSNSに投稿してくれたら、それが一番の宣伝になる」——多くの人が気づいています。問題は、その投稿が自然には増えないこと。けれどUGC(User Generated Content=お客様がつくる投稿)は、運や偶然ではなく「仕組み」で増やせるものです。ハッシュタグ施策、公式アカウントでのリポスト、そしてサイトでの活用。この記事では、SNS上でUGCを生み・活かす施策と、その効果を国内データで確かめます。
まず押さえたいのは、人を動かすのがインフルエンサーでも企業でもなく、普通のお客様の投稿だという事実です。X(旧Twitter)で「商品を購入した・お店に行ったきっかけ」を尋ねた調査では、最も多かったのが「一般ユーザーの投稿」で57.8%。インフルエンサーの投稿(49.4%)や企業アカウントの投稿(47.8%)を上回りました。広告より、有名人より、「使った人のリアルな声」が一番背中を押すのです。
57.8%
購入・来店のきっかけになった投稿の種類で「一般ユーザーの投稿」が最多(インフルエンサー49.4%・企業47.8%を上回る)
出典:アライドアーキテクツ「Twitter上のクチコミ行動・影響度に関する調査」(2022/1・n=881・現X)markezine.jp
同じ調査では、Xの情報をきっかけに商品を購入した経験がある人は65.5%、来店・施設利用につながった人は62.4%。SNS上のお客様の声は、そのまま売上と来店を生む「営業」になっているのです。だからこそ、その投稿を意図的に増やす価値があります。
集めたUGCを自社サイトやLPで見せると、何が起きるか。バッグ・スーツケースメーカーのECサイトでレビューや写真(UGC)を掲載した事例では、サイト訪問者のUGC接触率は35%、そしてUGCに接触したユーザーのCVR(購入率)は接触していないユーザーの1.7倍になりました。「お客様の投稿を見た人ほど、買う」——UGCは集めて終わりではなく、見せることで成果に変わります。
1.7倍
UGC(レビュー・写真)に接触したユーザーのCVRは、非接触ユーザーの約1.7倍(UGC接触率35%)
出典:ギャプライズ(バッグ・スーツケースメーカーのEC事例・自社支援実績)ecnomikata.com
これは特殊な例ではありません。UGCを活用する企業の76.6%が「施策のパフォーマンスが向上した」と回答し、効果の内訳ではSNSエンゲージメント増加が51.4%、CVR向上が42.9%、売上増加が22.9%でした(後述・企業のUGC活用実態調査)。お客様の声は、SNSでも、サイトでも効く資産なのです。
ところが現実には、多くの企業がUGCの重要性を感じながら、増やし切れていません。国内マーケ担当者への調査では、93.8%がUGCの重要性を感じる一方、実際にマーケ施策へ活用した経験があるのは52.0%にとどまります。Xマーケティングに限れば、UGCの生成・活用に取り組む企業はわずか14.2%。つまり「増やす仕組み」を持てた企業が、まだ少数派なのです。ここに伸びしろがあります。
UGCの「重要性」と「実行」のギャップ
出典:アライドアーキテクツ「企業のUGC活用における実態調査2021」(2020/11〜12・n=98)aainc.co.jp/「Twitterマーケティング実態調査」(2022/6・n=858)markezine.jp
担当者が挙げる課題は「UGCが集まらない(投稿不足)」「使えるUGCの選定が難しい」がそれぞれ約4割。増えない・選べない——この2つを解く仕組みが、UGC施策の中心になります。
UGCを増やす最も基本的な仕組みがハッシュタグ施策です。指定ハッシュタグを付けて投稿してもらい、抽選でプレゼント——という形で、お客様に「投稿する理由」と「投稿の入口」を同時に渡します。「投稿すれば何かもらえる」というきっかけがあるだけで、普段は黙っているファンが声を上げてくれます。さらにハッシュタグは、投稿を1か所に集める「受け皿」にもなり、後からの収集・活用を一気に楽にします。
UGCは「待つ」ものではなく「促す」もの。ハッシュタグは、お客様に投稿のきっかけと言葉を渡す、最も手軽な装置です。
集まったUGCを公式アカウントがリポスト(紹介)することには、二重の効果があります。ひとつは、リアルなお客様の声がタイムラインに加わり、フォロワーの信頼とエンゲージメントが高まること。実際、UGC活用企業の51.4%がSNSエンゲージメントの増加を実感しています。もうひとつは、紹介された投稿者が「また投稿しよう」と思い、それを見た他のフォロワーが「自分も投稿してみよう」と続く——UGCがUGCを生む連鎖が起きることです。リポストは、お礼であると同時に、次の投稿を呼ぶ仕掛けでもあります。
増やしたUGCは、SNSの中だけに眠らせずサイト・LP・広告で見せることで成果に変わります。前述のとおり、UGCに接触したユーザーのCVRは1.7倍。生活者の声で撮られた写真は、宣材写真より広告のクリック率が高くなる傾向も報告されています。そして見落とせないのが、第三者の声はAIにも「信頼の証拠」になること。お店が自分で語る情報だけでなく、実際のお客様の体験がWeb上に蓄積されているほど、生成AIやGoogleは「このお店は実在し、評価されている」と判断しやすくなります。
UGCを集める(ハッシュタグ)→広げる(リポスト)→活かす(サイト・AI)。この3つを一連の仕組みにすることが、「お客様の投稿で選ばれ続ける」ための土台です。お客様の声は、最初から多いのではなく、仕組みで増やせるのです。
UGCは、SNS・サイト・検索・生成AIを横断する信頼資産。増やす仕組みを持った企業から、「選ばれる側」に回っていきます。