全国の美容所(美容室)は27万4,070件と過去最多を更新し、いまも増え続けています。一方で市場規模は約1兆3,543億円とほぼ横ばい。つまり、ほぼ同じ大きさの市場を、年々増える店舗で分け合う構図です。そのなかで多くのサロンの集客入口になっているのが予約サイトですが、集客を外部プラットフォームに預けるほど、送客手数料や掲載費が利益を薄くしていきます。本記事では、美容室が置かれた競争環境と「サイトに頼りすぎない集客」の作り方を、公的データと大手調査で整理します。
厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」によると、2024年3月末時点の美容所数は27万4,070件。前年度から4,181件(+1.5%)増え、過去最多を更新しました。美容師の数も57万9,768人と過去最多です。店舗も担い手も、右肩上がりで増え続けています。
参考までに、全国のコンビニエンスストア店舗数はおよそ5万7千店。美容室はその約4.8倍の数が存在する計算になります。「街に美容室が多い」という肌感覚は、統計にもはっきり表れています。一方、市場そのものは大きくは伸びていません。
リクルート「美容センサス2024年上期」によると、美容室の市場規模は約1兆3,543億円で、前年からほぼ横ばい(−0.1%)。市場の大きさが変わらないまま店舗数だけが増えれば、1店あたりが取り合うパイは自然に小さくなります。過当競争と言われる所以です。
美容室 1回あたりの利用単価(美容センサス2024年上期・過去5年で最高)
出典:リクルート「美容センサス2024年上期≪美容室・理容室編≫」 recruit.co.jp
単価そのものは、女性7,482円・男性4,708円と、いずれも過去5年で最も高い水準にあります。上昇の主因はメニュー単価の引き上げ(男女とも約8割が回答)。ただし、単価が上がっても市場規模が横ばいということは、来店の総量が細っていることの裏返しでもあります。値上げでどうにか売上を保ちつつ、増えた店舗で客を奪い合う——それが現在の美容室市場の姿です。
では、お客様はどうやって美容室にたどり着くのでしょうか。ニュートラルワークスが首都圏の20〜50代男女520名に実施した調査(2025年4月)では、美容室を探すときに最初に見る情報源として予約サイト(ホットペッパー)が53.3%で最多。次いでGoogle検索51.5%、Googleマップ41.9%と続きました。
美容室を探すとき最初に見る情報源(複数回答・2025年4月調査)
出典:ニュートラルワークス「美容室探しに関する調査」(2025/5公表・首都圏520名) prtimes.jp
さらに、初めての美容室を最終的に決めた「決め手」を尋ねると、「予約サイトで比較して決めた」が53.8%で最多、次いで「Googleマップの評価で決めた」が39.8%でした。新規のお客様のおよそ2人に1人が、予約サイトの比較を経て来店を決めているわけです。
53.8%
初めての美容室を「予約サイトで比較して決めた」と答えた人の割合。新規来店の入口が予約サイトに集中している
出典:ニュートラルワークス「美容室探しに関する調査」(2025/5公表)prtimes.jp
入口が予約サイトに集中していること自体は、悪いことではありません。問題は、その入口を外部のプラットフォームだけに握られている状態です。予約サイトは一般に、月額の掲載費に加えて、サイト経由の予約に応じた送客手数料が発生します。新規が増えて予約が伸びるほど手数料も積み上がり、値引きクーポン中心の集客は単価を上げにくい。「毎日忙しいのに利益が残らない」という声は、この構造から生まれます。集客を丸ごと外注しているぶん、コストは売上に連動して膨らんでいきます。
予約サイトは「新規の入口」としては強力だが、集客のすべてを預けるほど手数料と掲載費が利益を圧迫する。入口を借りるだけにとどめ、来たお客様を自社の資産に変えられるかが分かれ目になる。
過当競争の市場で利益を残しているサロンは、予約サイトを「新規との出会いの場」と割り切り、2回目以降の来店を自社の導線に移しているという共通点があります。鍵になるのが「指名」と「リピート(再来店)」です。
指名は、店ではなく担当者個人にお客様が付く状態をつくります。指名客はサイトのクーポンで流れてきた一見客と違い、値引き競争の外側にいるため単価が安定し、リピート率も高くなります。予約サイトの検索結果で毎回選び直してもらうのではなく、「次もこの人に」と名前で戻ってきてもらう——これは掲載費のかからない集客資産です。
実際、リクルートの調査でも来店単価は過去最高を更新しており、カラー・トリートメント・縮毛矯正など「担当者への信頼」が前提のメニューが単価を押し上げています。技術と関係性で選ばれる関係は、価格ではなく担当者に紐づくため、他店やサイトのクーポンに流れにくいのが特徴です。
そして、その受け皿になるのが自社の予約導線です。公式サイトやLINE、店頭での次回予約など、手数料のかからないルートで再予約を受けられれば、2回目以降はプラットフォームを通さずに済みます。入口(新規)は予約サイトやGoogleマップから借り、出口(リピート・指名)は自社で持つ。この二段構えが、送客手数料に売上を削られ続けない集客の形です。次章で、その優先順位を整理します。
データが示すのは、「予約サイトをやめる」ことではなく、「予約サイトへの依存度を下げる」ことの重要性です。過当競争と手数料構造を踏まえると、優先順位は次のようになります。
店舗数は過去最多、市場は横ばい。この環境では、集客の入口を外部に預けたままではコストばかりが積み上がります。予約サイトの力を借りつつ、指名とリピートという自社の資産を育てること。それが、過当競争のなかで利益を残しながら選ばれ続けるための現実的な道筋です。
その集客、
予約サイトに頼りすぎていませんか。
Googleマップ・自社の予約導線・リピートの仕組みが、いまどう見えているか。予約サイトに頼りすぎない集客の観点から、御サロンの現状を無料で診断し、優先順位をレポートにしてお届けします。