DATA-DRIVEN MEDIA  /  「選ばれる時代」の集客を、客観データで解き明かす。
Nest Lab. 選ばれる時代の研究室 無料AI診断
美容 / リピート・失客防止

美容室は、新規より
「もう一度」で決まる。

Nest Lab美容 / リピート・失客防止2026.07.02出典5件

美容室の利用者の62%は「毎回同じお店」を選ぶ

美容室の経営は、しばしば「新規客をどう集めるか」に議論が集中します。しかし利用者の側を見ると、美容室選びの重心は明らかに「もう一度、同じ店へ」にあります。理容室・美容室で「毎回同じお店」を利用する人は62%(メディアシーク調べ・n=23,662)。一方で、行きつけをやめた理由の過半は「不満」ではありません。過当競争で新規獲得コストが上がるいま、利益を左右するのは、来た人に静かに通い続けてもらう「失客防止・再来」の設計です。本記事では、その現在地を大手調査で整理します。

美容室選びは、そもそも「もう一度」でできている。

スマートフォンアプリ「アイコニット」利用者2万3,662人に尋ねたメディアシークの調査(2024年9月)では、理容室・美容室を「毎回同じお店を利用する」と答えた人が62%。「いいえ」は22%、「どちらとも言えない」16%でした。3人に2人近くが、行きつけを固定しています。同じ店に通い続ける理由の1位は「自分の髪質や好みを理解してもらっているから」。次いで「料金が安いから」「通いやすいから」が続きました。価格や立地よりも先に、「私のことを分かっている」という関係が固定客をつくっています。

62%

理容室・美容室で「毎回同じお店を利用する」と答えた人の割合。理由の1位は「髪質や好みを理解してもらっているから」

出典:メディアシーク「『美容室』に関するアンケート調査」(2024/9・アイコニット内調査・有効回答23,662名)prtimes.jp

裏を返せば、美容室の売上の土台は「新規の数」ではなく「固定客がどれだけ残るか」で決まります。新規は入口にすぎず、多くの利用者にとってのゴールは「通える店を1つ決める」こと。だからこそ、せっかく来た新規客を固定客に育てられるか、そして育った固定客を失わずにいられるかが、経営の分かれ目になります。

行きつけをやめる理由の過半は、「不満」ではない。

では、通っていた美容室から足が遠のくとき、何が起きているのでしょうか。美容室口コミサイト「ヘアログ」を運営するノーマリズムが、行きつけの美容室をやめた人に理由を尋ねた調査(2021年・n=100)では、1位は「美容室や美容師に対する不満」43%。しかし残りに目を向けると、「引っ越しなど自分都合(生活環境の変化)」38%「担当美容師の異動・退職」19%——この2つを合わせた57%は、不満以外の理由でした。

行きつけの美容室をやめたきっかけ(n=100)

美容室・美容師への不満43%
引っ越しなど自分都合(生活の変化)38%
担当美容師の異動・退職19%

出典:ノーマリズム(美容室口コミサイト「ヘアログ」)「行きつけ美容室をやめた理由のアンケート調査」(2021/10・n=100) dreamnews.jp

つまり、失客の多くは決定的なクレームや事件ではなく、生活が変わり、担当者がいなくなり、通う理由が静かに薄れていく形で起こります。とくに「担当者の異動・退職」で19%が離れる構図は、美容室に固有のリスクです。お客様が信頼しているのは店そのものだけでなく「担当の人」でもあるため、その人がいなくなると関係ごと途切れやすい。担当交代のタイミングは、失客の危険水域だと言えます。

去っていく固定客の過半は、お店を嫌いになったのではない。生活が変わり、担当者が変わり、思い出す理由が薄れる——それだけで、足は遠のく。

再来の意思は、「来店前」と「会計時」に固まっている。

再来してもらうために、どの場面が効くのか。リクルート(ホットペッパービューティーアカデミー)が過去1年に美容室を利用した20〜59歳男女2,600人へ行った「美容サロン顧客満足調査2023」では、次回も同じ店に行くと決めるタイミングとして「来店前」に再来を決めている人が女性24.0%・男性32.3%にのぼりました。施術の出来だけでなく、予約のしやすさや口コミの評判といった「行く前」の体験が、すでに再来の意思を左右しているということです。

24.0%

女性が「来店前」の段階で再来を決めている割合(男性は32.3%)。ネット予約のしやすさ・口コミの評判が上位

出典:リクルート「美容サロン顧客満足調査2023」(2023/9・過去1年に美容室を利用した20〜59歳男女・のべ2,600人)prtimes.jp

同じ傾向は、サロンを変えた経験がある女性300人への調査(ホットペッパービューティーアカデミー・2024年2月)でも確認できます。ヘアサロンで再来・変更を決めるタイミングのうち27.7%は「来店前」。来店してからの接客で挽回する前に、勝負の一部は「調べる・比べる」段階で決まっています。求職者が会社を調べるように、お客様もネット予約のとりやすさ、口コミ、料金の分かりやすさで店を値踏みしている——その入口を整えることが、再来率の底上げになります。

そして同じリクルートの調査は、「会計」の重要度が前回2021年調査から上昇していることを示しました。来店〜会計〜帰宅までの場面で満足につながる要素の1位は「料金が明確で分かりやすい」。キャッシュレスやオンライン決済が広がり、ストレスのない会計が満足と再来を左右する要素になっています。仕上がりの良さ(満足度の高い場面は「仕上がり確認」「施術」「カウンセリング」が上位)はもちろん前提ですが、最後の会計の一瞬までが再来の判断材料になっている、ということです。

「通い続けてもらう」ための、対策の優先順位。

ここまでのデータは、美容室のリピートが「技術の満足」だけで決まるわけではないことを示しています。62%が同じ店を選び、失客の過半は不満以外、再来の意思は来店前と会計時に固まる。だとすれば、打ち手はおのずと絞られます。データからの示唆として、優先順位を整理します。

  1. 「担当が変わっても続く」関係に広げる。失客理由の19%は担当者の異動・退職。カルテ(髪質・履歴・好み)を店で共有し、指名だけに頼らず「この店なら分かってもらえる」状態をつくる。担当交代時こそ丁寧な引き継ぎを。
  2. 会計の一瞬で、次の来店の「入口」を渡す。満足の最後の接点は会計。料金を明確にし、その場で次回予約を案内する、あるいはLINE公式アカウントの友だち追加・次回クーポンを添える。忘れられる前に、次に会う理由をお客様の手に残す。
  3. 「思い出してもらう接点」を持つ。失客の多くは不満ではなく「思い出す機会の消失」。LINEやメッセージで、季節メニューやメンテナンス時期の案内を頻度を絞って届ける。過度な配信は逆効果になるため、あくまで「また行きたくなる中身」に徹する。
  4. 「来店前」の見え方を整える。再来・新規のどちらも来店前に意思が固まり始める。ネット予約のとりやすさ、口コミ、料金の分かりやすさ、仕上がりの写真——調べたときに伝わる情報を整備する。
  5. 失客防止を「数字」で見る。新規数だけでなく、再来率・継続率・離脱のタイミングを把握する。どの段階で離れているかが見えて初めて、打ち手の優先順位がつく。

お客様は、顧客であると同時に「調べて、比べて、選ぶ」生活者です。募集を出しても応募が来ない採用の悩みと同じで、美容室のリピートも「良い施術をしていれば自然に続く」ものではなくなりました。技術で満足させることと、その関係を切らさない仕組みを持つこと——この両輪が、過当競争のなかで「通い続けてもらえる店」と「静かに失っていく店」を分けていきます。

Sources / 出典

  1. メディアシーク「『美容室』に関するアンケート調査結果」(2024/9/11実施・スマホアプリ「アイコニット」内調査・有効回答23,662名・毎回同じ店を利用62%/いいえ22%/どちらとも16%・リピート理由1位「髪質や好みを理解してもらっている」/2026-07-07閲覧) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000123.000040972.html
  2. ノーマリズム(美容室口コミサイト「ヘアログ」)「行きつけ美容室をやめた理由のアンケート調査」(2021/10発表・2021/9/29〜10/1調査・全国10〜50代男女・n=100・不満43%/自分都合38%/担当者の異動・退職19%) — https://www.dreamnews.jp/press/0000245247/
  3. リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロン顧客満足調査2023」(2023/9/7発表・過去1年に美容室を利用した20〜59歳男女・リピート意向者男女各1,000人/変更意向者男女各300人=のべ2,600人・来店前に再来決定=女性24.0%/男性32.3%・満足場面上位「仕上がり確認」「施術」「カウンセリング」・「会計」重要度が上昇) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002202.000011414.html
  4. リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「顧客満足調査(MOT)/顧客離れは、いつ決まる?来店前に2割以上が失客」(2024/2/20公開・サロンを変更した経験がある20〜59歳女性300人・ヘアサロンで再来/変更を決めるタイミングのうち来店前27.7%/2026-07-07閲覧) — https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/column/c_repeat/54953/
  5. リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2024年上期≪美容室・理容室編≫」(2024/6/25発表・15〜69歳男女の美容サロン利用実態・女性の1回あたり利用金額7,482円〈前年比189円増〉・値上げが利用金額増の理由1位/2026-07-07閲覧) — https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/census/2024-1st-half/57951/

関連記事

その新規客は、
「もう一度」来ていますか?

ネット予約・口コミ・料金の見え方から、会計後に再来を促す接点まで。お客様が「通い続ける理由」を持てているかを、失客防止の観点で無料で診断し、優先順位をレポートにしてお届けします。

無料AI診断を申し込む