2025年に生まれた子どもは67万1236人。統計を取り始めた1899年以来、もっとも少ない数字になりました。習い事・スクール業にとっては、これから教室に通う子どもの数が構造的に細っていくことを意味します。ところが同じ時期、家庭が「学校の外の学び」にかける支出はむしろ増え、学習塾の売上高も前年を上回りました。市場のお金は縮んでいないのに、教室の倒産は過去最多——。いま起きているのは業界全体の縮小ではなく、「選ばれる教室」と「選ばれない教室」への静かな再配分です。
厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、2025年の出生数は67万1236人。前年より1万4937人(2.2%)減り、合計特殊出生率は1.14と過去最低の水準です。習い事・スクールの主なお客様である子どもの数は、「6年後の小学1年生」「10年後の中学入学」というかたちで、今年の出生数がそのまま将来の商圏人口になります。対象人口の減少は予測ではなく、すでに確定した未来です。
教室の側では、退場が加速しています。東京商工リサーチによると、2025年の学習塾の倒産は55件と前年(53件)を上回り、過去最多を更新しました。負債1億円未満の小規模塾が94.5%を占め、原因の81.8%は販売不振——つまり「生徒が集まらないこと」でした。同調査は、少子化で生徒の絶対数が減るなかで集団・個別・オンラインと指導方法が多様化し、実質賃金が伸び悩む保護者の「コストパフォーマンスへの目線」も厳しくなっている、と背景を指摘しています。
それでも、市場のお金は縮んでいません。経済産業省の動態統計(調査対象企業ベース)では、2024年の学習塾の売上高は約5,934億円で前年比+2.1%。一方、受講生数(各月合計)は約1,415万人で▲2.1%と3年連続の減少です。文部科学省の調査でも、公立小学校の子ども1人にかける学校外活動費(学習塾・家庭教師・習い事などの経費)は年25万6489円と、前回調査の約24万8千円から増えました。「通う子どもは減るのに、1人あたりの支出は増える」——減った人数を単価が埋めている構図であり、だからこそ「その支出がどの教室に向かうか」の競争だけが激しくなっています。
67.1万人
2025年の出生数は67万1236人。統計開始(1899年)以来の最少で、前年から2.2%減・合計特殊出生率は1.14
出典:厚生労働省「令和7年(2025)人口動態統計月報年計(概数)」(2026/6公表・2026-07-07閲覧)mhlw.go.jp
25.6万円
公立小学校の学校外活動費(学習塾・習い事など)は年25万6489円。学習費総額36万6599円の70.0%を占め、前回調査の約24万8千円から増加
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2024/12公表・2026/1訂正版・2026-07-07閲覧)mext.go.jp
+2.1%
2024年の学習塾売上高は約5,934億円で前年比+2.1%。受講生数(各月合計)は約1,415万人で▲2.1%と3年連続減
出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計 長期時系列表・学習塾」(最終確報・e-Stat・2026-07-07閲覧)e-stat.go.jp
55件
2025年の学習塾の倒産は55件で過去最多。負債1億円未満の小規模塾が94.5%、原因の81.8%は販売不振
出典:東京商工リサーチ「2025年の『学習塾』倒産」(2026/1・2026-07-07閲覧)tsr-net.co.jp
では、家庭は何を選んでいるのか。学研教育総合研究所が小学生に聞いた調査では、習い事を「何もしていない」は23.3%。裏を返せば、約77%の家庭がいまも、どこかの教室・サービスを選び続けています。上位には水泳・塾・英会話・音楽と、地域の教室ビジネスが並びます。
小学生がしている習い事・上位5つ(2024年11月調査)
出典:学研教育総合研究所「小学生白書Web版 2024年11月調査」(2025/2公表・「習い事はない」は23.3%/2026-07-07閲覧) gakken.jp
選ばれ方には、はっきりした型があります。保護者300人に「いま子どもが通っている学習塾を知ったきっかけ」を聞いた調査では、1位が知人・友人の口コミ(47.0%)。ネットの口コミも28.3%で3位に入り、あわせて「誰かの評判」が入口の中心でした。同じ調査で、塾を選ぶ基準の1位は「自宅・学校から近いこと」。送り迎えがある習い事・スクールは商圏の狭い業種であり、保護者は「近所で・評判がよく・うちの子に合う」教室を、口コミと検索で下調べしながら絞り込んでいきます。
47.0%
保護者が通っている学習塾を知ったきっかけの1位は「知人・友人の口コミ」47.0%。「ネットの口コミ」28.3%も3位に入り、評判が入口の中心
出典:POPER「保護者と学習塾の意識調査」(2022/4-5・保護者300人/学習塾70教室・PR TIMES・2026-07-07閲覧)prtimes.jp
この行動を教室の側から見ると、3つの現実に翻訳できます。第一に、「見つからない」教室は候補にすら入らないこと。地図や検索結果に情報が出てこない、月謝や対象年齢が調べても分からない教室は、体験や見学の前に静かに外されます。第二に、「選ばれない」は口コミの差で起きること。同調査では、保護者が口コミを重視する一方で、塾側は「ネットの口コミ掲載」をあまり重視していないという認識の乖離も指摘されました。多くの教室がまだ整えていない領域だからこそ、先に整えた教室が比較で残ります。第三に、紹介は在籍家庭の満足からしか生まれないこと。入口の47%が口コミである以上、いま通っている家庭の体験の質と紹介が生まれる仕掛けが、新規集客の最大の源泉です。出生数の減少で新規の絶対数は毎年細っていくため、体験・見学1件の価値は年々上がっていきます。
子どもが減っても、約77%の家庭は教室を選び続ける。変わったのは総量ではなく、「口コミと検索で下調べしてから来る」という選ばれ方のほうです。
いま起きているのは、探し方の変化です。検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37%、20代では過半数。保護者が「◯◯(地域)で子ども向けの英語教室のおすすめは?」とAIに尋ね、AIの回答が比較候補の入口になる場面が増えています。※これは習い事・スクール業だけを対象にした調査ではなく、検索行動全体の調査です。
37%
検索で生成AIを使う人(業種横断・全体/20代は過半数)。AIの回答を見た人のうち、おすすめをきっかけに購入・利用した人は47.5%
出典:CyberAgent「GEOラボ」(業種を問わない検索行動全体の調査)cyberagent.co.jp
AIの回答は、その教室のGoogleマップ情報・クチコミや評判・第三者の言及(サイテーション)を材料に組み立てられることがあります。だからいまマップとクチコミを整えることは、そのまま「AIに引用・推薦されやすい状態」=AIに選ばれる準備につながります。
ここまでの数字を打ち手に翻訳すると、優先順位は次のようになります。
教室選びの入口になる「Webの信頼感」「SNSでの見せ方」「クチコミの集め方」は、それぞれ別の記事でデータをまとめています。
子どもは毎年2%減るのに、1人にかける金額は増えている。習い事・スクールは「全体が縮む」のではなく、「口コミと検索で見つかる教室に、生徒が寄っていく」業界です。見つかり、比べられ、選ばれる準備をした教室から、定員が埋まっていきます。
習い事・スクール業界のために書き下ろした、この業界だけのデータ記事です。
第一子が塾を探し始めた保護者の44%が地図サービスで塾を探し、入塾前にGoogleマップを見た保護者は65%。入会の決め手は「場所の近さ」48.4%が最多。塾・習い事が検索・比較・近さで選ばれる実態を公的データで整理します。
READ →塾を知ったきっかけの1位は「知人・友人の口コミ」47.0%、ネット上の口コミを参考にする保護者は約72%。消費者全体でも評価の高いものを選ぶ人は70.1%、否定的な声で購入をためらう人は63.9%。第三者の声とGoogleの返信対応が、子どもを預ける不安を埋めます。
READ →フォーム入力中に離脱した経験がある人は75.5%、理由の1位は「入力項目が多すぎた」(62.9%)。スマホ利用74.4%・LINE利用率94.9%のいま、体験申込の入口で関心を取りこぼさない導線設計を客観データで整理します。
READ →中小企業の悩みの1位は「売上不振」33.5%。一方、新規顧客の獲得は既存客の維持より5〜25倍高くつくという海外研究も。外食利用の77.3%を占めるリピートが利益に効く構造を、出典つきで解説します。
READ →店名が語られる「サイテーション」はリンクなしでも効く。7.5万ブランド分析で言及量とAI可視性の相関は0.66〜0.71。言及を増やす実務まで解説。
READ →BtoBサイトで最も見られ、問い合わせの決定打にもなるのは「料金」。比較は3社以内が8割超。価格を隠さず「目安+理由」で示す料金ページの型を解説。
READ →国内ソーシャル広告費は前年比118.7%の1兆3,067億円でネット広告の約4割に。LINEは最低出稿金額なし。少額から効く理由をデータで解説。
READ →Perplexityの月間クエリは7.8億件。日本でもソフトバンク提携で身近に。出典を示すAI検索では“引用される情報の質”が可視性を決める。
READ →更新が止まったサイトは「営業しているか不安」49.8%・「取引したくない」32.6%。営業時間が古ければ36.0%が別の店へ。情報の鮮度が信頼を左右します。
READ →外食探しは食べログ・Instagram・Googleが拮抗、美容室は予約サイト40.3%が1位。口コミの主戦場は業種と客層で違う。見極め方を国内データで解説。
READ →フォロー後39.2%が「より好きになった」、働く人の発信で72%が企業に絆(海外)。中の人運用の効果と、雑談に走らない線引きをデータで解説。
READ →一度離れた常連の43.9%は「また行きたい」と答え、拒絶は14.9%のみ。お客様は不満で消えるのではなく、忘れて消える——離脱理由の調査データと、思い出してもらう接点のつくり方を解説します。
READ →Instagram利用率は20代78.0%・70代10.4%。若年層はSNS・AI検索、シニアは検索・地図・テレビ中心。やる媒体は客層の年代で決まる。
READ →フォーム到達者の7割超が入力完了せず離脱。理由は10年間「項目が多い」が1位。1項目減で通過率+2%pt。改善の定石と窓口複線化を解説。
READ →悪い口コミを見た人の67%が、お店の返信対応までチェック。まごころ型の返信で来店意向は31.7%→59.3%とほぼ2倍。返信は“次のお客様”への接客です。
READ →スマホ検索で使うサービスの2位はYouTube(48.2%)。動画リッチリザルトとキーモーメントを整えれば、動画は検索からも見つかる資産になる。
READ →広告は止めれば流れも止まりますが、LINE友だち・会員・メルマガの顧客リストは店に残る資産です。利用者の2〜4割は「ポイントがたまる店なら切り替える」と回答。再来店を生む仕組みをデータで解説します。
READ →星5と引き換えの割引も、サクラレビューも、いまは景品表示法違反。命令を受けるのは投稿者でなく店側。NGラインと正しい頼み方を整理した。
READ →世界で1日2,000億回超(海外・参考)。国内の月間利用率も62%で1位、69%がショートで見つけて長尺へ。ショートは長尺資産への新しい入口です。
READ →国内利用率26.8%は5年ほぼ横ばい。中心は30〜50代、60代は20代超え。若者SNSで届かないミドル・シニアに実名で届く現役の媒体。
READ →マップで探した73.5%が来店。来店直前にGBPを最終確認する人は62.8%、決め手は順位より「クチコミ・写真」。
READ →Z世代女性の情報源はInstagramが64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。止まらない発信が「生きているお店」の証明に。
READ →投稿理由は「他の人におすすめ」34.8%が最多。依頼のタイミングと設計、返信が次のクチコミを生む。
READ →2024年4月の改正障害者差別解消法で合理的配慮が義務化。世界トップ100万サイトの95.9%に不備という現実が、設計の必須性を示す。
READ →検索で生成AIを使う人は37.0%。だがChatGPT・Gemini・AIモードは利用率も利用層も違う。どのAIに拾われるかを設計する。
READ →AI概要で検索1位のクリックは日本で約38%減。でも上位でもAIに引用されるのは48%だけ。SEOは「順位」から「引用」へ。
READ →GoogleはLCP・INP・CLSを体験の公式指標とし、2024年3月INPが正式昇格。遅いサイトは中身を見られる前に離脱される。
READ →全世代の88.3%が利用、国内7,370万人。61%が「購入の決め手に役立つ」と回答。動画は独自のメディアになる。
READ →生成AI検索は半年で約1.5倍。AIのおすすめで実購入47.5%。AIの回答に名前が載るGEOが集客の起点に。
READ →消費者庁の調査で口コミ評価が高い商品を選ぶ人は70.1%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。人にもAIにも効く。
READ →Google公式は「AIでもSEOの基本は引き続き重要」と明言。AI参照の前提は、インデックスされていることと、人のための中身。
READ →日本の月間利用者は4,200万。お出かけ情報源はTikTokが39.0%で検索を上回る。出会いがショート動画から生まれる。
READ →決裁者の84%は営業に会う前に購買を決める情報へ到達。検討時の情報源で企業サイトは35.4%。国内企業の93.2%がサイトを持つ時代。
READ →店舗探しの手段はGoogleマップ・検索が60.2%で最多。マップで探した人の約73%が来店。地図とクチコミが来店を左右する。
READ →Z世代女性のお出かけ情報源はInstagram64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。検索の入口がSNSへ。
READ →EC全体で88.5%、美容ECで88.8%、食品通販で82%が口コミを確認・重視。業種ごとに口コミ運用の設計を。
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