2025年に日本を訪れた外国人は4,268万人(前年比15.8%増)で過去最高。外国人の延べ宿泊者数も1億7,787万人泊(前年比8.2%増・速報値)と過去最高水準まで伸びました。この需要がどの宿に向かうかは、多くの場合、日本に着く前に決まり始めています。観光庁の調査では、訪日客が「出発前に役立った」と答えた旅行情報源はSNSが43.3%で1位、動画サイトが39.6%。一方、宿泊施設のホームページは11.1%にとどまります。つまり宿は、自社サイトの中ではなく、SNSと動画とクチコミの中で比べられている——本記事では、訪日客の「探し方」のデータに宿の情報発信を合わせ直す手順を、観光庁・JNTOの公的データで整理します。
まず、訪日客が旅の情報を「いつ・どこで」集めているかです。観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」によると、訪日客が出発前に役立った旅行情報源として挙げたのは、SNSが43.3%で1位。動画サイトが39.6%で続き、個人ブログも23.9%にのぼります。旅のイメージづくりから候補の絞り込みまでが、来日前に、母国の画面の中で進んでいるということです。
訪日客が「出発前に役立った」と答えた旅行情報源(2025年)
出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(2026-07-11閲覧) mlit.go.jp
ここで注目したいのが、宿泊施設のホームページは11.1%という数字です。出発前の情報収集で宿の公式サイトを役立てた人は、1割ほどにとどまります。SNS(43.3%)と比べると大きな開きがあり、宿の公式情報は「最初の出会いの場」になりにくい。多くの訪日客はまずSNS・動画・ブログで候補と出会い、公式サイトはそのあとに確認しに来る場所になっている、と読める構図です。
43.3%
訪日客が「出発前に役立った」と答えた旅行情報源の1位=SNS。宿泊施設ホームページは11.1%
出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(2026-07-11閲覧)mlit.go.jp
訪日客と宿の最初の接点は、宿の公式サイトではなく、SNS・動画・ブログの中にある。出発前のその画面に載っていない宿は、比較が始まる前に候補から外れている可能性がある。
「出発前に決めている」で終わりではありません。同じ調査で、旅行中に役立った旅行情報の種類を見ると、交通手段(65.9%)・飲食店(56.0%)に続いて宿泊施設が38.0%。旅の途中でも、およそ4割の訪日客が宿の情報を役立てています。旅程を固めきらずに来日し、道中で次の宿を調べて決める——そうした行動が一定の規模で存在するということです。
訪日客が「旅行中に役立った」と答えた旅行情報(2025年)
出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(2026-07-11閲覧) mlit.go.jp
つまり宿には、2つの探され方があります。ひとつは出発前、SNS・動画・ブログでの「候補としての出会い」。もうひとつは旅行中、スマートフォンでの「いま泊まれる宿の確認」です。前者は発信の蓄積が、後者は地図・検索上の正確な情報とクチコミが効いてきます。どちらか一方ではなく、両方の場面で見つかる状態をつくることが、訪日客に選ばれる前提条件になります。
38.0%
旅行中に役立った旅行情報として「宿泊施設」を挙げた訪日客の割合。旅の途中でも約4割が宿情報を探す
出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(2026-07-11閲覧)mlit.go.jp
この「探され方」に応える価値は、金額で見ると分かりやすくなります。2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円。その費目別内訳で最も大きいのが宿泊費の36.6%です。買物でも飲食でもなく、宿泊が訪日消費の最大費目——訪日客が日本で使うお金の3分の1以上は、どこかの宿のレジに向かっています。
36.6%
2025年の訪日外国人旅行消費額9兆4,549億円のうち、費目別で最大の宿泊費が占める割合
出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」(2026-07-11閲覧)mlit.go.jp
しかも、この市場は伸びています。訪日外客数は4,268万人(前年比15.8%増)で過去最高を更新し、外国人の延べ宿泊者数も1億7,787万人泊(前年比8.2%増・速報値)と過去最高水準です。需要の総量は増えている。あとは、その需要が「探す場面」であなたの宿に出会えるかどうか。出発前のSNS・動画に載り、旅行中の検索で正確に見つかる宿から順に、この36.6%は分配されていきます。
ここまでのデータを踏まえると、宿のインバウンド対策は「訪日客の探し方」の順番に合わせるのが素直です。データからの示唆として、優先順位を整理します。
要点はシンプルです。訪日客は、出発前にSNSと動画で宿と出会い、旅行中もスマートフォンで宿を探している。宿泊費は訪日消費の最大費目であり、その行き先は「探す場面で見つかった宿」から決まっていく。ならば宿側の準備は、訪日客の画面の中——SNS・動画・地図・クチコミ——に自分の宿を置くことから始まります。これは特別な施策ではなく、いま増えている需要と出会うための、入口の整備です。
あなたの宿は、訪日客の
「出発前」に見つかっていますか?
SNS・動画・地図・クチコミの中で、あなたの宿の情報がいま訪日客にどう見えているか。宿泊業のインバウンド集客という観点から無料で診断し、整えるべき優先順位をレポートにしてお届けします。