2025年、飲食業の倒産は1,002件。集計が始まった1996年以降の30年間で、初めて1,000件を超えました(東京商工リサーチ)。一方で、外食の市場そのものは縮んでいません。2024年度の外食市場規模(東名阪3圏域・夕食市場の推計)は3兆6,196億円で前年度比+5.0%。市場が伸びているのに、退出する店は過去最多——いま起きているのは「縮小」ではなく「二極化」です。本記事では、倒産統計と市場データを突き合わせ、選ばれる側に回るために整えるべきものを、事実→示唆→打ち手の順で整理します。
まず事実からです。東京商工リサーチの調査によると、2025年の「飲食業」倒産は1,002件(前年比+1.0%)。1996年に集計を始めてからの30年間で、初めて1,000件の大台を超えました。件数の伸び自体は+1.0%と小幅ですが、高止まりしたまま記録を更新した形です。
1,002件
2025年の「飲食業」倒産。前年比+1.0%で、1996年以降の30年間で初めて1,000件を超えた
出典:東京商工リサーチ「2025年『飲食業』倒産 初の1,000件超」(2026/1公表)tsr-net.co.jp
中身を見ると、増え方が急な要因がはっきりしています。同調査では、「物価高」を要因とする倒産が136件で前年比+126.6%、「人手不足」を要因とする倒産が55件で+161.9%。件数全体は前年並みでも、仕入れ・光熱費・人件費の上昇に耐えきれなかったケースが、この1年で倍以上に増えたということです。
2025年の飲食業倒産のうち、前年から急増した要因(東京商工リサーチ)
出典:東京商工リサーチ「2025年『飲食業』倒産 初の1,000件超」(2026/1公表) tsr-net.co.jp
もう一つの特徴は、規模の偏りです。倒産した飲食業のうち資本金1千万円未満が886件で88.4%。倒産は小規模・零細な店に集中しています。体力の薄い店ほど、コスト上昇の影響を吸収する余地が小さい、という構図が読み取れます。
88.4%
2025年に倒産した飲食業のうち、資本金1千万円未満の構成比(886件)。小規模・零細に集中
出典:東京商工リサーチ「2025年『飲食業』倒産 初の1,000件超」(2026/1公表)tsr-net.co.jp
なお、帝国データバンクの集計(東京商工リサーチとは集計基準が異なるため、件数は一致しません)でも、2025年の飲食店倒産は900件と過去最多・3年連続の増加でした。同調査によると、飲食店の価格転嫁率は32.3%で、全業種平均の39.4%を下回っています。コストが上がった分を価格に反映しきれていない——値上げ一つとっても難しい業種であることが、数字に表れています。
倒産が過去最多と聞くと「外食離れが進んでいるのでは」と考えたくなりますが、市場データは逆を示しています。ホットペッパーグルメ外食総研の推計では、2024年度の外食市場規模は3兆6,196億円で、前年度比+5.0%。この数字は首都圏・関西圏・東海圏(東名阪)の3圏域・夕食市場を対象とした推計ですが、外食にお金を使う人が減ったのではないことを示す材料になります。
+5.0%
2024年度の外食市場規模3兆6,196億円の前年度比(東名阪3圏域・夕食市場の推計)
出典:ホットペッパーグルメ外食総研「2024年度外食&中食動向」(2025/9公表)hotpepper.jp
市場は伸びているのに、退出する店は初の1,000件超。つまり、お客様や外食のお金が消えたのではなく、行き先が偏っていると考えられます。物価高でお客様の側も「どの店に行くか」を選ぶ姿勢が強まるほど、来店先は情報が整っていて比較に耐える店へ集まりやすくなる——倒産統計と市場統計のギャップは、その示唆として読むことができます。
外食市場は+5.0%、倒産は初の1,000件超。数字が示しているのは「外食離れ」ではなく、選ばれる店とそうでない店の差が開いていく「二極化」である。
では、選ばれる側とそうでない側は、どこで分かれるのか。手がかりの一つが、来店前の「比べられ方」です。全国の20〜60代500名を対象にした民間調査(イクシアス・2025年1月実施)では、Googleのクチコミについて星3.8以上を来店の基準にする人が計49.6%(最多は「4.0」の26.0%)、30件以上あると信用の目安になるとした人が計51.4%でした。二極化の時代、お客様は来店前に「星」と「件数」という共通のものさしで店を比べています(この比べられ方の詳細は、関連記事で扱っています)。
この前提に立つと、選ばれる側に回るための打ち手は、特別なものではありません。データからの示唆として、優先順位を整理します。
初の1,000件超という数字は重いものですが、同じ年の市場は+5.0%で伸びています。二極化とは、裏を返せば「情報を整えた店に来店が集まりやすくなる」構造でもあります。倒産統計を怖い数字で終わらせず、自店の情報とクチコミがいまお客様にどう見えているかを点検すること——それが、選ばれる側に回るための現実的な一歩です。
あなたのお店は、
「選ばれる側」に見えていますか?
倒産が初の1,000件を超えた同じ年、外食市場は+5.0%で伸びています。差がつくのは、店舗情報・写真・クチコミ・発信がお客様にどう見えているか。二極化の時代に整えるべき優先順位を無料で診断し、レポートにしてお届けします。