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飲食 / 再来店・常連化

飲食店の売上は、
「もう一度来てくれる人」が支えている。

Nest Lab飲食 / 再来店・常連化2026.07.03出典6件

飲食店の利用は77.3%がリピート利用

飲食店の売上をつくっているのは、実は「はじめて来たお客様」ではありません。ホットペッパーグルメ外食総研の調査では、飲食店の利用のうち77.3%が「リピート利用」——つまり同じ店への再来店でした。一方で新規のお客様を獲得するコストは、既存客の維持の5倍かかるとも言われます(1:5の法則・海外の経験則)。広告で新しい人を呼び続けるより、一度来た人にもう一度来てもらう設計のほうが、費用対効果は高い。本記事では、その現在地を公的データと大手調査で整理します。

飲食店の利用は、その多くが「再来店」でできている。

リクルート「ホットペッパーグルメ外食総研」が首都圏在住の20〜64歳(月1回以上外食する人)を対象に行った「飲食店リピート実態&リピート要因調査」によると、飲食店の利用のうち「リピート利用」は77.3%、「初回利用(新規)」は22.7%でした。私たちが外食するお店の4分の3以上は、すでに一度行ったことのある店だということです。業態別に見ると、ファストフードや牛丼・カレーなどの一品もの専売業態では、リピート利用率が9割を超える店もあります。

77.3%

飲食店の利用のうち「リピート利用(再来店)」が占める割合。新規利用は22.7%

出典:ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&リピート要因調査」(2019/10公表・首都圏20〜64歳)hotpepper.jp

ここで重要なのは、売上の大半を支えているのが「もう一度来てくれる人」だという事実です。マーケティングでは、売上の多くが一部の常連客から生まれるという経験則(パレートの法則)も知られています。新規を追いかけ続けるより、来てくれた人を常連に変えていくほうが、経営としては安定します。問題は、そのお客様をどうやって「もう一度」につなげるかです。

新規獲得は、再来店より「5倍」コストがかかる。

再来店が大切な理由は、コスト構造にもあります。マーケティングの経験則である「1:5の法則」では、新規のお客様を獲得するには、既存のお客様を維持するのに比べておよそ5倍のコストがかかるとされています。あわせて「5:25の法則」——顧客の離脱を5%改善すると利益が最低でも25%改善する——という考え方もあります。いずれも海外発の経験則で、日本の飲食店にそのまま当てはまる保証はありませんが、「新規を追い続ける経営」と「再来店を育てる経営」の費用対効果の差を示す目安として広く引用されています。

新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの何倍か(1:5の法則・海外の経験則)

既存客の維持1
新規客の獲得5

出典:ミツエーリンクス「1:5の法則/5:25の法則」(海外・参考/2026-07-07閲覧) mitsue.co.jp

広告費で新しい人を呼び続けるのは、蛇口を開けっぱなしにするようなもの。来てくれた人を常連に変える仕組みは、一度つくれば残り続ける「資産」になります。

ここで見落としがちなのが、お客様は「不満」で離れるとは限らないという点です。多くの場合、料理やサービスに問題がなくても、ただ「忘れられている」だけで足が遠のきます。だからこそ、こちらから思い出してもらう接点——次回来店のきっかけを、意図的に設計する必要があります。

「もう一度」を思い出してもらう接点は、LINEに集まっている。

再来店のきっかけを届ける手段として、いま飲食店が最も現実的に使えるのがLINEです。LINEヤフーの発表によると、コミュニケーションアプリ「LINE」の国内月間利用者数は、2025年12月末時点で1億人を突破しました。総務省の調査でも、LINEの利用率は全年代で9割を超えています。年代・性別による偏りが小さく、幅広い世代のお客様に届く連絡手段は、事実上ほかにありません。

1億人

LINEの国内月間利用者数(2025年12月末時点・2026年1月発表)。国内人口の約8割をカバー

出典:LINEヤフー「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」(2026/1/29発表)lycorp.co.jp

主要SNS・アプリの国内利用率(全年代・令和5年度)

LINE94.9%
YouTube8割台後半
TikTok32.5%

出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2024/6公表・LINE94.9%/YouTube8割台後半/TikTok32.5%) soumu.go.jp

お客様の連絡先を「お店の資産」として持っておけば、広告に頼らず、こちらから再来店のきっかけを届けられます。LINE公式アカウントは基本機能が無料で使え、クーポンや次回使えるポイント、季節のメニュー案内などを、来店したお客様に直接届けられます。テーブルのQRコードや会計時のひと声で友だち登録につなげ、一度きりの来店を「連絡が取れる関係」に変える——これが再来店設計の第一歩です。

常連は「料理」で決まり、「きっかけ」で戻る。

では、どんな店がリピートされているのでしょうか。同じ調査で、リピート利用する飲食店を選ぶときの重視点を聞くと、「料理がおいしい」が69.6%と突出して高く、次いで「コストパフォーマンスがよい」48.6%、「席がゆったりしている」40.4%、「アクセスがよい」40.2%と続きました。土台にあるのは、あくまで料理と体験の満足です。再来店の設計は、この土台があって初めて効きます。

リピート利用する飲食店を選ぶときの重視点(複数回答・上位)

料理がおいしい69.6%
コストパフォーマンスがよい48.6%
席がゆったりしている40.4%
アクセスがよい40.2%

出典:ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&リピート要因調査」(2019/10公表) hotpepper.jp

裏を返せば、料理に満足しても、思い出すきっかけがなければ次はないということです。おいしかったお店を、人は驚くほど簡単に忘れます。だからこそ「満足させること」と「思い出してもらうこと」は別の仕事として設計する必要があります。前者は厨房とホールの仕事、後者は連絡先ときっかけづくりの仕事です。

対策の優先順位(データからの示唆)。

ここまでのデータを踏まえると、飲食店が再来店・常連化に取り組む順番は、おおむね次のように整理できます。いきなり凝った施策に走るより、上から順に土台を固めるのが現実的です。

  1. 料理と体験の満足を土台にする:リピートの最重視点は「料理がおいしい」(69.6%)。まずここが崩れていないかを確認する。再来店施策は満足の土台の上でのみ効く。
  2. お客様の連絡先を「資産」として持つ:LINE公式アカウントの友だち登録を、テーブルのQRや会計時の声かけで日常業務に組み込む。広告に頼らず、こちらから接点を持てる状態をつくる。
  3. 「次に来る理由」を渡して帰ってもらう:次回使えるクーポン・ポイント・スタンプなど、再来店の具体的なきっかけを来店時に手渡す。忘れられる前に、次の一手を仕込む。
  4. 思い出してもらう頻度を設計する:季節メニューや記念日など、こちらから届ける口実を持つ。ただし過剰な配信はブロックの原因になるため、頻度と内容のバランスを取る。
  5. 数字で確かめる:再来店率・LINE経由の来店・クーポン利用などを把握し、どの施策が効いているかを検証しながら続ける。

新規獲得が既存維持の5倍のコストとされる市場で、来てくれた人を常連に変える仕組みは、一度つくれば長く効く「顧客資産」になります。飲食店の売上の多くを支えているのは、派手な集客ではなく、「もう一度来てくれる人」との関係を丁寧に設計すること——データはそう示しています。

Sources / 出典

  1. ホットペッパーグルメ外食総研(リクルート)「飲食店リピート実態&リピート要因調査」(2019/10公表・首都圏在住の20〜64歳で月1回以上外食する人が対象・リピート利用77.3%/初回22.7%/料理がおいしい69.6%/コスパ48.6%等) — https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/column/20191002
  2. 飲食店ドットコム ジャーナル「飲食店の利用のうち77.3%が『リピート利用』。」(上記外食総研調査の紹介・リピート利用の男女別・業態別を掲載/2026-07-07閲覧) — https://www.inshokuten.com/foodist/article/5513/
  3. LINEヤフー「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」(2026/1/29発表・2025年12月末時点でMAU1億人) — https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/020058/
  4. 総務省情報通信政策研究所「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2024/6公表・LINE利用率は全年代で9割超/94.9%・年代別利用状況/2026-07-07閲覧) — https://www.soumu.go.jp/iicp/research/results/media_usage-time.html
  5. ミツエーリンクス「1:5の法則/5:25の法則」(新規獲得は既存維持の約5倍のコスト・顧客離脱5%改善で利益25%改善/海外の経験則・参考/2026-07-07閲覧) — https://www.mitsue.co.jp/knowledge/marketing/principle/1_5_5_25.html
  6. リクルート「ホットペッパーグルメ外食総研 外食市場に関する調査(一人あたり外食回数・新規/リピート店舗数)」(2018/9公表・飲食店利用は一人週平均約3回で年代上昇とともにリピート増/2026-07-07閲覧) — https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruit-lifestyle/uploads/2018/09/RecruitLifestyle_ggs_re20180925.pdf

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