Nest Lab編集長の佐々木です。連載の合間に、その時々で感じたことも、気ままに綴らせてください。今日は、先日の朝に見た、ある風景の話を。
用事があって、久しぶりに昔よく歩いた商店街を通りました。朝の早い時間で、人通りはまばら。そのなかで、ふと足が止まりました。よく総菜を買っていた小さなお店のシャッターが、下りていたのです。閉店の張り紙もない。いつの間にか、静かに。
あの店のコロッケが、私は好きでした。揚げたてを新聞紙にくるんでくれる、気のいいご主人の顔も覚えています。味は、本当に良かった。だからこそ、シャッターの前でしばらく動けませんでした。
あの店が消えたのは、味のせいではありません。きっと、自分の良さを新しい時代の伝え方で届ける術を持たないまま、少しずつお客様との接点を失っていった——それだけのことだったのだと思います。
こういう風景を見るたびに、私は、いまの仕事の意味をまた噛みしめます。データやAIの話をしているけれど、その根っこにあるのは、いつもこの気持ちです。
いい店ほど、自分の良さを伝えるのが苦手だったりする。だからこそ、私たちがいる。
だから今日も、目の前のお店の「伝わる」を、ひとつずつ整えていく。あの商店街のことを思い出しながら、そんなことを考えた朝でした。