家を「建てる・直す」仕事の足元で、2つの数字が同時に動いています。働き手のうち29歳以下は11.7%まで下がり、2025年度の新設住宅着工は前年度比12.9%減の71万1,171戸。一方でリフォーム市場は7.3兆円で底堅く推移し、施主は相見積もりの前にWebで会社を下調べしています。建築・建設業(工務店・リフォーム会社を含む)の経営環境を、公的統計と調査データで整理します。
最初の変化は「人」です。国土交通白書2025(総務省「労働力調査」に基づく)によると、2024年の建設業就業者は55歳以上が36.7%(全産業は32.4%)、29歳以下が11.7%(全産業は16.9%)。およそ3人に1人が55歳以上で、20代以下は1割強という年齢構成です。白書はこの状況を、中長期的な担い手の確保・育成が喫緊の課題と位置づけています(2026-07-07閲覧)。
人手不足は経営の数字にも表れています。帝国データバンクの調査(2026年1月・有効回答10,620社)では、建設業の69.6%が「正社員が不足している」と回答し、業種別で最も高い水準でした。調査には「案件があっても人手不足で受注ができない」という建設業者の声が紹介されています。仕事があるかどうかより先に、施工体制の有無が受注の上限になりつつあります。
二つ目の変化は「市場」です。国土交通省の建築着工統計によると、2025年度の新設住宅着工は71万1,171戸(前年度比12.9%減)。注文住宅の主戦場である持家は19万5,111戸(同12.6%減)でした。2000年度の121万3,157戸と比べると約4割減(41.4%減)の水準です。一方で、矢野経済研究所の推計では、2024年の住宅リフォーム市場は7兆3,470億円(前年比0.5%減)、2025年も7.3兆円とほぼ横ばいの予測。新築という「フロー」が細り、直して住み続ける「ストック」の比重が相対的に増しています。
建築・建設業の現在地を、4つのデータで置いておきます。
11.7%
建設業就業者に占める29歳以下の割合(2024年)。55歳以上は36.7%と、全産業(29歳以下16.9%・55歳以上32.4%)より高齢化が進む
出典:国土交通省「令和7年版 国土交通白書」(総務省「労働力調査」に基づく/2026-07-07閲覧)mlit.go.jp
新設住宅着工戸数の推移(年度・全国)
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年度計)」資料7-1(2026/4/30公表・2026-07-07閲覧) mlit.go.jp
69.6%
「正社員が不足している」と答えた建設業の割合。51業種の中で最も高く、「案件があっても人手不足で受注ができない」の声も
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」(2026/2/20・有効回答10,620社)tdb.co.jp
7.3兆円
2024年の住宅リフォーム市場規模は7兆3,470億円(前年比0.5%減)。2025年も7.3兆円とほぼ横ばいの予測で、縮む新築と対照的
出典:矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査(2025年)」(2025/8/20発表)yano.co.jp
まず「人が採れない」が固定化します。29歳以下が1割強しかいない業界で、引退期に入る55歳以上は3分の1超。採用は「募集を出せば来る」ものではなく、求職者から比較され、選ばれるプロセスになっています。帝国データバンクの調査が示すとおり、人が採れないことはそのまま「案件があっても受注できない」という売上の上限に直結します。
次に「選ばれない」リスクが上がります。新築の着工がこの4年で約18%(2000年度比では約4割)減った市場では、1件の相談・1回の相見積もりの重みが増します。そして施主の会社選びは、展示場や相見積もりの前に始まっています。注文住宅購入者への調査では、69.4%が工務店・ハウスメーカー選びでWebの情報を参考にし、会社のホームページで参考になったコンテンツの1位は「施工事例」(58.4%)。契約の決め手になったコンテンツも1位は「施工事例」(56.8%)で、「お客様の声」(37.8%)が続きます。事例と声がWeb上にない会社は、腕を見せる前に候補から外れていきます。
工務店選びで「参考になった」会社ホームページのコンテンツ(注文住宅購入者)
出典:UNIIDEO「注文住宅購入者が選ぶ、工務店選びのポイント ランキング調査」(2022/6・n=111・直近3年以内の注文住宅購入決定者)prtimes.jp
リフォームでは「2件目・紹介が来ない」が効いてきます。住宅リフォーム推進協議会の実態調査(2025年2月発表)では、検討者の不安は「費用がかかる」(39.3%)、「施工が適正に行われるか」(31.4%)、「見積もりの相場や適正価格がわからない」(30.5%)が上位。実施者が事業者選びで重視したのは「担当者の対応・人柄」(44.6%)、「工事の質・技術」(32.2%)、「工事価格の透明さ・明朗さ」(29.3%)でした。事業者の情報入手はテレビ(検討者29.5%)が最多ながら、インターネット関連の合計は検討者33.7%と若い世代ほど高く、一戸建てリフォームの契約先は「地元密着の工務店」が29.7%と上位。価格の見えにくさと人の見えにくさを放置すると、初回契約にも、その後の再依頼・紹介にもつながりません。
展示場・訪問・相見積もりの「前」に、Web上で候補に残る会社と外れる会社が分かれている——複数の調査が同じ構図を示しています。
もう一つ、静かな変化があります。家づくり・リフォームの施主も、いまは「〇〇市 注文住宅 工務店 おすすめ」のようにAIやWebで調べ始めています。検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37%、20代では過半数。高額・低頻度の買い物ほど施主は時間をかけて下調べするため、AIの回答が比較候補の入口になる場面が増えています。※これは建築・建設業だけを対象にした調査ではなく、検索行動全体の一般統計です。
37%
検索で生成AIを使う人(業種横断・全体/20代は過半数)。AIの回答を見た人のうち、おすすめをきっかけに購入・利用した人は47.5%
出典:CyberAgent「GEOラボ」(業種を問わない検索行動全体の調査)cyberagent.co.jp
AIの回答は、その会社の施工事例・クチコミ・実績・第三者サイトへの掲載を材料に組み立てられることがあります。つまり、上で挙げた「施工事例」「お客様の声」「費用の透明化」を整えることは、そのまま「AIに引用・推薦されやすい状態」=AIに選ばれる準備につながります。
数字を踏まえると、打ち手の順番は次のようになります。いずれも特定のサービスではなく、施策の種類として挙げます。
①施工事例の整備と継続公開:参考コンテンツでも決め手でも1位は施工事例です。地域名・費用帯・工期・ビフォーアフター写真・施主の要望をセットにし、完工のたびに追加します。
②お客様の声・口コミの蓄積と返信:決め手3位の「お客様の声」を、完工時にもらう仕組みにします。Googleビジネスプロフィール等のクチコミには返信まで行い、検討者が見る場所に評判を残します。
③費用と見積もりの透明化:検討者の3割が「相場や適正価格がわからない」ことに不安を持っています。費用例・内訳の考え方・追加費用の条件を先に公開した会社が、比較の土俵で有利になります。
④「人」が見える発信:リフォーム実施者の重視点1位は担当者の対応・人柄(44.6%)です。担当者・職人の顔と言葉をプロフィールや現場ブログで見せ、契約前に人柄が伝わる状態をつくります。
⑤同じ資産を採用にも転用:若手が1割強の業界では、採用も「選ばれる」競争です。施工事例や現場の発信は、施主だけでなく求職者への発信を兼ねます。現場の日常や若手の声を動画等で見せることは、応募前の下調べに応える打ち手になります。
⑥AIに選ばれる準備(GEO/AIO):生成AI・AI検索の回答に引用・推薦されやすいよう、施工事例・クチコミ・会社サイトの技術情報や実績・第三者サイトへの掲載を整えます。上の①〜⑤で積み上げた情報が、そのままAIの判断材料になります。
建築・建設業の集客は、「腕の勝負」の前に「事例と人柄がWebで見えるかの勝負」。新築が細るなかで、施工事例・お客様の声・費用の透明性を積み上げた会社から、施主にも求職者にも選ばれていきます。
建築・建設業界のために書き下ろした、この業界だけのデータ記事です。
注文住宅を建てた世帯の78.6%がネットで情報収集。工務店選びの決め手になったHPコンテンツは「施工事例」が56.8%で1位。見積りは平均2.5社と、高額・低頻度の買い物ほど施主は着工前にWebで比較する。
READ →リフォーム会社選びで「口コミの内容が良い」を重視する人は60%、「実績が多い」は55%。買い物で口コミを参考にする人は94%、悪い口コミへの企業の返信対応まで見る人は67%。相見積りが前提の高額工事で、工務店が信頼をどう可視化すべきかを整理します。
READ →建設業は正社員不足70.4%と全業種で最も高く、人手不足倒産も112件で最多。就業者は477万人でピークの約7割、55歳以上36.7%・29歳以下11.7%と高齢化が進む。2024年問題も重なる採用難を公的データで整理します。
READ →正社員が不足する企業は53.4%とコロナ禍以降で最高。人手不足で受注や来店予約を断った企業は35.7%、人手不足倒産は441件と過去最多です。採用難が売上に直結し始めた現状を公的データで整理します。
READ →店名が語られる「サイテーション」はリンクなしでも効く。7.5万ブランド分析で言及量とAI可視性の相関は0.66〜0.71。言及を増やす実務まで解説。
READ →BtoBサイトで最も見られ、問い合わせの決定打にもなるのは「料金」。比較は3社以内が8割超。価格を隠さず「目安+理由」で示す料金ページの型を解説。
READ →就職・転職者の約8割が採用動画を視聴、「応募前に見たい」は69%。求職者が知りたいのは社員の1日と職場の空気。人手不足時代の採用動画入門。
READ →Perplexityの月間クエリは7.8億件。日本でもソフトバンク提携で身近に。出典を示すAI検索では“引用される情報の質”が可視性を決める。
READ →転職活動中の99.2%が企業ホームページを閲覧し、クチコミを見る人の91%は応募前に確認しています。情報が無い・古い会社が応募の手前で候補から外れる実態を、国内の調査データで解説します。
READ →更新が止まったサイトは「営業しているか不安」49.8%・「取引したくない」32.6%。営業時間が古ければ36.0%が別の店へ。情報の鮮度が信頼を左右します。
READ →フォーム到達者の7割超が入力完了せず離脱。理由は10年間「項目が多い」が1位。1項目減で通過率+2%pt。改善の定石と窓口複線化を解説。
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READ →スマホ検索で使うサービスの2位はYouTube(48.2%)。動画リッチリザルトとキーモーメントを整えれば、動画は検索からも見つかる資産になる。
READ →ランサム被害222件の約6割は中小企業、復旧費用1,000万円以上が半数。「必要性を感じない」44%の無防備こそ最大のリスク。最低限の4対策を解説。
READ →国内利用率26.8%は5年ほぼ横ばい。中心は30〜50代、60代は20代超え。若者SNSで届かないミドル・シニアに実名で届く現役の媒体。
READ →マップで探した73.5%が来店。来店直前にGBPを最終確認する人は62.8%、決め手は順位より「クチコミ・写真」。
READ →投稿理由は「他の人におすすめ」34.8%が最多。依頼のタイミングと設計、返信が次のクチコミを生む。
READ →2024年4月の改正障害者差別解消法で合理的配慮が義務化。世界トップ100万サイトの95.9%に不備という現実が、設計の必須性を示す。
READ →検索で生成AIを使う人は37.0%。だがChatGPT・Gemini・AIモードは利用率も利用層も違う。どのAIに拾われるかを設計する。
READ →日本のユーザーの5人に3人が買い物に利用。上位検索の96%は非指名検索で、人は買うものを決める前に訪れる。
READ →AI概要で検索1位のクリックは日本で約38%減。でも上位でもAIに引用されるのは48%だけ。SEOは「順位」から「引用」へ。
READ →ネット通販で88.5%、実店舗でも約7割が購入前にUGCを確認。企業発信より使った人の声を重視は51.3%。UGCはMEO・SEO・AIOを横断する信頼資産。
READ →GoogleはLCP・INP・CLSを体験の公式指標とし、2024年3月INPが正式昇格。遅いサイトは中身を見られる前に離脱される。
READ →全世代の88.3%が利用、国内7,370万人。61%が「購入の決め手に役立つ」と回答。動画は独自のメディアになる。
READ →生成AI検索は半年で約1.5倍。AIのおすすめで実購入47.5%。AIの回答に名前が載るGEOが集客の起点に。
READ →Google公式は「AIでもSEOの基本は引き続き重要」と明言。AI参照の前提は、インデックスされていることと、人のための中身。
READ →検索で生成AIを使う人は37%、20代は過半数超。利用はChatGPTが圧倒的。AIに引用される会社とそうでない会社の差が開く。
READ →「良くない点も書かれている」が信頼の理由に41.2%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。消すのではなく、返信・改善で信頼を作る。
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