広告を出し、SEOを整え、SNSを運用して、ようやくページに来てくれた人が「問い合わせてみよう」とフォームを開く——ここまで来た人は、一番熱い見込み客です。ところが各種調査を重ねると、フォームに到達した人の7割超が入力を完了せずに離脱しています。集客のゴール直前に、大きな穴が空いているのです。
「フォームの入力を途中でやめた経験」を尋ねた調査は、時代を変えて何度も行われています。2013年の消費者調査では69%(「よくある」+「たまにある」)、2022年の消費者調査では75.5%、そして2025年のBtoB調査でも76.9%。10年以上たっても、「フォームまで来たのに送信しない」が多数派のまま変わっていません。
フォーム入力を「途中でやめた」経験がある人の割合
出典:f-tra(エフ・コード)2013年調査 f-tra.com/ニュートラルワークス2022 n-works.link/Cone 2025 cone-c-slide.com
さらに深刻なのはその後です。2013年の同調査では、フォームを離脱した人の64%が「そのまま商品・サービスの検討自体をやめてしまう」と回答しています。電話でかけ直してくれるわけでも、後でもう一度入力してくれるわけでもない。逃した「問い合わせたい」は、ほぼ戻ってこないのです。
フォームの離脱は「集客の失敗」ではありません。広告もSEOも成功した後の、ゴール直前1メートルでの失敗です。だからこそ、直せば集客を増やさずに問い合わせが増えます。
なぜ途中でやめてしまうのか。2013年調査の離脱理由は1位「入力項目が多いから」69%、2位「意図しないエラーが出た」55%、4位「画面が使いづらい」35%。そして2025年のBtoB調査でも、1位は「入力項目が多すぎた」62.9%。「多い・エラーが分かりにくい・打ちにくい」という理由は、10年以上ほぼ同じです。裏を返せば、対策も昔から分かっているのに、多くのフォームが直していないということです。
フォームを途中で離脱した理由(2025年・BtoB・離脱経験者)
出典:Cone「BtoBフォームの離脱調査」(2025/11・n=214のうち入力経験者130名) cone-c-slide.com
「どの項目で迷うのか」も調査で分かっています。2022年の消費者調査では、入力を最も躊躇する項目は「住所」29.1%、「会社名」19.5%、「電話番号」17.6%。つまり、会社側が「営業のために聞いておきたい」項目ほど嫌われているのです。資料をメールで送るだけなら、住所も電話番号も本当に必須でしょうか。
改善の第一歩は、デザインではなく引き算です。WACULがB2Bサイトのフォーム21件を分析した研究では、フォーム通過率(到達者のうち送信完了した割合)は平均20.37%、最高でも34.4%。そして入力項目数と通過率には強い負の相関があり、項目を1つ減らすごとに通過率は約2%pt向上しました。さらに同研究は「ユーザーは必須か任意かではなく、項目の絶対数に反応する」と指摘します。任意にして残すのではなく、フォームから消す——足りない情報は、返信や商談で聞けばよいのです。
海外(参考)でも結論は同じです。Baymard Instituteの集計では、ECのカゴ落ち率は50研究の平均で70.22%。購入直前の離脱理由では18%が「手続きが長すぎる・複雑すぎる」を挙げます。同社によれば、米国の平均的な購入手続きには14.88個の入力項目がある一方、理想的な設計なら7〜8項目で完了できる——つまり、多くのフォームは半分に削れる余地があるのです(2026-06-20閲覧)。
ユーザーは「問い合わせたくない」のではありません。「この量を、この画面で入力したくない」だけ。項目を1つ削ることは、広告費ゼロでできる集客改善です。
②エラーはその場で知らせる。2013年から離脱理由の2位に居座るのが「意図しないエラー」(55%)です。送信ボタンを押した後にまとめて赤字で突き返すのではなく、入力したその場で「使えない文字です」「未入力です」と教える(リアルタイムエラー表示)。全角・半角やハイフンの有無は、ユーザーに直させるのではなくシステム側で自動変換するのが定石です。
③入力例を先に見せる。「山田 太郎」「090-1234-5678」のような記入例をラベルの近くに常時表示し、何をどの形式で書けばよいか迷わせない。④スマホ前提で作る。2025年調査でも「スマホで見づらかった」(11.3%)は離脱理由に挙がっています。入力欄とボタンを指で押せる大きさにし、電話番号欄では数字キーパッドを出し、住所は郵便番号からの自動入力にする。PCで作ってPCで確認しただけのフォームは、スマホの小さな画面では「打ちにくい壁」になります。
加えて、WACULの同研究ではフォームへ誘導するボタンの文言と、フォームの見出しを一致させるだけで通過率が約1.3倍(一致21.7%・不一致16.6%)という結果も出ています。「資料請求」ボタンを押したのに「お問い合わせ」フォームが開く——そんな小さなズレも、不安と離脱を生むのです。
どれだけ改善しても、全員がフォームを完了してくれるわけではありません。そして離脱した人の多く(2013年調査で64%)は、そのまま検討をやめてしまいます。だからこそ最後の定石は、フォーム以外の入口を併設することです。スマホならタップでそのままかけられる電話ボタン、友だち追加だけで会話を始められるLINE、営業時間外も受け付けるチャット。特にLINEは「住所も名前も打たずに、まず聞ける」——いわば実質0項目のフォームとして機能します。
問い合わせフォームは、見込み客を選別する「関門」ではなく、問い合わせたい気持ちをそのまま通す「出口」であるべきです。項目を削り、その場でエラーを知らせ、例を見せ、スマホで打ちやすくし、フォーム以外の道も用意する。地味な改善の積み重ねが、同じ集客数のまま問い合わせを増やす、最も確実な近道です。
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