「うちは、どの媒体をやればいいですか?」——この質問の答えは、流行ではなくお客様の年代にあります。10〜20代はSNS・動画・AIで探し、60代以上は検索・地図・テレビで確かめる。同じ「日本のお客様」でも、情報の入口はまるで別物です。だから、全部やる必要はありません。国内の公的データで「年代別の探し方」を見ていきます。
まず土台になるのが、総務省の全国調査(13〜79歳・1,800人)です。Instagramの利用率は20代で78.0%に対して、60代は34.7%、70代は10.4%。TikTokは10代65.7%に対して60代18.8%、X(旧Twitter)も20代78.0%に対して60代22.1%。「SNSにお客様がいる」かどうかは、狙う年代でまったく変わるのです。一方でLINEだけは例外で、10代から60代まで90%超(70代でも71.8%)と全年代の連絡インフラになっています。
78.0%
20代のInstagram利用率。60代は34.7%、70代は10.4%と年代で大きな差
出典:総務省 情報通信政策研究所「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2025/6公表・13〜79歳1,800人/2026-06-21閲覧)soumu.go.jp
Instagramの利用率(年代別・令和6年度)
出典:総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2026-06-21閲覧) soumu.go.jp
では「調べもの」をするとき、人はどこから入るのか。LINEリサーチの大規模調査(13〜79歳・集計約5万人)では、スマホで調べものをするとき使うサービスの1位は全年代でGoogle(約8割)。検索は今も全世代共通の土台です。ただし2位以下が年代で割れます。女性20代はInstagramが2位で7割超とGoogleに迫り、男性10〜20代はXが5割超。若年層は「検索+SNS」の併用が当たり前なのに対し、60代ではGoogle利用がさらに9ポイント伸びるなど、上の年代ほど検索一本に寄っていきます。
総務省の調査でも同じ構図が出ています。「いち早く世の中のできごとを知る」ために最も使うメディアは、10代から50代ではインターネット、60代・70代ではテレビ。「情報源としての重要度」も10〜40代はインターネットが最重要、50〜70代はテレビが最重要と、ちょうど50代を境に情報の重心が入れ替わります。若年層=SNS・AI、30〜40代=検索とSNSの併用、50代以上=検索・テレビ中心。「探し方の世代差」は、国の統計にはっきり表れているのです。
そこに加わった新しい入口が、AI検索です。検索のときに生成AIを使う人は全体の37.0%まで増え、20代では初めて過半数を突破しました(2026年2月・n=9,278)。注目すべきは伸び方で、前回調査からの増加幅は50代が+7.7ptと最大。40代(+6.7pt)、20代(+6.6pt)が続きます。つまりAI検索は「若者だけの現象」ではなく、検索に慣れた上の年代へ、いま急速に広がっている最中です。とはいえ利用率の水準はまだ若年層が先行しており、「若い客層ほどAI検索対策が急務、上の年代も時間の問題」というのが現在地です。
+7.7pt
「検索で生成AIを使う」50代の伸び幅。全年代で最大(40代+6.7pt・20代+6.6pt)
出典:サイバーエージェント GEOラボ「生成AIのユーザー利用実態調査 第三弾」(2026/2・n=9,278)cyberagent.co.jp
実際の「お店探し」でも、この世代差はそのまま出ます。TableCheckの調査(20〜60代男女1,100名)では、飲食店を探すサービスとしてGoogleが初めてグルメサイトを抜いて首位に。そのうえでSNSでの飲食店検索は20代が先行して普及しています。そして「シニアはネットを使わない」は誤解です。モバイル社会研究所の調査では、スマホ比率は60代で94%、70代でも84%。シニアもスマホで探します——ただしその入口は、SNSのタイムラインではなく検索・地図・LINEなのです。
60代が使っているサービス(利用率・令和6年度)
出典:総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2026-06-21閲覧) soumu.go.jp
シニアはネットを使わないのではありません。スマホ比率は60代で94%。ただ入口が「検索・地図・LINE」なだけ——媒体を選ぶとは、お客様の入口に立つことです。
ここまでの数字をつなぐと、答えはシンプルです。お客様が10〜20代中心なら、InstagramやTikTokなどのSNSに投稿が並んでいること、そしてAI検索(20代は過半数が利用)に正しく認識されることが最優先。30〜40代中心なら、検索とSNSの併用層なので、検索で見つかる土台に加えてSNSを一つ。50代以上が中心なら、Google検索・Googleマップ(MEO)とクチコミの整備が本丸で、流行のSNSを追う必要はほとんどありません。
迷いやすいのが、幅広い年代が来る「年代ミックス」のお店。その場合も答えは出ています。調べものの1位が全年代でGoogle、飲食店探しでもGoogleが首位——つまり全世代に共通する土台は検索・マップです。まずGoogleビジネスプロフィールとクチコミ、Webサイトの正確な情報を固め、そのうえで主要な客層に合うSNSを「一つだけ」足す。「検索(マップ)+1つのSNS」から始めて、育ってから広げる方が、全部に手を出して薄くなるより確実に成果につながります。
「全部のSNSをやる」は戦略ではありません。お客様の年代がいる場所から、順番に。検索とマップという全世代の土台を固めてから、一つずつ積むのが最短ルートです。
そしてどの年代を狙う場合でも、共通して効くのはWeb上の正確な情報と第三者の声(クチコミ)です。それは人に見つけてもらう土台であると同時に、検索エンジンやAIが「このお店は実在し、評価されている」と判断する材料でもあります。年代で入口は違っても、信頼の証拠がWeb上に積み上がっているお店が選ばれる——ここだけは、全世代共通です。
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