「動画広告は効くらしい」——その実感は、もう感覚の話ではありません。国内のネット動画広告は、いまや検索連動型に次ぐ第2の広告種別であり、すべての広告種別の中で最も速く伸びている領域です。市場規模・成長率という客観データで、その現在地を見ていきます。
電通「2024年 日本の広告費」によると、2024年のインターネット広告媒体費2兆9,611億円のうち、ビデオ(動画)広告は8,439億円。これは前年比123.0%で、すべての広告種別の中で最も高い成長率でした。構成比は28.5%に達し、推定開始以降はじめてディスプレイ広告(25.8%)を上回りました。検索連動型広告(40.3%)に次ぐ、ネット広告の主役の一角です。
123.0%
2024年のビデオ(動画)広告の前年比成長率(全広告種別で最高)
出典:電通グループ4社「2024年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2025/3/12)dentsu.co.jp
ネット広告媒体費の種別構成比(2024年)
出典:電通グループ4社「2024年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2025/3/12) dentsu.co.jp
サイバーエージェントの市場調査でも、伸びは明確です。2024年の国内動画広告市場は前年比115.9%の7,249億円。同社は2028年に1兆1,471億円へ達すると予測しています。広告がテレビ・紙からネットへ移るなかで、動画広告は「これから伸びる」ではなく「いま伸びている真っ最中」の市場です。
国内動画広告市場規模の推移・予測(億円)
出典:サイバーエージェント「2024年国内動画広告の市場調査」(2025/2/27・調査2024/9〜12) cyberagent.co.jp
市場全体の中でも、ひときわ伸びているのが縦型動画広告です。2024年は前年比171.1%の900億円で、市場に占める割合も8.4%から12.4%へ拡大。スマホを縦に持って見るショート動画の世界が、そのまま広告の主戦場になっています。一方、テレビ画面でネット動画を見るコネクテッドテレビ(CTV)向け広告も前年比137.8%の1,020億円と、初めて1,000億円を突破しました。
そして、動画広告の需要は圧倒的にスマートフォンに集まっています。スマホ向け動画広告は5,750億円で、需要全体の79%。広告を「見る場所」は、もはやテレビでもPCでもなく、手のひらの中の縦長の画面なのです。
市場が伸びる理由は、動画が実際の購買を動かしているからです。MMD研究所の調査では、ショート動画を視聴している人のうち32.2%が「動画を見て商品を購入した経験がある」と回答(男性34.8%・女性29.4%)。購入の決め手は「商品の見た目」46.7%、「詳細な商品説明」42.4%が上位でした。動画は、文字や静止画では伝わらない使用感・サイズ感・雰囲気を一瞬で伝え、「買う直前」の不安を消します。
テキスト広告は「興味」を作りますが、動画広告は「納得」を作る。だから購入の最後のひと押しに効きます。
インフィード(フィードに自然に流れる)形式や縦型ショートは、ユーザーが「広告を見せられている」と感じにくく、コンテンツとして受け入れられやすいのも特徴です。広告が「邪魔なもの」から「役に立つ情報」へ——この変化こそが、動画広告を「届く広告」に変えています。
動画広告のもう一つの強みは、一度つくった動画が複数の場所で働き続けることです。同じ素材を、YouTube・縦型ショート・CTV・自社サイト・店頭サイネージへと展開できます。市場が拡大しているいま、動画を持っているかどうかが、そのまま「選ばれる入口」の数の差になります。
大切なのは、伸びている市場に「とりあえず出す」ことではなく、誰に・どの画面で・何を伝えるかを設計すること。縦型なら最初の数秒、CTVなら大画面ならではの世界観——届け方を媒体に合わせて変えることで、同じ予算でも反応は大きく変わります。動画広告は、いまや「効くかどうか」ではなく「どう設計するか」を考える段階に入っています。