美容室(美容所)の数は27万7,752軒——過去最多の更新が続いています。コンビニ(5万6,054店)の約5倍です。市場規模は1兆3,884億円とここ5年で最大に伸びる一方、2025年の美容室の倒産は235件と2年連続で過去最多になりました。「増える店」と「消える店」がはっきり分かれ始めた美容業の集客環境を、国の統計と業界調査の数字で整理します。
厚生労働省「衛生行政報告例」によると、全国の美容所(美容室などの施設)は令和6(2024)年度末で27万7,752施設。前年度から3,682施設(1.3%)増え、この5年間だけで約2万軒増えました。理容所が10万7,995施設と減少を続けている(前年度比2.1%減)のと対照的に、美容室は毎年、過去最多を更新し続ける業態です。人口が減るなかで店だけが増える——1軒あたりのお客の取り分は、構造的に薄くなり続けています。
そして、退出も過去最多になりました。帝国データバンクの集計では、2025年の美容室の倒産は235件。前年の215件を上回り、2年連続で過去最多を更新しました。集計基準の異なる東京商工リサーチの調査でも、2025年1〜9月で92件と集計開始以来最多のペースです。中身を見ると、原因の83.6%が「販売不振」=集客の失敗で、93.4%は資本金1,000万円未満の小・零細サロン(東京商工リサーチ・1〜9月)。さらに帝国データバンクによれば、倒産した美容室のうち設立10年未満が49.0%と過去最高、平均業歴は13.0年まで短くなり、人手不足を理由とする倒産は11件と2013年以降で最多でした。
注意したいのは、市場が縮んでいるわけではないことです。リクルート「美容センサス2025年上期」によると、美容室の市場規模は1兆3,884億円(前年比2.5%増)とここ5年で最大。1回あたりの利用金額も女性7,668円・男性4,879円と、ここ5年で最高の水準になりました。市場は伸び、客単価も上がり、店も増え、それでも倒産は最多——「パイの奪い合い」が静かに激しくなっているのが、この業界の現在地です。
277,752軒
全国の美容所数(令和6年度末・前年度比+3,682軒)。過去最多を更新し、コンビニ(56,054店・2025年12月末)の約5倍
出典:厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例の概況」/日本フランチャイズチェーン協会(いずれも2026-07-07閲覧)mhlw.go.jp jfa-fc.or.jp
美容所数の推移(全国・各年度末)
出典:厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例の概況」生活衛生関係・表4(2026-07-07閲覧) mhlw.go.jp
235件
2025年の美容室の倒産件数。前年(215件)を上回り2年連続で過去最多。人手不足を理由とする倒産11件も2013年以降で最多
出典:帝国データバンク「『美容室』の倒産動向(2025年)」(2026/1)tdb.co.jp
1兆3,884億円
美容室の市場規模(前年比2.5%増・ここ5年で最大)。1回あたり利用金額も女性7,668円・男性4,879円と5年で最高水準
出典:リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2025年上期【美容室編】」(2025/6・2026-07-07閲覧)hba.beauty.hotpepper.jp
店は増える、市場も伸びる、それでも倒産は最多——3つの「過去最多・最大」が同時に起きているのが2025〜26年の美容業です。淘汰の主因が「販売不振」である以上、分かれ目は立地や規模の前に、お客からどう見つかり、どう選ばれているかにあります。
まず「見つからない」が起きます。母数が27.8万軒に増えた今、「近くにある」はもう選ばれる理由になりません。検索サイトでサロンを探すときに重視される項目は、男女とも上位3つが「口コミ」「使えるクーポンがある」「ネット予約が可能」(美容センサス2023年下期)。口コミと写真が並ぶ「比較の土俵」に情報が揃っていない店は、検討リストに入る前に外れていきます。
次に「選ばれない」。ネットの口コミでお客が見ているのは「仕上がりの満足度」(62.1%)と「施術の丁寧さ」(52.1%)です。33.1%は悪い口コミがあるかを確かめ、17.7%は悪い口コミへの店の返信内容まで読んでいます。あわせて、写真・動画付きの口コミを信頼する人は58%(全業種の店選び調査)。さらに15〜24歳の女性では、お出かけ先を見つける手段の1位がInstagram(64.6%)でした。仕上がりを写真で確かめられない店は、特に若い層の視界に入りにくくなっています。
ネットの口コミでお客が重視するポイント(サロン利用者・複数回答)
出典:リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン利用に関する調査」(2025/3・サロン利用者n=1,000・2026-07-07閲覧) hba.beauty.hotpepper.jp
そして「再来店しない」。美容室のリピートは「店」ではなく「人」につくのがこの業界の構造です。スタイリストを指名したことがある人は61%。指名の頻度は「必ず指名する」48%・「指名することが多い」25%と、指名する人の7割超はほぼ毎回、特定の担当者を選んでいます。理由の1位は「技術力」(66%)、2位は「自分の髪質や好みへの理解」(44%)。担当者が指名されれば客は定着し、その担当者が辞めれば客も一緒に動く——人が採れないことは、人件費の問題であると同時に集客の問題でもあります。人手不足倒産が2013年以降で最多になったという先のデータは、その帰結です。
27.8万軒の中から、お客は「口コミ→写真→指名」の順に絞り込む。この動線のどこかで情報が欠けている店は、技術を比べられる前に候補から消えています。
いま起きているのは、探し方の変化です。検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37%、20代では過半数。「〇〇駅 美容室 うまい/上手」とAIに尋ねる人が現れ、AIの回答が比較候補の入口になる場面が増えています。※これは美容業だけを対象にした調査ではなく、検索行動全体の調査です。
37%
検索で生成AIを使う人(業種横断・全体/20代は過半数)。AIの回答を見た人のうち、おすすめをきっかけに購入・利用した人は47.5%
出典:CyberAgent「GEOラボ」(業種を問わない検索行動全体の調査)cyberagent.co.jp
AIの回答は、そのサロンのクチコミ・スタイル写真・第三者の言及(サイテーション)を材料に組み立てられることがあります。だからいまマップ・クチコミ・写真を整えることは、そのまま「AIに引用・推薦されやすい状態」=AIに選ばれる準備につながります。
以上のデータから、手を打つ順番は自然に決まります。特定のサービス名ではなく、施策の名前で挙げます。
① 口コミの獲得と返信の運用——検索サイトでの重視項目1位は口コミ。悪い口コミへの返信内容まで17.7%が読み、企業の返信を67%がチェックする(全業種調査)以上、「集める仕組み」と「返す運用」はセットで設計します。
② 仕上がりが伝わる写真の蓄積——口コミで最も見られるのは「仕上がりの満足度」(62.1%)で、写真・動画付き口コミの信頼は58%。スタイル写真・ビフォーアフターを、口コミと一緒に貯まる形で増やします。
③ Instagram等SNSでのスタイル発信——15〜24歳女性のお出かけ情報源1位はInstagram(64.6%)。エリア名×スタイル名で見つかるよう、ハッシュタグ・位置情報・プロフィールを整えます。
④ スタイリスト個人が指名される発信——指名の理由は「技術力」66%と「髪質・好みへの理解」44%。スタッフ紹介・得意スタイルの明示・本人名義の投稿を整え、指名予約の導線につなぎます。採用広報(人が採れない対策)と同じ資産が使えます。
⑤ ネット予約と再来導線の整備——検索サイト重視の上位3つに「ネット予約が可能」が入ります。予約のしやすさは選ばれやすさそのもの。次回予約やリマインドで、再来の間隔が空きすぎない仕組みを作ります。
⑥ AIに選ばれる準備(GEO/AIO)——生成AI・AI検索の回答に引用・推薦されやすいよう、正確なGoogleビジネスプロフィール・クチコミ・スタイル写真・第三者の言及を整えます。①〜⑤で整えた情報が、そのままAIの判断材料になります。
最後に、この業界の集客をひとことで言うなら——
美容室は27.8万軒でコンビニの約5倍。市場が伸びても倒産が最多になるのは、技術を比べる前に「口コミと写真」で選別が終わるから。技術を見える化した店と美容師から、選ばれていく業界です。
美容業界のために書き下ろした、この業界だけのデータ記事です。
ネイルサロンの女性利用率は9.2%(前年差+0.6pt)とここ5年で最高。一方で年間利用回数5.67回(-6.6%)・1回あたり6,115円(-2.5%)と節約が鮮明に。市場1,416億円の縮小局面で、固定客の再来と「指名される理由」づくりをデータで整理。
READ →アイビューティーサロンの女性1年以内利用率は11.8%、20代女性では29.0%。男性市場は274億円・前年比+46.4%と急伸。厚労省が示す「価格より情報開示とカウンセリング」の見える化が信頼の差別化になる現在地をデータで整理。
READ →エステサロン市場は3116億円・前年比-7.3%。だが女性脱毛-24.3%に対し男性フェイシャルは+24.8%と二極化(リクルート美容センサス2026年上期)。「誰の・何のサロンか」が伝わる情報設計が分かれ目になる。
READ →全国の美容所は27万4,070件と過去最多。市場は約1兆3,543億円でほぼ横ばい、店舗だけが増え続けます。美容室探しの入口は予約サイト53.3%・Google検索51.5%。手数料に利益を削られない「自社の予約導線・指名・リピート」の作り方を公的データで整理します。
READ →15〜24歳女性が「行く場所」を探す情報源はInstagramが64.6%で最多、最も使うSNSもInstagram89.6%。予約はホットペッパービューティー(61.8%)が軸だが、店選びでは写真(41.0%)と口コミ(52.5%)が見られ、美容室の8割超がSNSを活用しています。
READ →美容室利用者の62%は「毎回同じお店」を選ぶ(メディアシーク・n=23,662)。一方で行きつけをやめた理由は不満43%に対し、引っ越しなど自分都合38%+担当者の異動・退職19%=57%が不満以外。再来の意思は来店前や会計時に固まる(女性24.0%が来店前に決定)。
READ →2025年の訪日消費は9兆4,549億円と過去最高。その85.5%は宿泊・買物・飲食に流れ、地方部にも2.1兆円が届いています。スマホで店を探す訪日客に「見つかる店」の条件を公的データで整理します。
READ →中小企業の悩みの1位は「売上不振」33.5%。一方、新規顧客の獲得は既存客の維持より5〜25倍高くつくという海外研究も。外食利用の77.3%を占めるリピートが利益に効く構造を、出典つきで解説します。
READ →店名が語られる「サイテーション」はリンクなしでも効く。7.5万ブランド分析で言及量とAI可視性の相関は0.66〜0.71。言及を増やす実務まで解説。
READ →BtoBサイトで最も見られ、問い合わせの決定打にもなるのは「料金」。比較は3社以内が8割超。価格を隠さず「目安+理由」で示す料金ページの型を解説。
READ →お客様の投稿には著作権・肖像権がある。UGCの二次利用は「許諾」が基本。海外調査では58%が許諾に応じ、43%は紹介してくれたブランドのファンに。
READ →国内ソーシャル広告費は前年比118.7%の1兆3,067億円でネット広告の約4割に。LINEは最低出稿金額なし。少額から効く理由をデータで解説。
READ →転職活動中の99.2%が企業ホームページを閲覧し、クチコミを見る人の91%は応募前に確認しています。情報が無い・古い会社が応募の手前で候補から外れる実態を、国内の調査データで解説します。
READ →外食探しは食べログ・Instagram・Googleが拮抗、美容室は予約サイト40.3%が1位。口コミの主戦場は業種と客層で違う。見極め方を国内データで解説。
READ →訪日客は出発前にSNS43.3%・動画39.6%で調べ、滞在中は99%がGoogleマップを使います。日本語の情報を役立てた人は11.2%。店の探し方と情報整備の優先順位を公的データで解説します。
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READ →Instagram利用率は20代78.0%・70代10.4%。若年層はSNS・AI検索、シニアは検索・地図・テレビ中心。やる媒体は客層の年代で決まる。
READ →フォーム到達者の7割超が入力完了せず離脱。理由は10年間「項目が多い」が1位。1項目減で通過率+2%pt。改善の定石と窓口複線化を解説。
READ →応募の決め手1位は「仕事内容の詳しさ」。情報が補われれば「応募しやすくなる」は8割超、クチコミで67%が応募を中止。求人の「見せ方」が応募を左右する根拠データをまとめました。
READ →悪い口コミを見た人の67%が、お店の返信対応までチェック。まごころ型の返信で来店意向は31.7%→59.3%とほぼ2倍。返信は“次のお客様”への接客です。
READ →スマホ検索で使うサービスの2位はYouTube(48.2%)。動画リッチリザルトとキーモーメントを整えれば、動画は検索からも見つかる資産になる。
READ →訪日客は過去最高の4,268万人。観光庁調査では困りごとの上位に言語と決済が並び、現場は飲食店に集中しています。全部やる必要はあるのか——公的データで対応の優先順位を整理します。
READ →利用目的1位は“知らない人の投稿を見る”64.8%。公式もリールは「大半がフォロー外」と説明。発見から来店につなげる小さなお店の型を解説。
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READ →星5と引き換えの割引も、サクラレビューも、いまは景品表示法違反。命令を受けるのは投稿者でなく店側。NGラインと正しい頼み方を整理した。
READ →世界で1日2,000億回超(海外・参考)。国内の月間利用率も62%で1位、69%がショートで見つけて長尺へ。ショートは長尺資産への新しい入口です。
READ →マップで探した73.5%が来店。来店直前にGBPを最終確認する人は62.8%、決め手は順位より「クチコミ・写真」。
READ →Z世代女性の情報源はInstagramが64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。止まらない発信が「生きているお店」の証明に。
READ →投稿理由は「他の人におすすめ」34.8%が最多。依頼のタイミングと設計、返信が次のクチコミを生む。
READ →視聴者の54.8%が購入、20代は66.2%。見て、納得して、その場で買う。新しい売り場をデータで解説。
READ →日本のユーザーの5人に3人が買い物に利用。上位検索の96%は非指名検索で、人は買うものを決める前に訪れる。
READ →AI概要で検索1位のクリックは日本で約38%減。でも上位でもAIに引用されるのは48%だけ。SEOは「順位」から「引用」へ。
READ →ネット通販で88.5%、実店舗でも約7割が購入前にUGCを確認。企業発信より使った人の声を重視は51.3%。UGCはMEO・SEO・AIOを横断する信頼資産。
READ →AI概要表示で日本のクリックは約38%減、ゼロクリックは全体63.2%。対策は引用・指名・他チャネル。
READ →消費者庁の調査で口コミ評価が高い商品を選ぶ人は70.1%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。人にもAIにも効く。
READ →国内利用者は約1,230万人、2年で222%増。テキストSNSがいま再評価されている。
READ →日本の月間利用者は4,200万。お出かけ情報源はTikTokが39.0%で検索を上回る。出会いがショート動画から生まれる。
READ →検索で生成AIを使う人は37%、20代は過半数超。利用はChatGPTが圧倒的。AIに引用される会社とそうでない会社の差が開く。
READ →「良くない点も書かれている」が信頼の理由に41.2%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。消すのではなく、返信・改善で信頼を作る。
READ →店舗探しの手段はGoogleマップ・検索が60.2%で最多。マップで探した人の約73%が来店。地図とクチコミが来店を左右する。
READ →Z世代女性のお出かけ情報源はInstagram64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。検索の入口がSNSへ。
READ →縦型短尺が新規発見の入口に。視聴者の32.2%が動画を見て商品を購入。縦型動画広告は前年比171%で急成長。
READ →EC全体で88.5%、美容ECで88.8%、食品通販で82%が口コミを確認・重視。業種ごとに口コミ運用の設計を。
READ →個人のネット利用はスマホ74.4%がPC46.8%を上回り最多。Googleもスマホ版を評価の基準にしている。
READ →訪日客が滞在中に役立った情報源はスマホ89.5%が圧倒的1位。出発前はSNS38.9%・動画38.1%。
READ →国内MAU1億・利用率94.9%。約8割が当日開封し、友だち追加46%が行動を生む。新規より「もう一度来てもらう」の主役。
READ →Google公式は「信頼性が最も重要」と明言。経験・専門性・権威性・信頼と一次情報がAIと検索の評価軸。
READ →国内ネット動画広告は123%成長でディスプレイを初めて上回った。市場は2028年に1兆円超の予測。
READ →画像付きレビューを参考にする人は93%。信頼の条件は「具体性」と「写真」。文字より写真が、人を動かす。
READ →人は約50ミリ秒で見た目を評価し信頼を判断。HTTPSは安全性とSEOの前提。信頼されるサイトは「設計」されている。
READ →購入・来店のきっかけは一般ユーザー投稿が57.8%で最多。UGC接触でCVR約1.7倍。投稿は仕組みで増やせる。
READ →指名検索はCVが約12倍。ブランド言及量はAI Overviewsの可視性とも強く相関。指名される状態が土台。
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