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建築 / 職人・技術者採用

建設業の採用難は、
「会社の見せ方」で差がつく。

Nest Lab建築 / 職人・技術者採用2026.07.03出典6件

建設業就業者の55歳以上は36.7%

人手不足がすべての業種で最も深刻な分野のひとつが、建設業です。正社員が「不足している」と答えた建設業の企業は70.4%で全業種の中で最も高く、2025年度の人手不足倒産112件も建設業が業種別で最多でした。就業者はピーク時の約7割にあたる477万人まで減り、その36.7%が55歳以上29歳以下はわずか11.7%。ここに2024年4月からの時間外労働の上限規制が重なります。本記事では、建設業の採用をめぐる現在地を、国土交通省など公的データで整理します。

人手不足が「全業種で最も深刻」——建設業の現在地。

帝国データバンクが全国1万1,014社から回答を得た調査(2025年1月)によると、正社員が「不足している」と感じている建設業の企業は70.4%。情報サービス業(72.5%)に次ぐ高さで、全体(53.4%)を大きく上回ります。そして人手不足の行き着く先である倒産でも、建設業は突出しています。

70.4%

正社員が「不足している」と感じている建設業の企業の割合。全体(53.4%)を大きく上回る高水準

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」(2025/2・有効回答1万1,014社)tdb.co.jp

帝国データバンクによると、2025年度の人手不足倒産は全体で441件と3年連続の過去最多を更新しました。その内訳を業種別に見ると、建設業が112件(全体の25.4%)で最多。2位の道路貨物運送業(55件)の約2倍にあたります。「仕事はあるのに、続ける人がいない」——建設業では、そうした形の倒産が最も多く積み上がっています。

2025年度の人手不足倒産(業種別・上位)

建設業112件
道路貨物運送業55件
老人福祉事業22件
飲食店21件

出典:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026/4発表) tdb.co.jp

なぜ建設業だけ、これほど深刻なのか。答えは、担い手の年齢構成にあります。

職人の高齢化と若手不足——担い手の年齢が偏っている。

建設業の就業者は、1997年のピーク(685万人)から2024年には477万人へと、約3割減りました。問題は総数だけではありません。国土交通省の白書によると、就業者に占める55歳以上の割合は36.7%(全産業32.4%)と高く、一方で29歳以下は11.7%(全産業16.9%)にとどまります。技術を担ってきたベテランが引退期に入る一方で、次の世代が入ってこない。年齢構成が上に偏った、典型的な高齢化業種です。

就業者の年齢構成——建設業 vs 全産業(2024年)

55歳以上(建設業)36.7%
55歳以上(全産業)32.4%
29歳以下(建設業)11.7%
29歳以下(全産業)16.9%

出典:国土交通省「令和6年度 国土交通白書」(総務省「労働力調査」/2026-07-07閲覧) mlit.go.jp

ベテランが持つ技術・段取り・現場の勘は、一朝一夕には引き継げません。若手の入職が細ったまま高齢化が進めば、いま現場を支えている技能そのものが失われていきます。採用は「頭数を揃える」話ではなく、技術を次世代へ渡せるかどうかという、事業継続の問題になっています。

2024年問題——労働時間の上限規制が重なった。

この採用難に、働き方の見直しが重なります。建設業には猶予されてきた時間外労働の上限規制が、2024年4月から適用されました(原則、月45時間・年360時間)。背景には、建設業の長時間労働があります。国土交通省の白書によると、建設業の年間平均労働時間は2,018時間(2023年度)で、他産業より62時間ほど長い水準です。

2,018時間

建設業の年間平均労働時間(2023年度)。他産業より62時間ほど長く、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用

出典:国土交通省「令和6年度 国土交通白書」(厚生労働省「毎月勤労統計調査」等/2026-07-07閲覧)mlit.go.jp

休みの取りやすさも、他産業に見劣りします。同白書によると、週休2日(4週8休以上)の導入は、公共工事では約3〜4割まで進んだ一方、民間工事では約1割強にとどまります。給与面でも、建設業生産労働者の年間平均賃金は432万円で、全産業(508万円)を下回ります。「休みが少なく、給与も高くない」という見え方は、若手を遠ざける要因になりかねません。規制対応で労働時間を減らしながら、処遇と働きやすさをどう改善し、それをどう伝えるか——採用は、この一連の取り組みと切り離せなくなっています。

人手不足・高齢化・労働時間規制。三つが同時に効いている建設業では、採用は人事の実務ではなく、技術の継承と事業継続に関わる経営問題になっています。

求職者は、応募する前に「会社の中身」を見ている。

では、何を変えれば人が集まるのか。手がかりは、求職者の行動にあります。リクルートマネジメントソリューションズが大学4年生・大学院2年生1,117名に行った調査(2023年11月)では、入社予定企業との接点を望む理由として「社風や職場の雰囲気について知りたい」が38.5%「仕事内容や進め方を知りたい」が38.0%と上位に並びました。求職者は待遇の数字だけでなく、「どんな人が、どんな現場で、どう働いているか」を知ったうえで応募先を選んでいます。

入社予定企業との接点を望む理由(学生・上位)

社風や職場の雰囲気を知りたい38.5%
仕事内容や進め方を知りたい38.0%

出典:リクルートマネジメントソリューションズ「2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」(2023/11・回答1,117名) recruit-ms.co.jp

建設業の仕事は、外からは中身が見えにくい職種です。実際の現場、扱う技術、働く人の姿——それらが求人票の条件だけでは伝わりません。だからこそ、同じ求人条件でも「会社の見せ方」で応募は変わり得ます。求職者が知りたがっている職場の雰囲気や仕事内容を、自社のWebサイト・SNS・動画で具体的に見せられているか。募集を出しても応募が来ない状態は、集客に置き換えれば「検索しても情報が出てこない」「比較で選ばれていない」状態に近いといえます。

ここまでのデータが示すのは、建設業の採用が求人媒体への出稿だけで完結する時代ではない、ということです。技術の継承と事業の存続がかかる以上、職場の中身を整える取り組みと、その魅力を求職者に届ける発信を、集客と同じ真剣さで設計する価値があります。以下に、データからの示唆として優先順位を整理します。

対策の優先順位(データからの示唆)。

建設業の採用難は一度に解決しません。だからこそ、着手する順番が重要です。ここまでの公的データを踏まえ、優先度の高いものから整理します。

  1. 現場・人・技術を「見える化」する:求職者が最も知りたい「職場の雰囲気」「仕事内容」(各約38%)を、実際の現場写真・働く人の声・扱う技術として、自社サイトやSNS・動画で具体的に発信する。
  2. 会社の情報がまず「見つかる」状態にする:社名や「地域+職種」で検索したとき、求人票以外に会社の実態が伝わる情報が出てくるか。土台となるWebサイトと基本情報を整える。
  3. 働き方の改善を、事実として示す:週休2日や労働時間の取り組み(2024年問題への対応)を進め、その内容を求職者に伝わる形で明示する。
  4. 若手・未経験者に向けた入口を用意する:29歳以下が11.7%という現状を踏まえ、育成方針やキャリアの道筋を可視化し、若年層が応募をイメージできる導線を作る。
  5. いまの「見られ方」を客観的に把握する:自社の求人・採用ページ・クチコミが求職者にどう映っているかを一度点検し、改善の優先順位を明確にする。

Sources / 出典

  1. 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」(2025/2/21発表・有効回答1万1,014社・正社員不足 建設70.4%/全体53.4%/情報サービス72.5%) — https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250221-laborshortage202501/
  2. 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026/4/9発表・全体441件・建設業112件で業種別最多〈全体の25.4%〉・道路貨物運送業55件) — https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260409-laborshortage-br25fy/
  3. 国土交通省「令和6年度 国土交通白書」第1部第1章(建設業就業者の55歳以上36.7%/29歳以下11.7%・年間平均労働時間2,018時間〈2023年度〉他産業比+62時間・生産労働者の年間平均賃金432万円/全産業508万円・週休2日 公共約3〜4割/民間約1割強/2026-07-07閲覧) — https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r06/hakusho/r07/html/n1111000.html
  4. 日本建設業連合会「建設業ハンドブック 4.建設労働」(総務省「労働力調査」・建設業就業者477万人〈2024年〉/ピーク1997年685万人・55歳以上約37%/29歳以下約12%/2026-07-07閲覧) — https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html
  5. 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」(建設業は5年間の猶予を経て令和6〈2024〉年4月から適用・原則 月45時間/年360時間/2026-07-07閲覧) — https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html
  6. リクルートマネジメントソリューションズ「2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」(2023/11発表・回答1,117名・接点を望む理由 社風/職場の雰囲気38.5%/仕事内容/進め方38.0%) — https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/0000000421/

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