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業種データ / 習い事・スクール まず読む1本

子どもは減るのに、
教室の市場は縮まない。

Nest Lab業種データ / 習い事・スクール2026.07.07出典7件

2025年の出生数は67万1236人で過去最少。それでも習い事・スクール市場は縮まない

2025年に生まれた子どもは67万1236人。統計を取り始めた1899年以来、もっとも少ない数字になりました。習い事・スクール業にとっては、これから教室に通う子どもの数が構造的に細っていくことを意味します。ところが同じ時期、家庭が「学校の外の学び」にかける支出はむしろ増え、学習塾の売上高も前年を上回りました。市場のお金は縮んでいないのに、教室の倒産は過去最多——。いま起きているのは業界全体の縮小ではなく、「選ばれる教室」と「選ばれない教室」への静かな再配分です。

子どもは毎年2%減り、教室の淘汰は過去最多になった。

厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、2025年の出生数は67万1236人。前年より1万4937人(2.2%)減り、合計特殊出生率は1.14と過去最低の水準です。習い事・スクールの主なお客様である子どもの数は、「6年後の小学1年生」「10年後の中学入学」というかたちで、今年の出生数がそのまま将来の商圏人口になります。対象人口の減少は予測ではなく、すでに確定した未来です。

教室の側では、退場が加速しています。東京商工リサーチによると、2025年の学習塾の倒産は55件と前年(53件)を上回り、過去最多を更新しました。負債1億円未満の小規模塾が94.5%を占め、原因の81.8%は販売不振——つまり「生徒が集まらないこと」でした。同調査は、少子化で生徒の絶対数が減るなかで集団・個別・オンラインと指導方法が多様化し、実質賃金が伸び悩む保護者の「コストパフォーマンスへの目線」も厳しくなっている、と背景を指摘しています。

それでも、市場のお金は縮んでいません。経済産業省の動態統計(調査対象企業ベース)では、2024年の学習塾の売上高は約5,934億円で前年比+2.1%。一方、受講生数(各月合計)は約1,415万人で▲2.1%と3年連続の減少です。文部科学省の調査でも、公立小学校の子ども1人にかける学校外活動費(学習塾・家庭教師・習い事などの経費)は年25万6489円と、前回調査の約24万8千円から増えました。「通う子どもは減るのに、1人あたりの支出は増える」——減った人数を単価が埋めている構図であり、だからこそ「その支出がどの教室に向かうか」の競争だけが激しくなっています。

数字で見る、習い事・スクールの現状。

67.1万人

2025年の出生数は67万1236人。統計開始(1899年)以来の最少で、前年から2.2%減・合計特殊出生率は1.14

出典:厚生労働省「令和7年(2025)人口動態統計月報年計(概数)」(2026/6公表・2026-07-07閲覧)mhlw.go.jp

25.6万円

公立小学校の学校外活動費(学習塾・習い事など)は年25万6489円。学習費総額36万6599円の70.0%を占め、前回調査の約24万8千円から増加

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2024/12公表・2026/1訂正版・2026-07-07閲覧)mext.go.jp

+2.1%

2024年の学習塾売上高は約5,934億円で前年比+2.1%。受講生数(各月合計)は約1,415万人で▲2.1%と3年連続減

出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計 長期時系列表・学習塾」(最終確報・e-Stat・2026-07-07閲覧)e-stat.go.jp

55

2025年の学習塾の倒産は55件で過去最多。負債1億円未満の小規模塾が94.5%、原因の81.8%は販売不振

出典:東京商工リサーチ「2025年の『学習塾』倒産」(2026/1・2026-07-07閲覧)tsr-net.co.jp

では、家庭は何を選んでいるのか。学研教育総合研究所が小学生に聞いた調査では、習い事を「何もしていない」は23.3%。裏を返せば、約77%の家庭がいまも、どこかの教室・サービスを選び続けています。上位には水泳・塾・英会話・音楽と、地域の教室ビジネスが並びます。

小学生がしている習い事・上位5つ(2024年11月調査)

水泳24.6%
受験・補習のための塾16.9%
英会話教室14.3%
音楽教室(歌や楽器など)11.8%
通信教育9.0%

出典:学研教育総合研究所「小学生白書Web版 2024年11月調査」(2025/2公表・「習い事はない」は23.3%/2026-07-07閲覧) gakken.jp

入口は「口コミと検索」。見つからない教室は、比較に入れない。

選ばれ方には、はっきりした型があります。保護者300人に「いま子どもが通っている学習塾を知ったきっかけ」を聞いた調査では、1位が知人・友人の口コミ(47.0%)ネットの口コミも28.3%で3位に入り、あわせて「誰かの評判」が入口の中心でした。同じ調査で、塾を選ぶ基準の1位は「自宅・学校から近いこと」。送り迎えがある習い事・スクールは商圏の狭い業種であり、保護者は「近所で・評判がよく・うちの子に合う」教室を、口コミと検索で下調べしながら絞り込んでいきます。

47.0%

保護者が通っている学習塾を知ったきっかけの1位は「知人・友人の口コミ」47.0%。「ネットの口コミ」28.3%も3位に入り、評判が入口の中心

出典:POPER「保護者と学習塾の意識調査」(2022/4-5・保護者300人/学習塾70教室・PR TIMES・2026-07-07閲覧)prtimes.jp

この行動を教室の側から見ると、3つの現実に翻訳できます。第一に、「見つからない」教室は候補にすら入らないこと。地図や検索結果に情報が出てこない、月謝や対象年齢が調べても分からない教室は、体験や見学の前に静かに外されます。第二に、「選ばれない」は口コミの差で起きること。同調査では、保護者が口コミを重視する一方で、塾側は「ネットの口コミ掲載」をあまり重視していないという認識の乖離も指摘されました。多くの教室がまだ整えていない領域だからこそ、先に整えた教室が比較で残ります。第三に、紹介は在籍家庭の満足からしか生まれないこと。入口の47%が口コミである以上、いま通っている家庭の体験の質と紹介が生まれる仕掛けが、新規集客の最大の源泉です。出生数の減少で新規の絶対数は毎年細っていくため、体験・見学1件の価値は年々上がっていきます。

子どもが減っても、約77%の家庭は教室を選び続ける。変わったのは総量ではなく、「口コミと検索で下調べしてから来る」という選ばれ方のほうです。

そして、探し方そのものが「AIに聞く」へ動き始めている。

いま起きているのは、探し方の変化です。検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37%、20代では過半数。保護者が「◯◯(地域)で子ども向けの英語教室のおすすめは?」とAIに尋ね、AIの回答が比較候補の入口になる場面が増えています※これは習い事・スクール業だけを対象にした調査ではなく、検索行動全体の調査です。

37%

検索で生成AIを使う人(業種横断・全体/20代は過半数)。AIの回答を見た人のうち、おすすめをきっかけに購入・利用した人は47.5%

出典:CyberAgent「GEOラボ」(業種を問わない検索行動全体の調査)cyberagent.co.jp

AIの回答は、その教室のGoogleマップ情報・クチコミや評判・第三者の言及(サイテーション)を材料に組み立てられることがあります。だからいまマップとクチコミを整えることは、そのまま「AIに引用・推薦されやすい状態」=AIに選ばれる準備につながります。

対策の優先順位——データが示す順番で。

ここまでの数字を打ち手に翻訳すると、優先順位は次のようになります。

  1. 地図・検索の基礎情報を整える——Googleビジネスプロフィールなどの営業時間・月謝・対象年齢・時間割・写真を最新に保つ。商圏の狭い業種では「近くの教室」を探す検索が入口になるため、最優先の土台です。
  2. クチコミの獲得と返信を仕組みにする——体験後や進級・発表会のあとに依頼する型を決め、返信は全件行う。入口の中心(口コミ47.0%・ネットの口コミ28.3%)に直接効く打ち手です。
  3. 体験・見学の申込導線を短くする——スマホで完結する予約フォーム、空き枠の見える化、前日リマインド。新規の絶対数が減るほど、1件の取りこぼしの損失は大きくなります。
  4. 教室の中身が見える発信をする——講師の紹介、レッスン風景の写真や短い動画、料金の明示。保護者は申し込む前に「うちの子に合うか」を下調べしています。
  5. 紹介が生まれる仕組みをつくる——紹介特典や、発表会・進級イベントなど共有されやすい機会の設計。在籍家庭の満足を、新規の入口につなげます。
  6. AIに選ばれる準備(GEO/AIO)——生成AI・AI検索の回答に引用・推薦されやすいよう、正確なGoogleビジネスプロフィール・クチコミ・第三者の言及を整える。上の各対策で整えた情報が、そのままAIの判断材料になります。

教室選びの入口になる「Webの信頼感」「SNSでの見せ方」「クチコミの集め方」は、それぞれ別の記事でデータをまとめています。

まとめ:この業界の集客をひとことで言うと。

子どもは毎年2%減るのに、1人にかける金額は増えている。習い事・スクールは「全体が縮む」のではなく、「口コミと検索で見つかる教室に、生徒が寄っていく」業界です。見つかり、比べられ、選ばれる準備をした教室から、定員が埋まっていきます。

Sources / 出典

  1. 厚生労働省「令和7年(2025)人口動態統計月報年計(概数)結果の概要」(2026/6公表・出生数671,236人=統計開始以来最少・前年比▲2.2%・合計特殊出生率1.14/2026-07-07閲覧) — https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai25/dl/kekka.pdf
  2. 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 結果のポイント」(2024/12/25公表・2026/1/16訂正版・公立小学校の学校外活動費256,489円=学習費総額の70.0%/2026-07-07閲覧) — https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_1.pdf
  3. 経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 長期時系列表 19 学習塾」(e-Stat・2024年売上高5,934億円・前年比+2.1%/受講生数1,415万人・▲2.1%。本調査は2024年12月分で終了し、2025年以降は総務省「サービス産業動態統計調査」に統合/2026-07-07閲覧) — https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?layout=dataset&toukei=00550050&stat_infid=000028878232
  4. 東京商工リサーチ「2025年の『学習塾』倒産 過去最多の55件 少子化と物価高の中、小規模な学習塾が苦戦」(2026/1・55件・負債1億円未満94.5%・販売不振81.8%/2026-07-07閲覧) — https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202296_1527.html
  5. 学研教育総合研究所「小学生白書Web版 2024年11月調査『習い事ランキング』」(2025/2公表・水泳24.6%・塾16.9%・英会話14.3%・音楽11.8%・通信教育9.0%・習い事なし23.3%/2026-07-07閲覧) — https://www.gakken.jp/kyouikusouken/whitepaper/202411/chapter7/01.html
  6. POPER「保護者と学習塾の意識調査」(2022/4-5実施・保護者300人/学習塾70教室・知ったきっかけ1位「知人・友人の口コミ」47.0%・「ネットの口コミ」28.3%・PR TIMES/2026-07-07閲覧) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000028977.html
  7. CyberAgent「GEOラボ」(検索で生成AIを使う人37%・20代過半数/AI回答を見た人のうち、おすすめで購入・利用した人47.5%。業種横断の検索行動調査/2026-07-08閲覧) — https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=33041

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