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建築 / Webと施工事例

施主は着工前に、
Webで施工事例を見比べている。

Nest Lab建築 / Webと施工事例2026.07.07出典6件

注文住宅取得世帯の78.6%がインターネットで情報収集

家を建てる、リフォームする——それは多くの人にとって人生で最も高額で、何度もない買い物です。だからこそ施主は、契約する前に念入りに調べます。国土交通省の調査では、注文住宅を建てた世帯の78.6%がインターネットで情報を集めていました。そして工務店選びの決め手になったホームページのコンテンツは、「施工事例」が56.8%で1位。高額・低頻度の買い物ほど、「事例」と「顔の見える情報」が意思決定を左右します。本記事では、その現在地を公的データと大手調査で整理します。

施主は、まずインターネットで調べる。

家づくりの入り口は、いまやほぼ検索から始まります。国土交通省が全国・三大都市圏の取得世帯を対象に実施した「令和6年度 住宅市場動向調査」(2025年6月公表)によると、住宅取得の過程で「インターネットを通じた情報収集」を行った世帯は、注文住宅で78.6%。分譲マンション(分譲集合住宅)では82.2%に達し、いずれも情報収集手段として最も多い方法でした。

78.6%

注文住宅を取得した世帯のうち、インターネットで情報収集を行った割合(全国)。情報収集手段として最多

出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」(2025/6公表・注文住宅は全国調査)mlit.go.jp

この傾向は住宅の種類を問いません。新築(注文・分譲)から中古、賃貸まで、すべての住宅種別で「インターネットを通じた情報収集」が情報入手手段の1位でした。持ち家取得の各層を並べると、次のようになります。

住宅取得世帯のインターネット情報収集率(住宅種別・令和6年度)

分譲マンション82.2%
注文住宅(全国)78.6%
分譲戸建76.7%
中古マンション74.4%
中古戸建69.9%

出典:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」(2025/6公表) mlit.go.jp

同調査の経年比較でも、物件・施工者に関する情報収集は直近5年間でインターネット利用が大きく増加しています。住宅展示場やチラシが入り口だった時代から、「まず検索して、Webで比べる」時代へ——施主の行動は、すでに移り終えています。着工前に検索されたとき自社の情報が出てこなければ、そもそも比較の土俵に上がれません。

決め手は「施工事例」——写真と実績が、信頼をつくる。

では、施主はWebで何を見て会社を選ぶのか。直近3年以内に注文住宅の購入を決めた人への調査(UNIIDEO・2022年6月公表)では、工務店選びの決め手になったホームページのコンテンツの1位は「施工事例」で56.8%。2位が「性能や構造の紹介」(41.9%)、続いて「お客様の声」「家づくりの考え方」(ともに37.8%)でした。カタログスペックよりも先に、実際に建てた家の写真=事例が信頼の入り口になっています。

工務店選びの決め手になったホームページのコンテンツ(複数回答)

施工事例56.8%
性能や構造の紹介41.9%
お客様の声37.8%
家づくりの考え方・コンセプト37.8%

出典:UNIIDEO「注文住宅の工務店選びに関する実態調査」(2022/6公表・注文住宅購入者111名) prtimes.jp

同調査では、Webの情報を参考にした人が69.4%。さらに35.2%が「情報収集の段階で依頼先を決めていた」と回答しています。つまり施主の3人に1人は、直接会う前・見積りを取る前のネットで調べている段階で、心の中の第一候補を決めているということです。事例の見せ方が、その後の商談の入り口を左右します。

56.8%

工務店選びの決め手になったホームページのコンテンツ1位=「施工事例」。2位「性能や構造」を15ポイント上回る

出典:UNIIDEO「注文住宅の工務店選びに関する実態調査」(2022/6公表)prtimes.jp

探し方そのものにも、Webは深く入り込んでいます。アットホームが過去2年以内の注文住宅購入者400名に聞いた調査(2024年6月実施)では、依頼先の探し方は「住宅展示場を訪問」(54.0%)に次いで「ホームページから探す」が34.3%で3位。展示場に足を運ぶ人でも、その前後で必ずと言っていいほど会社のサイトを確認しています。同調査では79.5%が「その会社のこだわり・コンセプトに共感した」と回答しており、施工事例と併せて「どんな家を、どんな考えで建てる会社か」が伝わっているかどうかが問われています。

施主が最初に開くのは、価格表ではなく施工事例のページ。写真と実績で「この会社なら任せられそうだ」と感じてもらえるかが、商談の前段階で勝負を分けている。

高額・低頻度だから、「比べて選ぶ」。

家づくりが特別なのは、その金額と頻度です。多くの人にとって一生に一度か二度、しかも数百万〜数千万円がかかる。失敗が許されないからこそ、施主は複数の会社を並べて比較します。前出のアットホーム調査では、注文住宅購入者が見積りを依頼した会社は平均2.5社。1社だけで決めた人は34.5%にとどまり、過半数が2社以上を比較していました。

2.5

注文住宅購入者が見積りを依頼した会社数の平均。1社のみで決めた人は34.5%で、過半数が複数社を比較

出典:アットホーム「注文住宅購入者の実態調査」(2024/6実施・購入者400名)athome.co.jp

リフォームでも構図は同じです。リフォーム経験者1,000名への調査(ローカルワークス・2022年12月公表)では、業者選びで「困った」経験を持つ人は8割近く。困った内容の1位は「相場がわからない」で47%でした。そして「業者選びに失敗した」と感じた人が次回に気をつけたいこととして最も多く挙げたのが、「たくさん相見積もりをとる」(35%)。金額と品質の妥当性を、施主は自分では判断しづらい。だから複数社を比べて相場観をつかもうとするのです。

別のリフォーム経験者調査(リショップナビ)でも、「複数業者を比較するべきだった」と考える人は78.3%にのぼり、選定時の不安は「金額が妥当かわからない」(46.7%)が最多でした。裏を返せば、施工事例で品質を示し、価格帯の目安や考え方をサイト上で誠実に開示している会社は、この「比べて選ばれる」局面で有利になります。情報を出し惜しみすると、相見積りの比較検討から静かに外れていきます。

対策の優先順位。

ここまでのデータは、建築・リフォーム会社にとっての打ち手の順番を示しています。「Webに凝る」ことが目的ではなく、施主が着工前に確認する情報を、過不足なく整えることがゴールです。

  1. 施工事例を最優先で充実させる。決め手の1位(56.8%)は施工事例。ビフォーアフター・費用帯・工期・施主の要望と対応を、写真とともに実名(許可の範囲)で載せる。件数と鮮度がそのまま実績の証明になる。
  2. 「調べたら出てくる」状態をつくる。取得世帯の約8割がネットで情報収集する以上、地域名+工事内容で検索したときに自社サイトが見つかることが前提。見つからなければ比較の土俵にすら乗らない。
  3. 価格帯と家づくりの考え方を開示する。施主の最大の不安は「相場がわからない」「金額が妥当か不明」。参考価格帯・進め方・自社の強みを言語化し、問い合わせ前の不安を下げる。
  4. お客様の声と会社の「顔」を見せる。実績(お客様の声37.8%)に加え、施工実例に関わったスタッフや家づくりへの姿勢を伝え、コンセプトへの共感(79.5%)を醸成する。
  5. 相見積りを前提に、比較で選ばれる準備をする。過半数が複数社を比較する。他社と並べられても伝わる強み・対応の丁寧さを、事例と初回対応の両方で示す。

共通するのは、広告で無理に押し込むより先に、「施主が自分で調べて、比べて、納得して選ぶ」プロセスに正しく情報を置くことです。高額で一生に何度もない買い物だからこそ、施主は慎重に事例と信頼を確かめます。そこに応える情報を整えることは、集客と同じ真剣さで取り組む価値のある経営課題です。

Sources / 出典

  1. 国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」(2025/6公表・注文住宅は全国/その他は三大都市圏調査・インターネット情報収集=注文住宅78.6%/分譲マンション82.2%/分譲戸建76.7%/中古マンション74.4%/中古戸建69.9%・全住宅種別で情報入手手段の1位/2026-07-07閲覧) — https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001900667.pdf
  2. 国土交通省「住宅市場動向調査 経年変化比較表(注文住宅)問6 施工者に関する情報収集方法」政府統計の総合窓口 e-Stat(情報収集手段の経年変化・インターネット利用の増加傾向/2026-07-07閲覧) — https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?layout=datalist&statdisp_id=0003154821
  3. UNIIDEO「注文住宅購入者が選ぶ、工務店選びに関する実態調査」(2022/6公表・直近3年以内の注文住宅購入者111名・決め手になったHPコンテンツ=施工事例56.8%/性能・構造41.9%/お客様の声37.8%・Web情報を参考69.4%・情報収集段階で依頼先決定35.2%/2026-07-07閲覧) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000036408.html
  4. アットホーム「注文住宅購入者の実態調査」(2024/6実施・過去2年以内の注文住宅購入者400名・探し方=住宅展示場54.0%/直接訪問36.5%/ホームページ34.3%・見積り依頼平均2.5社/1社のみ34.5%・コンセプト共感79.5%/2026-07-07閲覧) — https://www.athome.co.jp/corporate/news/data/questionnaire/custom-built-survey-202409/
  5. ローカルワークス「リフォーム業者選びに関する調査」(2022/12公表・リフォーム経験者1,000名・業者選びで困った経験8割近く・困った内容1位「相場がわからない」47%・失敗者が次回気をつけること1位「たくさん相見積もりをとる」35%/2026-07-07閲覧) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000017437.html
  6. リショップナビ(じげん)「リフォームの相見積りに関する調査」(リフォーム経験者240名・「複数業者を比較するべきだった」78.3%・選定時の不安「金額が妥当かわからない」46.7%/2026-07-07閲覧) — https://rehome-navi.com/articles/629

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