DATA-DRIVEN MEDIA  /  「選ばれる時代」の集客を、客観データで解き明かす。
Nest Lab. 選ばれる時代の研究室 無料AI診断
業種データ / 飲食 まず読む1本

外食市場は伸びている。
なのに、倒産は過去最多。

Nest Lab業種データ / 飲食2026.07.07出典7件

2025年の飲食店倒産は900件で過去最多、外食売上は前年比107.3%

2025年の外食売上は前年比107.3%と、4年連続で前年を上回りました。ところが同じ年、飲食店の倒産は900件と過去最多を更新しています。市場が伸びているのに、店は史上最多のペースで退場している——。飲食業の集客を考える出発点は、この「二極化」の構図を数字で正しくつかむことです。

いま、飲食業で起きていること——「伸びる市場」と「消える店」の同時進行。

数字のうえでは、外食産業は好調が続いています。日本フードサービス協会の市場動向調査(会員社の全店データ)によると、2025年(1〜12月)の外食全体の売上は前年比107.3%。業態別でも喫茶(109.8%)、ファーストフード(107.5%)、ファミリーレストラン(107.2%)、ディナーレストラン(106.6%)、パブレストラン/居酒屋(104.0%)と、すべての業態が前年を上回りました。2025年は大阪・関西万博の開催が関西圏の外食需要を押し上げ、訪日外客数が過去最高となったことも追い風でした。

ただし、中身には注意が必要です。売上を押し上げた主因は客単価の上昇(前年比104.3%)で、客数の伸びは102.9%にとどまります。同協会はこの年間結果を「物価上昇などによる客単価上昇で売上は前年を上回るも、消費者の節約志向が強まる」と総括し、回復の早かった一部業態では客数が前年を下回り始めたと指摘しています。

そして同じ2025年、もう一つの「過去最多」が記録されました。帝国データバンクの調査では、飲食店の倒産は900件と、前年(894件)を上回り過去最多を更新。内訳は居酒屋を中心とする「酒場・ビヤホール」が204件で最多、ラーメン店や焼肉店などを含む「中華・東洋料理店」(179件)、「日本料理店」(97件)はいずれも業態別で過去最多です。背景として挙げられているのは、食材・光熱費の高騰、賃上げによる人件費の上昇、そして競合激化のなかで容易に値上げに踏み切れない中小・零細店の利益圧迫。市場全体のパイは増えても、その配分は決して均等ではありません。

数字で見る、飲食業の現在地。

飲食業の経営環境を、公表データで並べます。

107.3%

2025年の外食全体の売上は前年比107.3%で4年連続のプラス。ただし客数は102.9%にとどまり、押し上げの主因は客単価上昇(104.3%)

出典:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2025年年間結果報告」(2026/1)jfnet.or.jp

900

2025年の飲食店倒産は900件で過去最多を更新(前年894件)。「酒場・ビヤホール」204件が最多、「中華・東洋料理店」「日本料理店」も業態別で過去最多

出典:帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2025年)」(2026/1)tdb.co.jp

非正社員が「不足」と答えた企業の割合——飲食店と全業種平均

飲食店(2024年4月)74.8%
飲食店(2025年4月)65.3%
飲食店(2026年4月)59.1%
全業種平均(2026年4月)28.3%

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026/5・2026-07-07閲覧) tdb.co.jp

人手不足はピークだった2024年4月(74.8%)からは和らいだものの、2026年4月時点でも飲食店の非正社員不足は59.1%と全業種で2番目に高く、全業種平均(28.3%)の2倍超。パート・アルバイトへの依存度が高い業態構造ゆえに、欠員はそのまま営業力の低下につながります。

2,912

2026年4月の外食単価は2,912円(前年同月比+40円)。一方、同月の外食市場規模は東名阪3圏域計3,030億円と前年同月比−10億円

出典:リクルート ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査(2026年4月度)」(2026/6)hotpepper.jp

直近の月次データでは、市場規模の伸びに頭打ち感が見える一方で、単価は上がり続けています。「回数を減らして、1回を選ぶ」——節約志向下の外食消費が、そのまま数字に表れています。

その数字は、お店に何を起こすか。

マクロの数字は、1軒のお店の日常にこう翻訳できます。

①「見つからない」——客数の伸びが2.9%にとどまる以上、大きく増えない客を店同士で分け合う構図です。そして入口は地図検索に移っています。国内調査では、Googleマップでレストランや居酒屋を探した人の約73%が、実際に店舗へ来店しました(n=1,090)。地図上に正確な情報で載っていない店は、比較の土俵に上がる前に候補から外れます。

②「選ばれない」——土俵に上がった後は、クチコミが門になります。「星3.8以上」を来店検討の基準にする人が49.6%、「クチコミ30件以上」で信頼すると答えた人が51.4%(n=500)。味や接客の良さも、星と件数という見える形になっていなければ、初来店の判断材料になりません。

③「再来店しない」——外食単価が2,912円まで上がり、消費者は外食の回数を絞って「失敗しない店」を選び直しています。来店後につながる手段を持たない店は、一見客との関係が会計と同時に切れ、再来店を偶然に委ねることになります。

④「人が採れない」——非正社員不足59.1%という数字は、募集をかけても埋まらない現場を意味します。欠員は提供スピード・接客品質・営業時間に直結し、それがクチコミ評価に跳ね返って集客を下げる。飲食業では、採用難と集客難は一つながりの問題です。

市場の回復は、すべての店に均等には配られない。増えた需要は、地図とクチコミで「選ばれる店」に集まっている。

そして、探し方そのものが「AIに聞く」へ動き始めている。

いま起きているもう一つの変化が、探し方そのものです。検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37%、20代では過半数。「渋谷 ランチ おすすめ」のようにAIへ尋ねる人が現れ、AIの回答が比較候補の入口になる場面が増えています※これは飲食業だけを対象にした調査ではなく、検索行動全体の調査です。

37%

検索で生成AIを使う人(業種横断・全体/20代は過半数)。AIの回答を見た人のうち、おすすめをきっかけに購入・利用した人は47.5%

出典:CyberAgent「GEOラボ」(業種を問わない検索行動全体の調査)cyberagent.co.jp

AIの回答は、その店のGoogleマップ情報・クチコミ・SNSでの言及(サイテーション)を材料に組み立てられることがあります。だからいまマップとクチコミを整えることは、そのまま「AIに引用・推薦されやすい状態」=AIに選ばれる準備につながります。

データから導く、対策の優先順位。

この構図を踏まえると、飲食店の打ち手には優先順位をつけられます。

  1. Googleビジネスプロフィールの整備——店名・住所・電話・営業時間を正確にそろえ、写真・メニュー情報を充実させる。マップで探した人の約73%が来店する「地図の入口」を最初に固める。
  2. クチコミの獲得と返信の運用——お願いする場面と方法を決めて件数を積み、返信で店の姿勢を示す。「星3.8以上・30件以上」が来店判断の目安になっている。
  3. 再来店の導線づくり(LINE公式アカウント等)——会計時に登録してもらい、来店後も接点を持つ。客数が大きく伸びない市場では、新規獲得より再来店の費用対効果が高い。
  4. 予約・モバイルオーダー等の省人化——非正社員不足59.1%を前提に、電話対応・注文・会計を仕組みで置き換え、機会損失と現場負荷を減らす。
  5. 指名検索を育てる発信(SNS・メディア掲載)——店名で検索される状態をつくり、地図・クチコミの資産と相互に強め合う。
  6. AIに選ばれる準備(GEO/AIO)——生成AI・AI検索の回答に引用・推薦されやすいよう、正確なGoogleビジネスプロフィール・クチコミ・第三者の言及を整える。上の各対策で整えた情報が、そのままAIの判断材料になる。

まとめ——この業界の集客をひとことで言うと。

市場は伸びているのに、店は過去最多のペースで消えている。増えた需要は地図とクチコミで「選ばれる店」に集中しており、Googleマップ・クチコミ・再来店導線の整備が、店の規模を問わず集客の土台になっている。

Sources / 出典

  1. 日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果報告」(2026/1/26公表・協会会員社の全店データ・売上107.3%/客数102.9%/客単価104.3%/2026-07-07閲覧) — https://www.jfnet.or.jp/wp/wp-content/uploads/2026/01/nenkandata-2025.pdf
  2. 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2025年)」(2026/1/13公表・倒産900件で過去最多・前年894件/2026-07-07閲覧) — https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260113-insyokuten2025/
  3. 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026/5/19公表・非正社員不足:飲食店59.1%で全業種2番目・全体28.3%/2026-07-07閲覧) — https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260519-laborshortage202604/
  4. リクルート ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査(2026年4月度)」(2026/6/2公表・東名阪3圏域・市場規模3,030億円/外食単価2,912円/2026-07-07閲覧) — https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/202604
  5. トライハッチ「Googleマップ利用実態調査」(2024/6・n=1,090・マップでお店を探した人の約73%が来店・PR TIMES/2026-07-07閲覧) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000287.000035376.html
  6. イクシアス「来店を後押しするGoogleクチコミの基準に関する調査」(2025/4・n=500・星3.8以上を基準49.6%・30件以上で信頼51.4%・PR TIMES/2026-07-07閲覧) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000116281.html
  7. CyberAgent「GEOラボ」(検索で生成AIを使う人37%・20代過半数/AI回答を見た人のうち、おすすめで購入・利用した人47.5%。業種横断の検索行動調査/2026-07-08閲覧) — https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=33041

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