2025年の外食売上は前年比107.3%と、4年連続で前年を上回りました。ところが同じ年、飲食店の倒産は900件と過去最多を更新しています。市場が伸びているのに、店は史上最多のペースで退場している——。飲食業の集客を考える出発点は、この「二極化」の構図を数字で正しくつかむことです。
数字のうえでは、外食産業は好調が続いています。日本フードサービス協会の市場動向調査(会員社の全店データ)によると、2025年(1〜12月)の外食全体の売上は前年比107.3%。業態別でも喫茶(109.8%)、ファーストフード(107.5%)、ファミリーレストラン(107.2%)、ディナーレストラン(106.6%)、パブレストラン/居酒屋(104.0%)と、すべての業態が前年を上回りました。2025年は大阪・関西万博の開催が関西圏の外食需要を押し上げ、訪日外客数が過去最高となったことも追い風でした。
ただし、中身には注意が必要です。売上を押し上げた主因は客単価の上昇(前年比104.3%)で、客数の伸びは102.9%にとどまります。同協会はこの年間結果を「物価上昇などによる客単価上昇で売上は前年を上回るも、消費者の節約志向が強まる」と総括し、回復の早かった一部業態では客数が前年を下回り始めたと指摘しています。
そして同じ2025年、もう一つの「過去最多」が記録されました。帝国データバンクの調査では、飲食店の倒産は900件と、前年(894件)を上回り過去最多を更新。内訳は居酒屋を中心とする「酒場・ビヤホール」が204件で最多、ラーメン店や焼肉店などを含む「中華・東洋料理店」(179件)、「日本料理店」(97件)はいずれも業態別で過去最多です。背景として挙げられているのは、食材・光熱費の高騰、賃上げによる人件費の上昇、そして競合激化のなかで容易に値上げに踏み切れない中小・零細店の利益圧迫。市場全体のパイは増えても、その配分は決して均等ではありません。
飲食業の経営環境を、公表データで並べます。
107.3%
2025年の外食全体の売上は前年比107.3%で4年連続のプラス。ただし客数は102.9%にとどまり、押し上げの主因は客単価上昇(104.3%)
出典:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2025年年間結果報告」(2026/1)jfnet.or.jp
900件
2025年の飲食店倒産は900件で過去最多を更新(前年894件)。「酒場・ビヤホール」204件が最多、「中華・東洋料理店」「日本料理店」も業態別で過去最多
出典:帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2025年)」(2026/1)tdb.co.jp
非正社員が「不足」と答えた企業の割合——飲食店と全業種平均
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026/5・2026-07-07閲覧) tdb.co.jp
人手不足はピークだった2024年4月(74.8%)からは和らいだものの、2026年4月時点でも飲食店の非正社員不足は59.1%と全業種で2番目に高く、全業種平均(28.3%)の2倍超。パート・アルバイトへの依存度が高い業態構造ゆえに、欠員はそのまま営業力の低下につながります。
2,912円
2026年4月の外食単価は2,912円(前年同月比+40円)。一方、同月の外食市場規模は東名阪3圏域計3,030億円と前年同月比−10億円
出典:リクルート ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査(2026年4月度)」(2026/6)hotpepper.jp
直近の月次データでは、市場規模の伸びに頭打ち感が見える一方で、単価は上がり続けています。「回数を減らして、1回を選ぶ」——節約志向下の外食消費が、そのまま数字に表れています。
マクロの数字は、1軒のお店の日常にこう翻訳できます。
①「見つからない」——客数の伸びが2.9%にとどまる以上、大きく増えない客を店同士で分け合う構図です。そして入口は地図検索に移っています。国内調査では、Googleマップでレストランや居酒屋を探した人の約73%が、実際に店舗へ来店しました(n=1,090)。地図上に正確な情報で載っていない店は、比較の土俵に上がる前に候補から外れます。
②「選ばれない」——土俵に上がった後は、クチコミが門になります。「星3.8以上」を来店検討の基準にする人が49.6%、「クチコミ30件以上」で信頼すると答えた人が51.4%(n=500)。味や接客の良さも、星と件数という見える形になっていなければ、初来店の判断材料になりません。
③「再来店しない」——外食単価が2,912円まで上がり、消費者は外食の回数を絞って「失敗しない店」を選び直しています。来店後につながる手段を持たない店は、一見客との関係が会計と同時に切れ、再来店を偶然に委ねることになります。
④「人が採れない」——非正社員不足59.1%という数字は、募集をかけても埋まらない現場を意味します。欠員は提供スピード・接客品質・営業時間に直結し、それがクチコミ評価に跳ね返って集客を下げる。飲食業では、採用難と集客難は一つながりの問題です。
市場の回復は、すべての店に均等には配られない。増えた需要は、地図とクチコミで「選ばれる店」に集まっている。
いま起きているもう一つの変化が、探し方そのものです。検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37%、20代では過半数。「渋谷 ランチ おすすめ」のようにAIへ尋ねる人が現れ、AIの回答が比較候補の入口になる場面が増えています。※これは飲食業だけを対象にした調査ではなく、検索行動全体の調査です。
37%
検索で生成AIを使う人(業種横断・全体/20代は過半数)。AIの回答を見た人のうち、おすすめをきっかけに購入・利用した人は47.5%
出典:CyberAgent「GEOラボ」(業種を問わない検索行動全体の調査)cyberagent.co.jp
AIの回答は、その店のGoogleマップ情報・クチコミ・SNSでの言及(サイテーション)を材料に組み立てられることがあります。だからいまマップとクチコミを整えることは、そのまま「AIに引用・推薦されやすい状態」=AIに選ばれる準備につながります。
この構図を踏まえると、飲食店の打ち手には優先順位をつけられます。
市場は伸びているのに、店は過去最多のペースで消えている。増えた需要は地図とクチコミで「選ばれる店」に集中しており、Googleマップ・クチコミ・再来店導線の整備が、店の規模を問わず集客の土台になっている。
飲食業界のために書き下ろした、この業界だけのデータ記事です。
検索で生成AIを使う人は業種を問わず全体で37.0%。飲食店選びでもAI経由で店を知る人が1割超、検索段階のAI利用は約15%に。AIが提案した店に「2回に1回は行く」人は6割近くと、SNS経由を上回る実測も。新しい選ばれ方と打ち手を整理します。
READ →2025年の飲食業倒産は1,002件と、1996年以降で初めて1,000件を超えました。一方、外食市場(東名阪3圏域・夕食の推計)は前年度比+5.0%。縮小ではなく二極化が進むいま、選ばれる側に回るための情報発信とクチコミ整備を公表データで整理します。
READ →Googleマップで飲食店を探した人の約73%が実際に来店。店舗探しの手段はGoogleマップ・Google検索が最多で同数60.2%。星3.8以上・クチコミ30件以上で選ばれる、地図の入口が飲食集客の土台に。
READ →Z世代がおでかけ先を探す情報源はInstagram64.6%で検索28.8%の2倍超。SNSで飲食店に出会う人は80.8%、見つけた店をInstagramに保存する人は71.2%。発見→保存→来店という飲食店の新しい入口を実在調査で整理。
READ →飲食店の利用は77.3%が「リピート利用」。新規獲得は既存維持の約5倍のコストとされ、再来店の設計が売上を左右します。LINEの国内月間利用者は2025年12月末で1億人。ポイント・LINE公式で「忘れられない店」になるための現在地を公的データで整理。
READ →正社員が不足する企業は53.4%とコロナ禍以降で最高。人手不足で受注や来店予約を断った企業は35.7%、人手不足倒産は441件と過去最多です。採用難が売上に直結し始めた現状を公的データで整理します。
READ →2025年の訪日消費は9兆4,549億円と過去最高。その85.5%は宿泊・買物・飲食に流れ、地方部にも2.1兆円が届いています。スマホで店を探す訪日客に「見つかる店」の条件を公的データで整理します。
READ →中小企業の悩みの1位は「売上不振」33.5%。一方、新規顧客の獲得は既存客の維持より5〜25倍高くつくという海外研究も。外食利用の77.3%を占めるリピートが利益に効く構造を、出典つきで解説します。
READ →店名が語られる「サイテーション」はリンクなしでも効く。7.5万ブランド分析で言及量とAI可視性の相関は0.66〜0.71。言及を増やす実務まで解説。
READ →お客様の投稿には著作権・肖像権がある。UGCの二次利用は「許諾」が基本。海外調査では58%が許諾に応じ、43%は紹介してくれたブランドのファンに。
READ →就職・転職者の約8割が採用動画を視聴、「応募前に見たい」は69%。求職者が知りたいのは社員の1日と職場の空気。人手不足時代の採用動画入門。
READ →国内ソーシャル広告費は前年比118.7%の1兆3,067億円でネット広告の約4割に。LINEは最低出稿金額なし。少額から効く理由をデータで解説。
READ →転職活動中の99.2%が企業ホームページを閲覧し、クチコミを見る人の91%は応募前に確認しています。情報が無い・古い会社が応募の手前で候補から外れる実態を、国内の調査データで解説します。
READ →更新が止まったサイトは「営業しているか不安」49.8%・「取引したくない」32.6%。営業時間が古ければ36.0%が別の店へ。情報の鮮度が信頼を左右します。
READ →外食探しは食べログ・Instagram・Googleが拮抗、美容室は予約サイト40.3%が1位。口コミの主戦場は業種と客層で違う。見極め方を国内データで解説。
READ →訪日客は出発前にSNS43.3%・動画39.6%で調べ、滞在中は99%がGoogleマップを使います。日本語の情報を役立てた人は11.2%。店の探し方と情報整備の優先順位を公的データで解説します。
READ →総務省調査で平日も休日もネット利用時間がテレビ視聴を逆転。10代はネット243分vsテレビ40分、広告費もネットがテレビの約2.1倍に。
READ →フォロー後39.2%が「より好きになった」、働く人の発信で72%が企業に絆(海外)。中の人運用の効果と、雑談に走らない線引きをデータで解説。
READ →一度離れた常連の43.9%は「また行きたい」と答え、拒絶は14.9%のみ。お客様は不満で消えるのではなく、忘れて消える——離脱理由の調査データと、思い出してもらう接点のつくり方を解説します。
READ →Instagram利用率は20代78.0%・70代10.4%。若年層はSNS・AI検索、シニアは検索・地図・テレビ中心。やる媒体は客層の年代で決まる。
READ →応募の決め手1位は「仕事内容の詳しさ」。情報が補われれば「応募しやすくなる」は8割超、クチコミで67%が応募を中止。求人の「見せ方」が応募を左右する根拠データをまとめました。
READ →悪い口コミを見た人の67%が、お店の返信対応までチェック。まごころ型の返信で来店意向は31.7%→59.3%とほぼ2倍。返信は“次のお客様”への接客です。
READ →訪日客は過去最高の4,268万人。観光庁調査では困りごとの上位に言語と決済が並び、現場は飲食店に集中しています。全部やる必要はあるのか——公的データで対応の優先順位を整理します。
READ →利用目的1位は“知らない人の投稿を見る”64.8%。公式もリールは「大半がフォロー外」と説明。発見から来店につなげる小さなお店の型を解説。
READ →スマホ音声入力の利用経験は64.5%、用途1位は地図・ルート検索。会話で聞かれる「近くの」「営業時間」に、ビジネス情報とFAQで答える準備を。
READ →広告は止めれば流れも止まりますが、LINE友だち・会員・メルマガの顧客リストは店に残る資産です。利用者の2〜4割は「ポイントがたまる店なら切り替える」と回答。再来店を生む仕組みをデータで解説します。
READ →星5と引き換えの割引も、サクラレビューも、いまは景品表示法違反。命令を受けるのは投稿者でなく店側。NGラインと正しい頼み方を整理した。
READ →世界で1日2,000億回超(海外・参考)。国内の月間利用率も62%で1位、69%がショートで見つけて長尺へ。ショートは長尺資産への新しい入口です。
READ →マップで探した73.5%が来店。来店直前にGBPを最終確認する人は62.8%、決め手は順位より「クチコミ・写真」。
READ →Z世代女性の情報源はInstagramが64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。止まらない発信が「生きているお店」の証明に。
READ →投稿理由は「他の人におすすめ」34.8%が最多。依頼のタイミングと設計、返信が次のクチコミを生む。
READ →AI概要で検索1位のクリックは日本で約38%減。でも上位でもAIに引用されるのは48%だけ。SEOは「順位」から「引用」へ。
READ →ネット通販で88.5%、実店舗でも約7割が購入前にUGCを確認。企業発信より使った人の声を重視は51.3%。UGCはMEO・SEO・AIOを横断する信頼資産。
READ →AI概要表示で日本のクリックは約38%減、ゼロクリックは全体63.2%。対策は引用・指名・他チャネル。
READ →Xの情報で買った人は60.4%、来店した人は58.4%。20代の利用率78%。リアルタイムな評判が、購買と来店を動かす。
READ →消費者庁の調査で口コミ評価が高い商品を選ぶ人は70.1%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。人にもAIにも効く。
READ →国内利用者は約1,230万人、2年で222%増。テキストSNSがいま再評価されている。
READ →日本の月間利用者は4,200万。お出かけ情報源はTikTokが39.0%で検索を上回る。出会いがショート動画から生まれる。
READ →検索で生成AIを使う人は37%、20代は過半数超。利用はChatGPTが圧倒的。AIに引用される会社とそうでない会社の差が開く。
READ →「良くない点も書かれている」が信頼の理由に41.2%。否定的な口コミで63.9%が購入をためらう。消すのではなく、返信・改善で信頼を作る。
READ →店舗探しの手段はGoogleマップ・検索が60.2%で最多。マップで探した人の約73%が来店。地図とクチコミが来店を左右する。
READ →Z世代女性のお出かけ情報源はInstagram64.6%で、検索エンジン28.8%を上回る。検索の入口がSNSへ。
READ →縦型短尺が新規発見の入口に。視聴者の32.2%が動画を見て商品を購入。縦型動画広告は前年比171%で急成長。
READ →EC全体で88.5%、美容ECで88.8%、食品通販で82%が口コミを確認・重視。業種ごとに口コミ運用の設計を。
READ →個人のネット利用はスマホ74.4%がPC46.8%を上回り最多。Googleもスマホ版を評価の基準にしている。
READ →訪日客が滞在中に役立った情報源はスマホ89.5%が圧倒的1位。出発前はSNS38.9%・動画38.1%。
READ →国内MAU1億・利用率94.9%。約8割が当日開封し、友だち追加46%が行動を生む。新規より「もう一度来てもらう」の主役。
READ →国内ネット動画広告は123%成長でディスプレイを初めて上回った。市場は2028年に1兆円超の予測。
READ →画像付きレビューを参考にする人は93%。信頼の条件は「具体性」と「写真」。文字より写真が、人を動かす。
READ →購入・来店のきっかけは一般ユーザー投稿が57.8%で最多。UGC接触でCVR約1.7倍。投稿は仕組みで増やせる。
READ →指名検索はCVが約12倍。ブランド言及量はAI Overviewsの可視性とも強く相関。指名される状態が土台。
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