2024年、モノの買い物のうちECが占める割合(物販系分野のEC化率)は9.8%でした。裏を返せば、物販の約9割はいまも実店舗を中心とするネット以外の場で買われています。ただし、その来店の手前に「検索とクチコミでの下調べ」が入るようになりました。ネット通販では88.5%、実店舗の買い物でも約7割が、買う前に第三者の声を確認しています。小売業の集客環境がどう変わったのかを、経済産業省・中小企業庁関連の公的データと国内調査で整理します。
国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場は、2024年に26.1兆円と前年比5.1%増になりました。物販系分野のEC化率は9.8%(前年比0.4ポイント増)で、ほぼ一貫して上昇を続けています。とはいえ水準は1割弱。小売の主戦場が実店舗であることは、まだ変わっていません。変わったのは、お客様が店にたどり着くまでの過程です。
現場の空気を示すのが商店街の調査です。令和6年度商店街実態調査では、最近の景況について「衰退している」(33.2%)または「衰退の恐れがある」(28.3%)と答えた商店街が合計61.5%。最近1年間の来街者数も「減った」(38.5%)が「増えた」(14.8%)を大きく上回りました。一方で、平均空き店舗率は11.30%と前回調査(13.59%)から2.29ポイント改善しており、新しく店を出す動き自体は続いています。人通り頼みの集客が細るなかで、店の入れ替わりは起きている——それが数字から見える現在地です。
支払いの環境も動いています。2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%(162.7兆円)となり、政府は2030年までに65%という中間目標を掲げました。買い物の入口(下調べ)から出口(決済)まで、店頭体験のデジタル化は既定路線になっています。
まず、買い物そのものの移動です。EC化率は物販全体で9.8%ですが、商材によって水準は大きく異なります。
9.8%
物販系分野のEC化率(2024年・前年比0.4ポイント増)。BtoC-EC市場全体は26.1兆円で前年比5.1%増
出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025/8公表・2026-07-07閲覧)meti.go.jp
商品カテゴリ別のEC化率(2024年・物販系)
出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025/8公表・2026-07-07閲覧) meti.go.jp
次に、来店前の行動です。ネットで買う場合はもちろん、実店舗で買う場合でも、大半の人が第三者の声(UGC=クチコミやSNS投稿)を確認しています。
購入・来店の前にUGC(第三者の声)を確認する人の割合
出典:アライドアーキテクツ/Letro「生活者の購買行動におけるUGC影響度調査2022」(2022/12・n=1,083) aainc.co.jp
58.0%
2025年のキャッシュレス決済比率(決済額162.7兆円)。内訳はクレジットカード82.7%、コード決済10.2%など。政府の中間目標は2030年までに65%
出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026/3/31公表・2026-07-07閲覧)meti.go.jp
61.5%
最近の景況を「衰退している」(33.2%)「衰退の恐れがある」(28.3%)と答えた商店街の合計。来街者数は「減った」38.5%が「増えた」14.8%を上回る
出典:全国商店街振興組合連合会「令和6年度商店街実態調査」(2025/6公表・中小企業庁協力・n=4,824・2026-07-07閲覧)syoutengai.or.jp
第一に、「見つからない」問題です。買う前の下調べが標準になった結果、検索結果・地図アプリ・SNSに情報が出てこない店は、比較の土俵に載る前に候補から外れます。来街者数が「減った」と答えた商店街は4割近く——通りがかりの自然な入店が細るほど、ネット上の見つかりやすさが実質的な「立地」になります。
第二に、「選ばれない」問題です。実店舗の買い物でも約7割がUGCを確認する以上、クチコミの量・内容・返信の有無は、店構えと同じように吟味されています。さらに、書籍56.45%・生活家電等43.03%のようにEC化率の高い商材では、価格と品揃えが常にネットと比較されます。相談できる、すぐ手に入る、実物を試せる——「この店で買う理由」が来店前に伝わらなければ、下調べの段階でECへ流れます。
第三に、「再来店しない」問題です。キャッシュレス化は、ポイント・会員証・メッセージ配信と一体で進んでいます。決済や連絡先の接点を持たない店は、一度の来店で関係が切れやすく、再来店を偶然に委ねることになります。そして第四に、「人が採れない」問題です。商店街の最大の課題は「経営者の高齢化による後継者問題」(64.9%)でした。求職者や後継ぎ候補も、応募の前に店をネットで調べます。情報が古いままの店は、お客様だけでなく人材からも選ばれにくくなります。
いま起きているのは、探し方の変化です。検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37%、20代では過半数。「近くで〇〇が買える店は?」とAIやマップに尋ねる人が増え、AIの回答が比較候補の入口になる場面が増えています。※これは小売業だけを対象にした調査ではなく、検索行動全体の調査です。
37%
検索で生成AIを使う人(業種横断・全体/20代は過半数)。AIの回答を見た人のうち、おすすめをきっかけに購入・利用した人は47.5%
出典:CyberAgent「GEOラボ」(業種を問わない検索行動全体の調査)cyberagent.co.jp
AIは、店のGoogleマップ情報・在庫・クチコミ・SNSでの言及(サイテーション)を材料に回答を組み立てることがあります。だからいまマップとクチコミ、店の情報を整えることは、そのまま「AIに引用・推薦されやすい状態」=AIに選ばれる準備につながります。
公的データが示す変化に対して、打ち手の方向ははっきりしています。費用が小さく、土台になるものから並べます。
1. 地図・検索の基本情報を整える。Googleビジネスプロフィール等の営業時間・住所・写真・商品情報を最新に保ち、店名・住所・電話番号の表記をネット上で統一します。「調べたら正しく出てくる」がすべての前提です。
2. クチコミの収集と返信を仕組みにする。会計時の声かけやレシート・POPで自然に依頼し、返信を継続します。約7割が見る「第三者の声」を、店側の説明と同じ重さで扱います。
3. 来店前の疑問に答える発信を持つ。自社サイトやSNSで、在庫・入荷・価格帯・選び方など「下調べで知りたいこと」を発信します。
4. キャッシュレスと会員化をセットで整える。決済手段の拡充に合わせて、LINE等の再来店につながる接点をつくります。
5. 商材のEC化率に応じて、店頭以外の買い方を併設する。取り置き・取り寄せ・ECとの連携など、来店できない日でも買える手段を用意します。
6. AIに選ばれる準備(GEO/AIO)を整える。生成AI・AI検索の回答に引用・推薦されやすいよう、正確なGoogleビジネスプロフィール・クチコミ・第三者の言及を整えます。上の1〜5で整えた情報が、そのままAIの判断材料になります。
「下調べされる側」に回るための各論は、次のデータ記事にまとまっています。
小売の勝負は、お客様が店に着く前——検索結果とクチコミ欄で、すでに始まっています。店頭の魅力が「来店前の画面」でも見えるようにすることが、小売業の集客の出発点です。
小売業界のために書き下ろした、この業界だけのデータ記事です。
実店舗の売上を支えるのは「もう一度来る人」。ポイントの取扱店を選んで買い物する人は41.7%、キャンペーンを狙う人は38.4%(マイボイスコム n=11,695)。物販の約9割が実店舗で動くいま、ポイント・会員・連絡接点で再来店を設計する方法を消費者調査と公的データで整理します。
READ →物販のEC化率は9.78%で購入の約9割は今も実店舗。店探しの手段はGoogleマップ・Google検索がともに60.2%で最多、マップ経由の来店経験者は64.5%です。「近くで欲しい」需要を取りにいく地図・ローカル検索対策を整理します。
READ →購入・来店のきっかけになった投稿は「一般ユーザーの投稿」が57.8%で最多。Instagram投稿をきっかけに購入・来店した経験は55.2%、UGC接触者のCVRは非接触の約1.7倍。小売・物販がSNSとお客様の投稿で見つけられ買われる構造を実在データで整理。
READ →2025年の訪日消費は過去最高の9兆4,559億円。うち買物代は2兆5,490億円で費目別2位(27.0%)。訪日客数も4,268万人で過去最高、滞在中のGoogleマップ利用は99%。見つけてもらう小売の準備を公的データで整理。
READ →2025年の訪日消費は9兆4,549億円と過去最高。その85.5%は宿泊・買物・飲食に流れ、地方部にも2.1兆円が届いています。スマホで店を探す訪日客に「見つかる店」の条件を公的データで整理します。
READ →中小企業の悩みの1位は「売上不振」33.5%。一方、新規顧客の獲得は既存客の維持より5〜25倍高くつくという海外研究も。外食利用の77.3%を占めるリピートが利益に効く構造を、出典つきで解説します。
READ →店名が語られる「サイテーション」はリンクなしでも効く。7.5万ブランド分析で言及量とAI可視性の相関は0.66〜0.71。言及を増やす実務まで解説。
READ →お客様の投稿には著作権・肖像権がある。UGCの二次利用は「許諾」が基本。海外調査では58%が許諾に応じ、43%は紹介してくれたブランドのファンに。
READ →国内ソーシャル広告費は前年比118.7%の1兆3,067億円でネット広告の約4割に。LINEは最低出稿金額なし。少額から効く理由をデータで解説。
READ →Perplexityの月間クエリは7.8億件。日本でもソフトバンク提携で身近に。出典を示すAI検索では“引用される情報の質”が可視性を決める。
READ →外食探しは食べログ・Instagram・Googleが拮抗、美容室は予約サイト40.3%が1位。口コミの主戦場は業種と客層で違う。見極め方を国内データで解説。
READ →訪日客は出発前にSNS43.3%・動画39.6%で調べ、滞在中は99%がGoogleマップを使います。日本語の情報を役立てた人は11.2%。店の探し方と情報整備の優先順位を公的データで解説します。
READ →総務省調査で平日も休日もネット利用時間がテレビ視聴を逆転。10代はネット243分vsテレビ40分、広告費もネットがテレビの約2.1倍に。
READ →一度離れた常連の43.9%は「また行きたい」と答え、拒絶は14.9%のみ。お客様は不満で消えるのではなく、忘れて消える——離脱理由の調査データと、思い出してもらう接点のつくり方を解説します。
READ →Instagram利用率は20代78.0%・70代10.4%。若年層はSNS・AI検索、シニアは検索・地図・テレビ中心。やる媒体は客層の年代で決まる。
READ →悪い口コミを見た人の67%が、お店の返信対応までチェック。まごころ型の返信で来店意向は31.7%→59.3%とほぼ2倍。返信は“次のお客様”への接客です。
READ →訪日客は過去最高の4,268万人。観光庁調査では困りごとの上位に言語と決済が並び、現場は飲食店に集中しています。全部やる必要はあるのか——公的データで対応の優先順位を整理します。
READ →利用目的1位は“知らない人の投稿を見る”64.8%。公式もリールは「大半がフォロー外」と説明。発見から来店につなげる小さなお店の型を解説。
READ →スマホ音声入力の利用経験は64.5%、用途1位は地図・ルート検索。会話で聞かれる「近くの」「営業時間」に、ビジネス情報とFAQで答える準備を。
READ →広告は止めれば流れも止まりますが、LINE友だち・会員・メルマガの顧客リストは店に残る資産です。利用者の2〜4割は「ポイントがたまる店なら切り替える」と回答。再来店を生む仕組みをデータで解説します。
READ →ランサム被害222件の約6割は中小企業、復旧費用1,000万円以上が半数。「必要性を感じない」44%の無防備こそ最大のリスク。最低限の4対策を解説。
READ →星5と引き換えの割引も、サクラレビューも、いまは景品表示法違反。命令を受けるのは投稿者でなく店側。NGラインと正しい頼み方を整理した。
READ →世界で1日2,000億回超(海外・参考)。国内の月間利用率も62%で1位、69%がショートで見つけて長尺へ。ショートは長尺資産への新しい入口です。
READ →マップで探した73.5%が来店。来店直前にGBPを最終確認する人は62.8%、決め手は順位より「クチコミ・写真」。
READ →Z世代女性の情報源はInstagramが64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。止まらない発信が「生きているお店」の証明に。
READ →投稿理由は「他の人におすすめ」34.8%が最多。依頼のタイミングと設計、返信が次のクチコミを生む。
READ →視聴者の54.8%が購入、20代は66.2%。見て、納得して、その場で買う。新しい売り場をデータで解説。
READ →検索で生成AIを使う人は37.0%。だがChatGPT・Gemini・AIモードは利用率も利用層も違う。どのAIに拾われるかを設計する。
READ →日本のユーザーの5人に3人が買い物に利用。上位検索の96%は非指名検索で、人は買うものを決める前に訪れる。
READ →AI概要で検索1位のクリックは日本で約38%減。でも上位でもAIに引用されるのは48%だけ。SEOは「順位」から「引用」へ。
READ →ネット通販で88.5%、実店舗でも約7割が購入前にUGCを確認。企業発信より使った人の声を重視は51.3%。UGCはMEO・SEO・AIOを横断する信頼資産。
READ →GoogleはLCP・INP・CLSを体験の公式指標とし、2024年3月INPが正式昇格。遅いサイトは中身を見られる前に離脱される。
READ →AI概要表示で日本のクリックは約38%減、ゼロクリックは全体63.2%。対策は引用・指名・他チャネル。
READ →Xの情報で買った人は60.4%、来店した人は58.4%。20代の利用率78%。リアルタイムな評判が、購買と来店を動かす。
READ →消費者庁の調査で口コミ評価が高い商品を選ぶ人は70.1%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。人にもAIにも効く。
READ →国内利用者は約1,230万人、2年で222%増。テキストSNSがいま再評価されている。
READ →日本の月間利用者は4,200万。お出かけ情報源はTikTokが39.0%で検索を上回る。出会いがショート動画から生まれる。
READ →検索で生成AIを使う人は37%、20代は過半数超。利用はChatGPTが圧倒的。AIに引用される会社とそうでない会社の差が開く。
READ →「良くない点も書かれている」が信頼の理由に41.2%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。消すのではなく、返信・改善で信頼を作る。
READ →店舗探しの手段はGoogleマップ・検索が60.2%で最多。マップで探した人の約73%が来店。地図とクチコミが来店を左右する。
READ →Z世代女性のお出かけ情報源はInstagram64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。検索の入口がSNSへ。
READ →レビュー構造化データで星付きリッチスニペット。AIモード時代、第三者評価の整備がそのままAIO対策になる。
READ →縦型短尺が新規発見の入口に。視聴者の32.2%が動画を見て商品を購入。縦型動画広告は前年比171%で急成長。
READ →EC全体で88.5%、美容ECで88.8%、食品通販で82%が口コミを確認・重視。業種ごとに口コミ運用の設計を。
READ →個人のネット利用はスマホ74.4%がPC46.8%を上回り最多。Googleもスマホ版を評価の基準にしている。
READ →訪日客が滞在中に役立った情報源はスマホ89.5%が圧倒的1位。出発前はSNS38.9%・動画38.1%。
READ →国内MAU1億・利用率94.9%。約8割が当日開封し、友だち追加46%が行動を生む。新規より「もう一度来てもらう」の主役。
READ →国内ネット動画広告は123%成長でディスプレイを初めて上回った。市場は2028年に1兆円超の予測。
READ →画像付きレビューを参考にする人は93%。信頼の条件は「具体性」と「写真」。文字より写真が、人を動かす。
READ →購入・来店のきっかけは一般ユーザー投稿が57.8%で最多。UGC接触でCVR約1.7倍。投稿は仕組みで増やせる。
READ →指名検索はCVが約12倍。ブランド言及量はAI Overviewsの可視性とも強く相関。指名される状態が土台。
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