小売店・物販の「入口」が、検索窓からSNSのフィードへ移りつつあります。購入・来店のきっかけになった投稿の種類を尋ねた調査では、「一般ユーザーの投稿」が57.8%で最多となり、企業アカウントの投稿(47.8%)を上回りました。お店を見つけるのは広告ではなく、すでに買った・訪れたお客様の投稿(UGC)です。そしてその投稿に触れた人ほど、実際に買う。本記事では、小売・物販がSNSとお客様の投稿で「見つけられ、買われる」構造を、国内の実在データで整理します。
まず「どこで店や商品を知るか」が変わっています。SHIBUYA109 lab.がZ世代女性(15〜24歳)に聞いた調査(2025年8月)では、お出かけ・体験の情報源はInstagramが64.6%で最多。検索エンジン(28.8%)の2倍以上でした。買い物や来店の起点が、Google検索ではなくSNSのフィードに置き換わりつつあります。
お出かけ先・商品の情報源は?(Z世代女性・2025年8月)
出典:SHIBUYA109 lab.「Z世代のSNS利用最新動向2025」(2025/8・女性15〜24歳・n=413) advertimes.com
そのフィードで人が見ているのは、企業の宣伝だけではありません。ホットリンクの調査(2024年5月・日本在住n=1,000)では、Instagramの利用目的1位は「知り合いではないアカウントの投稿を見る」で64.8%。お店側の公式アカウントの投稿より、他のユーザーが上げた「実際の商品写真・来店の様子」が、日常的に発見の窓口になっています。
そして「誰の投稿が買い物の背中を押したか」を尋ねると、順位は逆転します。アライドアーキテクツの調査(2022年1月・n=881)では、購入・来店のきっかけになった投稿の種類で「一般ユーザーの投稿」が57.8%と最多。インフルエンサー(49.4%)や企業アカウント(47.8%)を上回りました。宣伝より、名もないお客様の一枚。それが小売の「見つけられ方」の中心です。
購入・来店のきっかけになった投稿の種類(複数回答)
出典:アライドアーキテクツ「Twitter上のクチコミ行動・影響度に関する調査」(2022/1・n=881・現X) markezine.jp
フィードで見つかることは、そのまま行動に直結しています。同じホットリンクの調査では、Instagram投稿をきっかけに商品を購入・来店した経験がある人は55.2%。さらに約80%が、Instagramで知った商品の詳細を自分で検索していました。気になる投稿は「保存」され、後日その店名・商品名で調べ直され、来店・購入に至る——SNSは眺めて終わりではなく、購買の起点として機能しています。
55.2%
Instagram投稿をきっかけに、商品を購入・来店した経験がある人の割合(日本在住n=1,000)
出典:ホットリンク「Instagram利用動向調査2024」(2024/5実施・日本在住n=1,000・2026-07-07閲覧)prtimes.jp
お客様の投稿(UGC)が売上に効くことは、EC側のデータでも裏づけられます。あるバッグ・スーツケースメーカーのEC支援事例では、サイト上でレビューや写真といったUGCに接触したユーザーのコンバージョン率(購入率)は、非接触ユーザーの約1.7倍。同じ商品ページでも、他のお客様の「実物写真・使用感」に触れられるかどうかで、買われ方が変わります。
1.7倍
UGC(レビュー・写真)に接触したユーザーの購入率は、非接触ユーザーの約1.7倍(UGC接触率35%の事例)
出典:ギャプライズ(バッグ・スーツケースメーカーのEC支援事例・自社実績・2026-07-07閲覧)ecnomikata.com
お客様の一枚の投稿は、次のお客様にとっての「発見」であり、「買っていい理由」でもある。UGCは、広告費のかからない営業として店の外で働き続けます。
裏を返せば、投稿されない店・保存されない商品は、この入口に乗れません。だからこそ小売の集客は、「発信する」だけでなく「お客様が投稿したくなる状況をどうつくるか」が要になります。
SNSは発見から購入までの距離も縮めています。ライブ配信で商品を紹介し、その場で売る「ライブコマース」では、NTTコム リサーチの調査(2022年12月〜2023年1月・n=566)で視聴経験者の54.8%が実際に商品を購入。20代では66.2%に達しました。まだ視聴経験者の母数は限られますが、「配信を見て、その流れで買う」という買い方が、若い層から定着しつつあります。
ライブコマース視聴経験者の「購入経験率」(年代別)
出典:NTTコム リサーチ「『ライブコマース』に関する調査」(調査期間2022/12/7〜2023/1/17・n=566) prtimes.jp
「保存して、後で買う」動きが特に強いのがPinterestです。Pinterest公式(日本)によると、5人に3人の日本のユーザーがショッピングのために利用し、上位検索の96%が「◯◯(ブランド名)」ではない非指名検索。つまり多くの人が、特定の店を決める前の「探している段階」でこのプラットフォームにいます。商品写真やコーディネート、入荷情報を保存しやすい形で置いておくことが、そのまま将来の来店・購入の入口になります。
5人に3人
日本のPinterestユーザーのうち、ショッピングのために利用している割合。上位検索の96%は非指名検索
出典:Pinterest Business 公式(日本・オーディエンス)(2026-07-07閲覧)business.pinterest.com
発見(フィード)→保存→検索→購入・来店。この一連の流れのどこにも、いまやお客様自身の投稿が関わっています。小売にとってのSNS対策とは、この導線上に自店の商品写真・入荷情報・お客様の声を欠かさず置いておくことに他なりません。
ここまでのデータを踏まえると、小売店・物販がSNS・UGCで「見つけられ、買われる」ために着手すべき順序は、次のように整理できます。
共通するのは、発信を「お店から一方的に出す広告」ではなく、お客様の投稿が生まれ、それが次の集客に回る循環として設計することです。UGCは一度回り始めれば、広告費をかけずに店の外で営業を続けます。これは販促担当だけの実務ではなく、見つけられ方と売上に直結する経営テーマとして向き合う価値があります。
あなたのお店は、
お客様の投稿で見つかっていますか。
商品写真・入荷情報の発信、来店客の投稿(UGC)、店名・商品名での検索導線——いまSNS上でどう見つけられているかを無料で診断し、投稿から来店・購入につなぐ優先順位をレポートにしてお届けします。