スクール・教室の入会は、「体験・見学の申込」から「入会」までの導線でほとんどが決まります。保護者が「良さそう」と思っても、申込の入口がわかりにくかったり、フォームの入力項目が多かったりすれば、そこで関心は途切れます。実際、フォーム入力を途中でやめた経験がある人は75.5%、その理由の1位は「入力項目が多すぎた」(62.9%)。一方で、いまや保護者がネットを見る端末はスマートフォンが中心(利用率74.4%)で、LINEの利用率は94.9%に達しています。本記事では、せっかくの関心を取りこぼさない体験申込の設計を、客観データで整理します。
体験や見学を申し込むとき、多くの保護者が最初に触れるのが問い合わせフォームです。ところが、フォームは想像以上に人が離れる場所です。ニュートラルワークスの調査(2022年8月・回答261名)では、「フォーム入力中に離脱をしたことがある」人が75.5%に上りました。せっかく興味を持って入力を始めても、4人に3人が途中で手を止めた経験を持っている計算です。
75.5%
フォーム入力を「途中でやめた(離脱した)ことがある」と回答した人の割合
出典:株式会社ニュートラルワークス「入力フォームに関する調査」(2022/8・回答261名)n-works.link
問題は「なぜ離脱するのか」です。株式会社Coneの調査(2025年11月)では、フォーム入力を途中でやめた経験がある人(N=130)のうち、離脱理由の1位が「入力項目が多すぎた」で62.9%、2位が「必須項目が多かった」で50.8%でした。前掲のニュートラルワークス調査でも、離脱理由の最上位は「入力必須項目の多さ」(54%)。2つの調査が共通して示すのは、離脱の主因が「入力の手間」そのものだということです。
フォーム入力を途中でやめた理由(複数回答・上位)
出典:株式会社Cone「フォームに関する調査」(2025/11・離脱経験者N=130) prtimes.jp
これは習い事の申込にそのまま当てはまります。体験を申し込むだけなのに、住所・生年月日・勤務先・きょうだいの有無まで入力を求められれば、保護者は「あとで」と離脱します。そして「あとで」は、多くの場合戻ってきません。体験申込のフォームは、聞きたいことを全部聞く場所ではなく、まず一歩踏み出してもらう場所——この前提の違いが、申込数の差になって表れます。
フォームから人が離れる最大の理由は、内容への不満ではなく「入力の手間」。体験申込は、必須項目を絞るほど、最初の一歩が踏み出しやすくなる。
保護者がどの端末で情報を見て、申し込むのか。総務省「令和7年版 情報通信白書」(2024年時点)によると、個人のインターネット利用はスマートフォンが74.4%で、パソコン(46.8%)を27.6ポイント上回っています。教室を探すのも、比べるのも、申し込むのも、いまや大半がスマホの画面の中で起きています。
74.4%
個人がインターネット利用に使う端末のうちスマートフォンの割合。パソコン(46.8%)を27.6ポイント上回る(2024年)
出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」(通信利用動向調査・2024年時点)soumu.go.jp
だからこそ、体験申込の導線がスマホで完結するかどうかが分かれ目になります。小さな文字を拡大しないと押せないボタン、横スクロールが必要なフォーム、PDFで配布される申込書——こうした「PC前提」の設計は、スマホで見た瞬間に離脱を生みます。ページの表示や入力がスマホで無理なくできることは、装飾ではなく、申込を受け取るための最低条件です。
連絡手段も同じ方向を向いています。同白書では、LINEの利用率が94.9%(2024年)に達し、60代でも91.1%が使う「生活のインフラ」になりました。メールアドレスの入力や電話をためらう保護者でも、LINEの「友だち追加」から日程を選ぶだけなら心理的なハードルは大きく下がります。フォームを入口にしつつ、LINEでも体験予約・日程調整を受けられるようにしておくことは、取りこぼしを減らす現実的な一手です。
主なSNS・連絡ツールの利用率(2024年)
出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」(情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査/通信利用動向調査・2024年) soumu.go.jp
そもそも保護者は、何を基準に習い事を選ぶのでしょうか。栄光ゼミナールの調査(2025年1月・回答3,598名)では、習い事を選ぶときに重視することとして「子どもがやりたがっているかどうか」が最も高く、約9割。次いで「曜日や時間帯の都合が合う」が続きました。つまり、パンフレットのスペックよりも、子どもが実際に体験して「やりたい」と思えるかが入会を決める中心にあります。
約9割
習い事を選ぶとき「子どもがやりたがっているかどうか」を重視する保護者の割合(最多の重視項目)
出典:栄光ゼミナール「2025 小中高生の習い事に関する調査」(2025/1・回答3,598名)eikoh.co.jp
体験が決め手になるからこそ、その入口でつまずくのは大きな損失です。VISH株式会社が首都圏の保護者300名に行った調査(2024年10月)では、習い事に関する課題として「登録手続きの煩雑さ」に不満を持つ保護者が25.3%いました。「子どものモチベーションの持続」(44.3%)や「送り迎え・安全性」(26.7%)と並んで、手続きのわずらわしさそのものが、保護者の負担として意識されていることがうかがえます。関心の高い保護者を、申込の面倒さで逃がしてしまう構図です。
加えて、体験の申込は「入れて終わり」ではありません。体験の日時が近づいたときのリマインド、当日の持ち物や場所の案内、そして体験後に「いかがでしたか」と一言添えるフォロー——LINEなら、これらを自動または手軽に届けられます。申し込みやすく、忘れられにくく、背中を押される。この一連の流れが整っているかどうかが、体験からの入会率を静かに左右します。
ここまでのデータを踏まえると、体験申込で関心を取りこぼさないための打ち手には、自然な優先順位が見えてきます。
習い事の集客は、認知を広げることと同じくらい、生まれた関心を確実に受け止める「体験申込の導線」で決まります。フォームの項目をひとつ減らす、スマホで押しやすくする、LINEで受けられるようにする——一つひとつは小さな改善ですが、その積み重ねが、体験に来る人数と、そこからの入会数を変えていきます。
その体験申込、
スマホで1分で終わりますか。
いまの申込フォーム・体験予約の導線が、スマホの保護者にどう見えているか。入力項目数・スマホ対応・LINE予約の観点から無料で診断し、取りこぼしを減らす改善の優先順位をレポートにしてお届けします。