飲食店の売上をつくっているのは、実は「はじめて来たお客様」ではありません。ホットペッパーグルメ外食総研の調査では、飲食店の利用のうち77.3%が「リピート利用」——つまり同じ店への再来店でした。一方で新規のお客様を獲得するコストは、既存客の維持の5倍かかるとも言われます(1:5の法則・海外の経験則)。広告で新しい人を呼び続けるより、一度来た人にもう一度来てもらう設計のほうが、費用対効果は高い。本記事では、その現在地を公的データと大手調査で整理します。
リクルート「ホットペッパーグルメ外食総研」が首都圏在住の20〜64歳(月1回以上外食する人)を対象に行った「飲食店リピート実態&リピート要因調査」によると、飲食店の利用のうち「リピート利用」は77.3%、「初回利用(新規)」は22.7%でした。私たちが外食するお店の4分の3以上は、すでに一度行ったことのある店だということです。業態別に見ると、ファストフードや牛丼・カレーなどの一品もの専売業態では、リピート利用率が9割を超える店もあります。
77.3%
飲食店の利用のうち「リピート利用(再来店)」が占める割合。新規利用は22.7%
出典:ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&リピート要因調査」(2019/10公表・首都圏20〜64歳)hotpepper.jp
ここで重要なのは、売上の大半を支えているのが「もう一度来てくれる人」だという事実です。マーケティングでは、売上の多くが一部の常連客から生まれるという経験則(パレートの法則)も知られています。新規を追いかけ続けるより、来てくれた人を常連に変えていくほうが、経営としては安定します。問題は、そのお客様をどうやって「もう一度」につなげるかです。
再来店が大切な理由は、コスト構造にもあります。マーケティングの経験則である「1:5の法則」では、新規のお客様を獲得するには、既存のお客様を維持するのに比べておよそ5倍のコストがかかるとされています。あわせて「5:25の法則」——顧客の離脱を5%改善すると利益が最低でも25%改善する——という考え方もあります。いずれも海外発の経験則で、日本の飲食店にそのまま当てはまる保証はありませんが、「新規を追い続ける経営」と「再来店を育てる経営」の費用対効果の差を示す目安として広く引用されています。
新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの何倍か(1:5の法則・海外の経験則)
出典:ミツエーリンクス「1:5の法則/5:25の法則」(海外・参考/2026-07-07閲覧) mitsue.co.jp
広告費で新しい人を呼び続けるのは、蛇口を開けっぱなしにするようなもの。来てくれた人を常連に変える仕組みは、一度つくれば残り続ける「資産」になります。
ここで見落としがちなのが、お客様は「不満」で離れるとは限らないという点です。多くの場合、料理やサービスに問題がなくても、ただ「忘れられている」だけで足が遠のきます。だからこそ、こちらから思い出してもらう接点——次回来店のきっかけを、意図的に設計する必要があります。
再来店のきっかけを届ける手段として、いま飲食店が最も現実的に使えるのがLINEです。LINEヤフーの発表によると、コミュニケーションアプリ「LINE」の国内月間利用者数は、2025年12月末時点で1億人を突破しました。総務省の調査でも、LINEの利用率は全年代で9割を超えています。年代・性別による偏りが小さく、幅広い世代のお客様に届く連絡手段は、事実上ほかにありません。
1億人
LINEの国内月間利用者数(2025年12月末時点・2026年1月発表)。国内人口の約8割をカバー
出典:LINEヤフー「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」(2026/1/29発表)lycorp.co.jp
主要SNS・アプリの国内利用率(全年代・令和5年度)
出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2024/6公表・LINE94.9%/YouTube8割台後半/TikTok32.5%) soumu.go.jp
お客様の連絡先を「お店の資産」として持っておけば、広告に頼らず、こちらから再来店のきっかけを届けられます。LINE公式アカウントは基本機能が無料で使え、クーポンや次回使えるポイント、季節のメニュー案内などを、来店したお客様に直接届けられます。テーブルのQRコードや会計時のひと声で友だち登録につなげ、一度きりの来店を「連絡が取れる関係」に変える——これが再来店設計の第一歩です。
では、どんな店がリピートされているのでしょうか。同じ調査で、リピート利用する飲食店を選ぶときの重視点を聞くと、「料理がおいしい」が69.6%と突出して高く、次いで「コストパフォーマンスがよい」48.6%、「席がゆったりしている」40.4%、「アクセスがよい」40.2%と続きました。土台にあるのは、あくまで料理と体験の満足です。再来店の設計は、この土台があって初めて効きます。
リピート利用する飲食店を選ぶときの重視点(複数回答・上位)
出典:ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&リピート要因調査」(2019/10公表) hotpepper.jp
裏を返せば、料理に満足しても、思い出すきっかけがなければ次はないということです。おいしかったお店を、人は驚くほど簡単に忘れます。だからこそ「満足させること」と「思い出してもらうこと」は別の仕事として設計する必要があります。前者は厨房とホールの仕事、後者は連絡先ときっかけづくりの仕事です。
ここまでのデータを踏まえると、飲食店が再来店・常連化に取り組む順番は、おおむね次のように整理できます。いきなり凝った施策に走るより、上から順に土台を固めるのが現実的です。
新規獲得が既存維持の5倍のコストとされる市場で、来てくれた人を常連に変える仕組みは、一度つくれば長く効く「顧客資産」になります。飲食店の売上の多くを支えているのは、派手な集客ではなく、「もう一度来てくれる人」との関係を丁寧に設計すること——データはそう示しています。
その「一度きりのお客様」、
常連に変えられます。
いまお店に、再来店のきっかけを届ける仕組みはありますか。LINE公式・クチコミ・Web導線が、来店したお客様を常連に変えられているか。飲食店の再来店の観点から無料で診断し、優先順位をレポートにしてお届けします。